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転生先は小説の‥‥。  作者: 久喜 恵
第八章 出揃った駒

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馬車に揺られて


ポッカ、ポッカ、ポッカ


…‥馬だよ。馬。


ポッカ、ポッカ、ポッカ


‥‥‥‥夕暮れが近いなぁ


ポッカ、ポッカ、ポッカ


…‥‥‥。


ポッカ、ポッカ、ポッカ



『ティ、貴女アッシア語は話せて?』

「えっ?」あっ、しまった母さんに睨まれた。ゴホン、ゴホン。

『‥…ハイ。ある程度は使えます』


アッシア語…帝国領の古い地方の言葉。帝国の公用語とは違う言語だけど、帝国貴族は多国言語や古い言語を習得する習慣がある。王国貴族には無いよそんな習慣。我が家は帝国に倣ったわけだ。もち、俺も幼少時から勉強を強いられたよ。

こうやって秘密の話に打ってつけなんだ。

え? 盗聴防止の魔術具使えって? だって今ないもん。


ポッカ、ポッカ、ポッカ


『貴方達は話せて?』

『『はい。奥様』』

『ランバード様直属の私兵は話せます』


「‥…はい?」え? 今何て?


ポッカ、ポッカ、ポッカ


『貴方達、アレ読み取れたでしょう?』

『はい、あれは帝国軍のでした。あの者は軍と何らかの関りがあるかと』

『あのダルと言う男は、あの者の仲間なのでしょうか?』 

『‥‥それね、わたくしも考えあぐねているの。でも御者の男と連携していたでしょ? 二人が仲間だとしてもわたくし達の味方だとは判断出来ないわね』


ポッカ、ポッカ、ポッカ


はて? 帝国軍? 聞き間違いかなぁ、会話に入れないんだけど‥…


『奥様。ダルは精神支配系の能力でした。もしかすると影響下にあるのかも知れません』

『そうね、その可能性もあったわ。‥‥仕方がないわね、暫くは様子を見ましょう。宜しくて?』

『『はっ!』』


『…‥‥‥‥‥‥なんて?』


ポッカ、ポッカ、ポッカ、ポッカ、ポッカ、ポッカ


『『『…‥‥‥‥』』』


‥‥知ってる。俺知ってるよ。俺を見るその顔、呆れ顔でしょ? 



『コホン。ティ、貴女その言葉遣いは何ですか。‥‥まあいいでしょう。話は聞いていたわね? ‥‥あらやだ言葉が分からなかったのかしら。困ったわね』

『あ、申し訳ございませんお母様。ええ~と、あの‥‥御者は帝国軍と関わりがある、で、合っていますか? それとダルが精神支配を行っている可能性があるのと暫くは様子を見る‥‥のでしたらこの状態のまま? 副団長の命令に従うのですか』


『あら、ちゃんと理解しているじゃない。そうよ、その通りです』

『流石はお嬢様です。流暢に話せていらっしゃる』

『ああ、ありがとう? ちょっと恥ずかしいです。その、何故、そうお思いになったの? もしかしてあの手振りで?』

『はい、そうです。あれは所属部署と身分を示していました』

『あの男は帝国軍、情報部に所属する諜報員で、ギルガと名乗っており御者の姿は連絡係を担っていたためだと申しておりました』


ポッカ、ポッカ、ポッカ


『は? ゴホンゴホン、そ、そんなはっきりと素性を明かしていたのですか? あの最中に?』


あれサインどころか手話じゃね? しっかり素性をバラしてたよ! いいの?

いやそれより護衛も母さんも何で分かったの? 帝国軍だよね? 知ってたの?



何と、護衛は元帝国軍人でした。あのサインは帝国軍所属の者なら誰でも使えるモノだそうだ。声を出せない状況とかちょっと離れた場所での遣り取りとか。本来の用途は味方同士のコンタクトだって。わ~あれかドラマで見る特殊部隊の潜入で使うサインみたいなやつか。なるほど?


興味本位で退役理由を尋ねたら‥‥‥ちょっとどうかと思うよそれは。

魔力の無い義兄の戦いっぷりに痺れたそうだ。尊敬してんだってさ。そうかい。これ以上は突っ込んで聞かないからね。義兄の話は今はイイや。そう言えば、この人達の魔力って殆ど無いんだっけ。ふうん…‥そうか。



『ティ、本来は任務中は素性を明かさないの。‥‥何か理由がありそうね』

『‥‥油断出来ません。何を吹っかけてくるのやら』

『あの副団長と騎士を連れ立ってのも、非常に気になります。何らかの思惑があってのことでしょうか』

『そうね‥‥だけど考えても限がないわね。油断せずに出来得る限りの手を尽くしましょう。で、ティ、貴女魔封じ壊せて?』


「はっ?!」



本日、二話目です。

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