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転生先は小説の‥‥。  作者: 久喜 恵
第九章 王国の異変

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欲しい魔道具は

「で、で、お嬢様~、どんな魔道具をおねだりしちゃうんですか? 殺傷能力の高い系ですか~、それとも拘束系ですか~」


ワクワクキラキラとこっちを見てくるジェフリーの眼差しが煩い。

本当、こいつ目も口も煩いわ。

この男、エリックの件はもういいの?

本当に、魔道具欲しさだったみたい。


はぁ~、この男の評価、変えた方が良いかな?


ちょっと子犬っぽくじゃれつくジェフリーにウザさを感じていたら、義兄も同じだったみたい。


「‥‥ジェフ、いい子にしていないと魔道具はお預けですよ」

「えー! そんな~、若、俺いい子でしょ~」



あれ、義兄も気安く話すんだよね、ジェフリーと。

ふーん、そっか、そうなんだ‥‥何かモヤっとする。



「レティ、それで欲しい物は? 既存の魔道具?」

「えっと‥‥あるのかどうかわかりませんが、スタン…‥ゴニョゴニョ、あの、器具を身体に当てると痺れて、倒れる? 身動きが出来なくなりますの。それで、気絶してくれたら尚良しです。そんな魔道具はあります?」

「ふうむ‥…痺れに、動けなくなる? 気絶系‥‥成程ねぇ。既存の魔道具にはないかな。そうだね、非力な淑女では男性や騎士には抵抗できないか。力や技術が無くても抗える魔道具が良いね」

「お義兄様、手の平に納まるサイズで、離れた相手も倒せる物が良いですわ。そう‥‥‥」


俺は記憶を探りながら前世のスタンガンを思い描いていた。

あれなら非力なレティエルでも使える。バチバチって電流流せば、いい感じに相手が倒れてくれるだろう。

あ~出来れば、ワイヤー式の飛び出すタイプが良いかな。離れた相手に電極飛ばしてビリビリ痺れさすのが良いな。



「若~、気絶さすなら闇系ですよね? そんな物作れるんですか?」

「ふむ、そうだね。認識を阻害させる程度であれば闇系術式で魔法陣組めばいいだけだけど、気絶となるとねぇ。う‥‥ん、どうしたものか‥‥」

「うう~ん、精神干渉でも意識刈り取るのって無理。物理的に頭に衝撃を与えないと出来ないですよ~、お嬢様って意外と物騒ですね~」


「えー、あ、でも精神に干渉させなくてもショックを与えればいいわけでしょ? えっと‥‥筋肉を強制的に収縮させて体の自由を奪えば‥‥」


あー電流って通じないんだよね。こっちのエネルギーって魔力だしなぁ、説明が難しい~


「例えばビリビリ痺れるとか?」

「痺れ‥‥? ですか」


ジェフリーは痺れにピンときていないのかキョトンとした顔だ。


「ジェフリー、貴方、正座しなさい」

「はっ? セイザ? ですか? それは…‥?」


取り敢えず痺れを実感してもらおうとジェフリーを床に正座させた。

膝を折り曲げて座るのって‥…苦手なんだね、こっちの人。


「お、お嬢様~ちょっと足が痛いです~。何時まで座っていないと駄目なんですか~、ひぇー若~」

「痺れるまでです」

「う~~~」


反省させてる感じが面白いかも‥‥ぷっ。


「さ、もういいかしら? ジェフリー足を崩して立ち上がりなさい」

「うへー、うわっ! 足がジンジンしてるー、い、痛~」

「ふふ、それが痺れですわ。どうかしら? 動けて?」

「うひゃー。い、痛ぇー、ビリリって来たー! おわ~足が、足がー」

「ジェフ、煩いよ‥…どれ?」

「ぎゃー、わ、若! 触んないで下さい~ ひー」


ぎゃいぎゃい騒ぐ二人を見て‥…ちょっとムッとした。

義兄と仲良いよねジェフリーって。

痺れを堪能したジェフリーを無視して、俺は義兄にこの痺れを活かせないか聞いてみた。義兄も痺れが面白いのか散々、彼の足を突いて、のた打ち回る姿を楽しんだご様子。黒い笑みで笑ってらっしゃる。


「これは面白いね。ふーん‥‥」


思考モードに入った義兄はブツブツ呟く。没頭し始めた姿は意外に新鮮。




「うううう、完成したら俺も欲しいですぅ…‥」


めげない奴だ。





ーーーーーーーーーー


「若様、お嬢様、ただいま戻りました」

「宿の手配済ませましたのでご移動をお願いします」


偵察に行っていた二人が戻って来た。ジェフリーの相手した後だからか、この二人が真面に見える。


「お帰りなさい」

「おかえりー」

「ご苦労だったね」



「若様、お邸から(オルレアン様)追加情報が届きました」


ハイデが何か手渡したのが見えた。何だろう?


「ふむ。どうやら猟犬(義祖父の密偵)女狐の巣穴(クレアの潜伏先)を見つけたようだね」

「‥…若様、もしやその巣穴(潜伏先)は‥‥」

「ああ、そうだよ。まさか近く(この領地)だとは思わないね」

「若様、猟犬(密偵)には待て(待機)をさせております。如何(密会)なさいますか」

「ふっ流石はハイデだ。頼もうか」

「畏まりました」


ヒラヒラと書面を弄っていた義兄にギルガが申し訳なさそうに尋ねる。


情報の共有は(軍部にリーク)‥…して頂けるのでしょうか」

「う‥‥ん、どうかな。飼い主(義祖父)が許せばだけど‥‥君達(軍部)は捕獲後、どう扱う(飼い殺し)のかい? 飼い主は経過観察(監視)させているようだけど君達(軍部)と話は付いているのかな?」


義兄に鋭い視線を向けられたギルガは、意気消沈だ。


「…若君、それは、その‥‥‥申し訳ない」

「ふふ、私も観察かな」


…‥何の話? 狩猟?? もしかして俺だけわかってない?


義兄はそんな俺を見てにっこり


「レティの着替えが必要だね、買い物をしよう。では、領都に行こうか」


オルレアン様‥‥レティの帝国の祖父です。

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