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転生先は小説の‥‥。  作者: 久喜 恵
第十章 クリスフォード・ラックスファル侯爵領

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シュールかも

「‥‥‥シュールかも‥‥」


思わず漏らした小声に気が付いたのは、義兄だ。


「レティ、どうかした?」

「あっ、いえ、慣れなくて」

「ふふ、レティはジェフリーの術は初めてだったね。そのうち慣れるよ」


うわぉ。思わぬ所で義兄作製の小箱の実力を知った‥‥あっ違うか。ジェフリーの能力を余すことなく堪能することになった。


今の俺達はあくまで『当主とその友人』だ。

クリスフォードに擬態したのは都合上だと頭では理解出来ていても感情は別物。奴の顔を見ていると‥‥意地悪したくなる俺って、悪くないよね?

些か険しい表情を見せる俺のため義兄は擬態を解かせた。気になるんだって。


幾ら人払いをしたとしても一応用心に越したことは無い。そう言って小箱を起動させた。


そう、昨夜の小箱だ。

あの時は充分に機能を見れなくて残念だと思っていたアレだ。うふふ、まさか今使ってくれるとは。


義兄が小箱の魔石にジェフリーの魔力を流させ、幻影術の行使を命じたのだ。

内側は結界として機能。外側が幻影術の領域。外から部屋の扉を開けるとそこにはクリスフォードの姿が見えるってわけ。実際はジェフリーだけど。


おお~イリュージョン。


この便利グッズすごいわ~

ちょっと感心したけれど、よくよく考えてみれば気色悪い。他人が自分に見えるのって、ホラーっぽいよね?







これからの話を聞いて当分この邸で滞在になるのはわかった。やる事が多くて悠長にしていられない。

 

義兄は義兄で探りたいことが出来たのだと。情報の精度を上げるため他領に散った諜報員を召喚したいらしい。そのためベースが欲しかったって。成程ね。


そうか、皆も其々役割があって忙しいのか。

疲れた顔の皆を見ていると、社畜? と不穏なワードが浮かんで泣けてくる。

皆に優しくしよう‥‥



「お義兄様、わたくしは隷属の契約を無効化出来るか試せばいいのですね?」

「ああ、レティには嫌な想いをさせてしまうかも知れない、ごめんね。この後、頼めるかい?」

「‥‥頑張ります」


失敗しないと言い切れないだけに余計緊張する。でも奴隷にされている人の事を思えば、頑張れる。




「それからここの領主…流石阿呆だ。詐欺魔法に引っ掛かっていたよ、難儀だね。領地の荒れた原因の一つがこれだ。まだ事情聴取中だから詳細は不明でね。領主の処遇を決め兼ねるよ本当に」

「はぁ?」


開いた口が塞がらない。迂闊な奴と知っているだけに呆れた。断罪されても迂闊さは変わらなかったようだ。


窮した表情を隠す気もない義兄は本当に決めれないのだろう。疲労が透けて見える。義兄の肩にいろいろ乗っかてるわ~、何かお気の毒様?



「お義兄様、クリス…いえ、領主の契約魔法もわたくしが無効化した方が宜しいのかしら?」

「‥‥まだ決めていないよ。レティの嫌がることはしたくないからね。それでレティはどうかな?」


質問を質問で返されると返答に詰まる。俺は視線だけ上にして考える素振りをして見せる。正直、隷属でなければどちらでもいい。この物価高な領地の見れば借金を負わされたのだと予想はつくが。



「領主への交渉事に使えます? お義兄様にお任せしますわ、有効活用して下さるのでしょう?」


ぶっちゃけ面倒事は義兄に丸投げしたい。使える者(クリスフォード)は何にでも使って欲しい。


俺の答えに満足したのか『その時は頼むね』と愉しそうに悪い顔で笑ってる。まぁ義兄が楽しいならそれでいいよ。


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