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転生先は小説の‥‥。  作者: 久喜 恵
別視点
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王弟の価値 義兄視点

苛立ちを抑え話を続けます。腐っても仕方がないのでダルに、冤罪事件の背景と犯人像を推理するため王弟が狙われる可能性を示唆します。


王弟の留学時代に魔力系統が周知されても固有の能力は秘匿したでしょう。裁量は個人に委ねられていますので隠さない人もいたでしょうが極まれだと。

それに王国の王侯貴族は魔力を隠す傾向でしたので隠匿されていてもおかしくはありません。と予想しての問質しでした。返答にむかっ腹になりましたがね。


王弟も何バラしているのでしょうね、迂闊さに呆れます。身近の者の関与は間違いないですね。能力を打ち明けられるほど信を得た人物に叛意があったのは流石にお気の毒としか言えません。


王弟に需要を見出した人物が第三者に彼を売ったのかも知れません。

収監先から攫ってしまえば済む話ですからね。ましてや精神を病んで隔離となればそれも容易い。




兎も角『魔力の可視化』は珍しい能力です。利用価値が高いのでしょう。

魔力系統の判別がつかずとも『魔力が視える』だけで需要があるのです。私でも利用方法が幾つか浮かびます。人によっては喉から手が出るほど欲しい人材。それこそ手段問わずにです。


可視化の精度は不明ですが魔力が視えると、隠匿魔法や魔法陣トラップなど看破でき、罠を見破るのが容易ければ重要施設に潜入し放題ですよ。それに、魔力を隠して生活する者の発見が可能になります。


王国人は殆ど魔力がないため驚異的に感じるのです。魔力否定派の宣伝も一役買っていまして、王国人の差別意識は年々強まります。一部の神殿関係者や貴族が煽るのですよ。主張は、何でも神への冒涜だそうです。実に排他的です。


そのため魔力保持者たちは身に降り懸かる厄介事を忌避して隠すのです。生き辛い国と化した退廃の国ですね。



この能力は多方面に需要があります。

私が初めに思い浮かべたのは軍部です。魔法術の罠や精神干渉された者の選別、隠匿術の看破‥‥諜報向きと言えばそうなのでしょうが、酷使される姿が瞼に浮かびます。大方、ダルの潜入目的は王弟を帝国軍に引き入れるため。味方になれば戦力ですが、敵になれば少々厄介ですね。

そう指摘してやると、思わぬ真相を突かれたのか何とも言えない顔でダルは打ち明けます。


「ジオルド様は監視対象でした。帝国人の誘拐事件の調査線上に浮上したのでその捜査で潜入したのです。能力を知り得たのは潜入中偶然にです。奴隷商から買い入れた者に洗脳の痕跡を視たジオルド様に解術の命を受けました。その時に知ったのです。その後、軍令で勧誘のための懐柔策中、此度の事件です。誘拐事件の被害者の捜索も途中のまま‥‥このまま終わらせたくなかったのです。

…‥信を得るため私の魔力もお伝えしていました」


やはりそうでしたか。私の推察と何ら変わりがありませんでした。

ですが遅いです、全くさっさと白状すればよいものを。彼の事情でしょうから責めませんが、嫌がらせぐらい許容できますよね?


そう言えばギルガもその事件の情報を欲していましたね。二人は繋がっていたのですか。ああ、連絡員でしたっけ? それらしき発言していましたね。


‥‥ふふふ、この件は追々語って頂きましょう。私を巻き込んだ理由も。


ギウも殺る気が漲って、楽しそうですね。ククク、娯楽は必要ですから。

おや? 二人とも顔色が良くありませんよ。どうしました?



さて、冗談はさておき。帝国軍は出抜かれたわけですね。ふふふ、情けない。

そうなると軍以外で‥‥魔法研究機関、それに魔力否定派の差別主義者。ああ、人身売買組織に人攫いを生業にした者たちも。本当、犯罪にお誂え向きの力ですね。彼にピッタリではありませんか。


なんですかダルのその不満顔。不細工ですよ。






私は他に能力を知っている者、接触してきた者、王弟や周囲に異変はなかったのか問質します。


「ここ、最近のジオルド様は行動が変でした。今更ですが、それまでは魔力もですが能力も一部の極身近な者しか知らせなかったのです。それを惜しげもなく口にされ、私も面食らいました」

「それは‥‥いつのことです」


聞けばライラの一件でした。

思い出すと怒りで八つ当たりしたくなるので我慢ですが、レティに成り済ました女でしたね。本来なら処罰対象ですが、専属護衛達のクレアの精神干渉(記憶操作)が発覚した切っ掛けの女です。その功績もあり命は義父上預かりとなりました。…‥業の深い女ですが義父上の命令が無い以上、命は取れません。



この事件からでしたね。王弟との関わり。

偶然でしょうか。それとも‥‥‥ふっ、全てを策略と捉えてしまうのは視野を狭くしてしまいます。主観に囚われては足元を掬われますね。自粛です。





あとは次代の王として担ぎ上げる計画。が本当にあったのか不明ですが表向き王弟は悪評に塗れていました。それが見せ掛けだとしたら? 水面下で謀反を目論見、その計画を知った者が潰しに掛かった…‥。


例え罪人としても元は冤罪です。極刑に対し罪悪感を抱いたのか厳重な監視下に置くことでせめてもとしたのか。知りませんが命まではと思ったのかも知れません。甘い判断ですね。


陛下の治世は脆弱です。今、謀反を起こされたら確実に周辺諸国に攻め入れられるでしょう。現陛下の治世が終わるならまだしも国が終われば目も当てられません。


腹立たしいですが王国の異変‥‥渦中に投げ込まれたのでしょう。そしてそれは私達も‥‥。




おや、ギルガの麻痺も和らぎ口が利けるまで回復したましたか。漸く話ができますね。しっかり追及ですよギウ。これこれ、その手に光る物は物騒ですよ。しまいなさい。




さて、計画の見直しを致しましょう。

運良く私達はお誂え向きな場所(領邸)にいるのです。しっかり活用致しましょうか。


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