旅立つ前に
「明日から旅を始めたいと思うんだ。」
部屋に戻ると開口一番に二人に気持ちを伝えた。
「旅…ですか?」
「うん、この世界を知りたいんだ」
「主は知らないのですか?」
「記憶がないからね。」
頷き小屋にいたこと、盗賊を見つけて倒したこと、スキルのことなど今までのことを話をする。
「では、私たちは旅をするための戦力ですね。」
「まぁ味方という感じだね。」
「…ご主人様…これからどこにいくの?」
「それはご飯を食べながら話そう。ついてきて」
「はい。」
「じゃあ食べようか」
椅子に座ると3人分の食事を準備が出来ており座ろうとしない二人に言った。
「なぜ3人分あるのですか?」
「カルティアとカルヤの分。一緒に食べるんだよ。」
「一緒に食べるの?」
「しかし、私たちは奴隷で主人と食事をとる話はきいたことありません」
「僕のわがまま?
とりあえず座ってね」
二人は奴隷としての常識を問いかけたけどしぶしぶ座った。
「じゃあ改めて食べようね。お金はすでに払っていることだし無駄にしないでよ」
「分かりました」
食事に入りながら話を続ける。
「それでカルヤどこに向かうかだよね。
一つ聞きたいんだけど迷宮とかあるのかな?」
「ありますよ、ただし私たちは奴隷になって長いので詳しくはわかりませんが」
「なるほど。迷宮に興味あるからそれを基準に旅をしようと思うんだけど質問とかある?」
「…ご主人様は……強いの?」
「う~ん…分からないかも。簡単に負けるつもりないけど」
話し込んでいると奥にいた客らしい人がこちらにやって来た。
「おい、迷宮がどうの聞こえたが貴様のようなガキが入るとか言うんじゃないだろうな?」
「そのまさかだよ?何か悪いのかな?」
「はっはっはっ……正気かよ?
無理だ、止めときな。武器と…奴隷は上等のようだが。
それと忠告しておくぜ。奴隷の扱いがなっちゃいねぇ。奴隷を座らせるな」
こちらのことを弱いと思っているのかめちゃくちゃなことを言うな。
「ならあなたは弱いんだね。
それと奴隷は主人の決めることで他人に言われることではないんじゃない?」
「貴様!?俺が弱いだと?レベル30を越える俺が…叩きのめしてやろうか」
「やめといた方がいいよ、負けた時惨めになるから」
「なっ…それ以上侮辱するなら殺す。」
「あの…我が主ここで挑発はよろしくないのでは?」
冒険者らしい人を挑発しているとカルティアが話てきた。
「大丈夫だよ、理由があるから。後で話すね」
すぐに話を切り上げて冒険者に言う
「そこまで言うなら表に出る?ここじゃ店の迷惑になるし」
「……いいだろう、その軽口を潰してやる。」
挑発に乗る冒険者が冷静に答えて先に宿の前に出る。
「一つ聞くけど勝ち負けはどうするの?」
「ふん、お前を殺して終わりだ。」
意外と冷静でないね、彼。
「僕は殺すつもりないから死ぬか負けを認めるかね」
勝ち負けを表示しながら野太刀を取り出す。
「あぁ、じゃあ死ね…」
野太刀を抜いた瞬間いきなりせめて来た。
相手は片手剣を使い盗賊と違って訓練した動きで近づき剣を降り下ろして来た。
いきなりだったためギリギリだが野太刀で防ぐ。
「おい、この程度か?」
反撃を予想していたのだろう。
イクスメストとマルスマギナの発動させて答える。
「まさか、今から見せるよ…ナーガ?さん」
イクスメストにより入った情報
名前:ナーガ=ライアンス
レベル:35
クラス:冒険者、剣士
スキル:連撃
「なっ!?
なぜ名前をしっている?」
「それは内緒…でっ⁉」
質問に答える暇もなく攻められてなかなか反撃ができない。
「たわいない。終わりだ。」
一瞬ぞくっと嫌な感じがして野太刀を前に出して心臓あたりで受ける形にした瞬間、一瞬で3連撃野太刀に当たるのを見えた。
「よく耐えたな。防御だけはできるようだな」
笑いながら言うナーガはすでに勝利を確信しているようだ。
とりあえず今のが連撃かな。
自分のスキルに連撃が書き込まれていた。
連撃は思った連撃を一瞬で相手に叩き込むスキルのようだ。
「そろそろいいかな。」
「何?」
ナーガの訓練された動きをうまく使い一瞬の隙を見て攻め始める。
「なっ、その動きは」
ナーガは急に動きの変わった俺に焦りだす。
「これで終わりとか言ってなかった?」
「当たり前だ!!」
全く同じ動きで挑発しながら攻めていると隙のある攻めをしてきた。
その隙をついて連撃を発動し致命傷を与える。
「残念だったね、終わりみたいだよ」
「その技は俺の…どうして使える?」
自分の使う技は分かるのか驚きのまま傷口を押さえながら近づき震えて聞いてくる。
「教えるつもりないよ、それよりまだやる?」
笑顔で聞くと目の前でナーガは座り首を振る。
「この状態でやっても勝てる自信ないな、立つのがやっとだ」
まさか自分の手でやられるとは思わず諦めたようだ。
「よかった、僕の勝ちだね。それで聞きたいことあるんだけど」
「迷宮の場所だろ?聞いていた。ここから近いところだと南にある『ヒュードル』という町にある。」
「ありがとう行ってみるね。治療はいい?」
「このくらいじぶんでできる。2つ聞きたい…貴様の名前とレベルは」
「神野亮、レベルは8だよ」
伝えると愕然としているナーガをおいてカルティアとカルヤを連れて部屋に戻る。
「我が主なぜこのようなことをなさったのですか」
部屋に入ったとたんにカルティアは強い口調で言う。
「説明するから。挑発して戦ったことだよね?」
「はい、そのことです。」
「僕のことを話しているの覚えているかな?」
「ご主人様の記憶がないことや盗賊に襲われたこと?」
カルヤの反応に頷く。
「そうだよ、迷宮にいくのに戦闘ができるわけでもないからこのままいいのかなと思ってたところへ強そうな冒険者。戦いを覚えようと思ってね」
「それであれですか。そういえば初めの頃の動きと後の動きそれと技…ですか、疑問があるのですが」
「僕のスキルをちゃんと説明していなかったね。今回のことで完全にわかったことでもあるけどね。
僕のスキルは鑑定、あらゆる動作の観察し記憶して効率のいい動き自分のものにしたりスキルを発動できるようになるんだ。」
「納得しました。これから先にいくとき戦いやすいように覚えたということですね。」
「そういうことだよ、さあ明日にそなえて寝ようか。」
話は終わりとばかりに手を叩いてベッドに行くと2人は床に座っている。
「2人ともこっちに来なよ。」
「さすがにベッドに寝るわけには…」
「それはなしね…しょうがないから命令するね、僕と一緒に寝ること」
「わかりました」
2人とも頷いてベッドに乗るとカルヤがふかふかと言ってすぐに眠ってしまう。
「疲れていたみたいだね。カルティアお休み」
「はい、おやすみなさい」
目が覚めるとすでに2人は起きて整えていた。
「おはようカルティア、カルヤ」
「おはようございます。我が主。」
「おはよう…ご主人様」
「もう準備してあるんだ」
「はい、すぐにでも出発できますよ」
「それじゃ出発しよう」
「はい」
「うん」