No.1 始まり
処女作となります。
色々と拙い部分があると思いますが、暖かい目で見守っていただけると嬉しいです……!
木造の家々が立ち並ぶ村、その中の一軒。もう日は高く上がっている。外からは子供達のはしゃぐ声がわいわいと聞こえてくる。窓から差し込んでくる太陽の光を浴びて、少年は目を覚ました。
「ふぁーぁ。ん……、もうこんな時間か」
両手を上げて伸びをする。少年はベッドからゆっくりと降り、ふらふらとした足取りでドアへ向かった。
これと言った特徴がない少年だ。強いて言う特徴といえば、ここらではあまり見かけない、短い黒髪に黒い目だ。顔に関しては平凡であり、体格は鍛えているのか筋肉質で、引き締まった身体をしている。
そのまま歩きながら、少年は思い出したかのように言う。
「――俺ももうすぐ、魔術がもらえるんだ……」
そして手をドアノブへ伸ばした。ドアノブをひねってみると木製だからか、古いからなのか「キィ…」と木を軋ますような音を立てる。そのまま、自身の方へ引くようにドアを動かす。
そして、ドアが開き――。
その寸前。
「おーい、ミナト!!起こしに来てやったぞー!!!」
そんな叫び声とともに少年――ミナトが今開こうとしていたドアがすごい勢いで開く。
当然、近くにいたミナトはドアによって吹き飛ばされる。
開いたドアの先に立っていたのは1人の少年だった。銀色の綺麗な髪の毛の少年だ。若干つり目なせいか、強気な印象を受ける。
「いってて……。てめえ何しやがんだよ、クレイ!」
クレイと呼ばれた少年は、ニカッと笑いながら悪びれずに誠意のこもっていない謝罪をする。
「あっはっは。悪りぃ悪りぃ。 そんちょーさんがミナト起こしてこーいっていってたから起こしに来たんだわ」
「そうなのか。とりあえず次からはドアに優しく俺に優しく! だからな。また次やったらボコすから」
「へいへい、おーけぃおーけぃ」
注意するミナトに対し、クレイは半ば面倒臭そうに返事をする。
「んで?他になんか用事あるか?とりあえず俺着替えたいんだけど」
「お。じゃあ着替えてくれ。ここで待ってるから」
改めて「キィ…」という音を響かせながらミナトの家の扉が開いた。
「ごめん、遅くなった。 それで用事って?」
「ああ、お前って明日から『成人の祝福』をしに街へ向かうだろ?だからパーティするんだってよ。というわけで夜までには村長の家に来てくれ」
「よっしゃ、了解。持ちもんとかは無いよな」
「おう。美味い物用意して待ってるからな」
――成人の祝福。
それは15歳となり、成人になった事を祝う伝統行事だ。しかしメインはそれではない。神様が与えてくれるという『魔術』を授かる事、それこそがメインイベントなのだ。
その魔術は数え切れないほどの種類があり、戦闘に向いたもの、人々を助けるようなもの、商売に使えるもの、などの様々な魔術がある。
『成人の祝福』を受けるには、街にある協会に行かなければならない。ミナトは明日の早朝馬車に乗り、半日かけて街へ向かうのだ。
最後まで読んでくださり、誠にありがとうございます。
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