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転生先は小説の‥‥。  作者: 久喜 恵
第九章 王国の異変

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検証

「うううう、何と言う非道な人達だ‥…我が皇帝陛下より賜りし紋章を‥‥ううう、酷い酷すぎるぅぅ」


あ~ごめんってば。

泣き崩れるギルベルトは放置の儘、義兄とハイデさんは意見交換を始めた。


「ふむ…‥本当に綺麗に消えたね。紋章って一種の契約魔法ではなかったかな」

「はい、若様。これも血の契約の類です。但し誓約のない身分の証明紋かと思われます」

「ふ~ん、そうか。そうなると命を科す程の縛りは無いわけだ。では紋章が消えたところで彼は死ぬこともないね。ふうむ」


何やら義兄が物騒な事を言っている気がする。ちょっと意味がわからないな。


「ふ~うむ。これは‥‥レティは契約魔法自体無効化出来るのだろうか? ううん、いやでも…‥どういう原理だ? これは魔力? なのか‥…」

 

どうやら義兄は独り思考の渦に落たようだ。何やらブツブツ呟いている。


「お嬢様、体調に異変はございませんか? ご気分は?」

「いいえ、何とも無いわ。ありがとう」

「お嬢様、ギルベルト様の魔力を吸い取ったのでしょうか? それとも紋章だけを? 一体、何をなさったのでしょうか」

「あ~、紋章だけよ。光ったから、つい魔力かと思ったの。でも彼の魔力は吸い取ってはいないわ。紋章だけよ」

「そうでしたか。では紋章は消えてなくなったのでしょうか?」

「えっ? そうねぇ‥…消えちゃったのかしら? わからないわ」

「‥…お判りになりませんか? でしたら一度試しに私の手の甲に移してみませんか」

「ええ? ハイデの?」

「はい。お嬢様。もしかしたら消えたのではないかもしれませんし。試す価値はあるかと思います。如何でしょう‥…若様、宜しいでしょうか」


何時の間にか正気に返った義兄が俺達の遣り取りを興味深げに聞いていた。


「‥‥‥ああ構わないよ。面白そうだしね。レティ、いいかな?」

「あ、はい、ではやってみますね」




「ではいきますよ? 気持ちが悪いとか痛いとか、何か異変があればすぐに言ってくださいね」

「はいお嬢様。大丈夫です」


ニコリと微笑んだハイデさん、よく見るとウキウキしていないか?


俺は彼女の左手に紋章が浮き出るようイメージを固め魔力を押し流した。

今回はホンのちょっとの魔力だから気を付けないと流し過ぎちゃうからね。



「‥…どうでしょう、紋章は‥…」


「あ、手の甲に魔力が‥…これは‥…何という不思議な」

「どれ? レティ、気分はどうかな? ハイデも。身体に異常はない?」

「若様、大丈夫です。何処も異変はございません。強いて言えば左手の甲に魔力が感じられる‥…ぐらいでしょうか」

「お義兄様、わたくしも何ともございませんわ」




「うっうっうう‥…俺の、俺の紋章…‥ううう」



ハイデさんの手の甲にくっきりと浮かんだ紋章。どうやら実験は成功だ。





ーーーーーーーーーー


「これでレティの能力の検証が出来てしまったね。‥…さて、どうしたものか」

「お義兄様‥…あのわたくし何か不味い事をしてしまいましたか」


「う~ん、レティは自覚が無いようだね。不味いと言えば不味いのかな‥‥ねぇレティ、義母上から魔力を流したり吸い取ったりしてはいけないと注意を受けなかったかい? 私の聞き間違えでなければ禁じ手としたと思ったのだけど、違ったのかな?」

「あっ?!」


しまった。そうでした。母さんからしちゃダメよといわれていた。

すっかり忘れていたけど、これもしかしたら母さんに怒られ案件ではなかろうか。不味い!


「その顔だと注意を受けていたようだね。ふふ、今回は見逃してあげようね。さて、では契約魔法を結んでもらいましょう。ハイデ用意を」


どうやらこれは隠しておかなければダメなやつだったのか。

レティエルの能力が他に漏れるのは不味いわけだ。

義兄曰く、契約魔法を無効化出来るかも知れない能力らしく、これは絶対他人にバレてはいけないと釘をさされた。

悪事に使用できると言われれば俺も自粛するよ。



義兄とハイデさんとギルベルトは契約魔法を結び、レティエルの秘密は守られた。



「ねぇレティ、君のこの能力だけど後で絶対に義父上と義母上の助けとなるからね。それだけは忘れないで、いいかい?」


「お義兄様?」




「ふふ、『悪食の王』再来かな? 我が公爵家を除いた三公どもめ。契約無効の手段があると知ったら。くくく、さぞや悔しかろう。ははは私を嵌めようと企む馬鹿には‥…さて」


楽し気に呟く義兄の言葉が俺達に聞こえることはなかった。





ギルベルトの紋章は彼の信用度が増すまでお預け案件となり不承不承ながら彼は義兄の下僕と化した‥‥‥どんまーい!



「はぁ‥‥‥こんな任務聞いてないよ‥‥‥」

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