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無色の白花と聖なる黒騎士  作者: 古川一樹
4/11

復讐者と少女

「さっきは取り乱してすまなかった。」


ダークナイトがもじもじと恥じらいながら俺に言った。

俺はダークナイトから少し離れると振り返った。フリルがふんだんにあしらわれたスカートがふわりと揺れて言った。


「気にしない。気にしない。辛いときはお互い様だ。」


友人がつらい時に手助けができたことに喜びと充足感を感じる。

自然と声のトーンは高くなり笑みが零れた。

ダークナイトは当初は暗い表情だったが今は少し明るくなり微笑み返した。


「危ない!!!!!!」


それは突然の出来事だった。俺はダークナイトに押しのけられた。


「えっ!?」


俺は事態が理解できず尻もちをつくがすぐに立ち上がると周囲を警戒した。

辺り一面が土煙が舞い上がり視界が悪い。そして何より俺を突き飛ばした張本人がいなくなっていた。

ダークナイトの安否が心配になった俺は周囲を探すため慎重に歩き出す。

だがすぐに地面の小石に躓きバランスを崩した。その時だった――― 。


「ぐあ。ゴホ、ゴホォ。」


俺は何者かの強烈なパンチを腹部に受けて宙を舞った。お腹の痛みと共咳き込むように吐血する。

その状態から畳みかけるように背中に攻撃を受けて地面に身体を強打した。

気管に血が入ったのかむせて呼吸が苦しい。


「いたい。」


視界がぐにゃりと歪んで冷たい液体が頬を伝う。敵の攻撃を何度も受けた腹部は常に強い痛みがある。しかも痛みに悶える事も許されずセミロングの髪の毛を掴まれて強制的に顔を上げさせられる。

ブチブチと髪の毛が切れる音と痛みに俺は表情を歪めた。

苦痛に急な敵来襲によって心は恐怖に塗りつぶされ身体は小刻みに震えている。


「あなた、何者。」


恐喝するような強い口調が耳元で聞こえた。

それが女性の声だと認識するまで時間がかかるほどドスのきいた男のような力強さを持った声だった。


「すのー、どろっぷ。」


恐怖と痛みに身を引き裂かれそうな思いを振り払い、絞り出すような声でそう言った。


「この偽物が!!!!!!」


俺の言葉を聞いた女性はさらに激昂して俺の顔を固いコンクリートの地面に打ち付けた。声も出ないくらいの痛みと鼻からは血が吹き出て視界がグラグラと揺れて気持ち悪い。


「や、めて。」


俺は放心状態で壊れた機械のように何度も何度も言った。

だが女性の怒りは収まることなく、俺を乱暴に仰向けにするとその上に乗って押さえつける。

ぼやける視界の中、女性の怒りにひどく歪んだ顔が映った。


「その力は。あの子の。あの子のものなのよ!

人から力を奪ったダークヒーローがのうのうと生きられると思うな。

生きていることを後悔するぐらい恐怖を与えてお前を殺してやる!!!!!」


片手を振り上げたと思ったときには恐怖で頭が真っ白になった。

振り下ろされる手がスローモーションに見える。こんな状況なのに女性の背後にある空が夕日の赤色が漆黒の闇に飲まれていく様が美しいとさえ思えた。

僅かに残る理性が死を覚悟して現実逃避したいと思ったのだろうか。


ふいに走馬燈のように情景が浮かんだ。それは光景は魔法少女の力を譲り受けた時だった。

まだここで終わりたくない。あの子の意志を継いだばかりだというのに。

その想いが消えかけた心の灯に薪をくべた様にごうごうと燃え上がった。


心は強く持っていても、やっぱり迫りくる痛みが怖くて思い切り目をつぶり歯を食いしばる。

数秒の時が流れ、感じるはずの感覚がなく不思議に思う。そして恐る恐る目を見開いた。


「ぐああああああああああああああ。」


女性がダークナイトに吹き飛ばされる瞬間が見えた。

叫び声と共に俺の上に乗っていた重さがなくなり女性は吹き飛んでいった。


起き上がることもできずただ地面に寝そべりその光景を眺めていると、ダークナイトは女性から俺を隠すように背中を向けて言った。


「大丈夫か!? 少し待ってろ。アイツをなんとかしてくる。」


俺は声を出すことができずのっそりと片手を上げて答えた。まだダメージを受けた部分は熱を帯びたように感じられる。だがダークナイトが加勢してくれたことでもう大丈夫だと安心できた。

その様子を首だけ動かして確認するとダークナイトは対面している女性に怒りを露わにして睨みつける。

冷たさと土煙が混じった秋風が肌を撫でると熱はいくぶん静かに消えて意識が明瞭になった。


「なんでダークヒーローの肩を持つの!!!!!

はっ!? あなたも仲間なのね。」


女性はよく見れば巫女服のような装束に金色の髪が光り輝いている。

一瞬見惚れてしまいそうな容姿と裏腹に表情は鬼の如くだった。

あまりにひどいその表情に巫女服の女性がヒーローだと気が付くのに少し時間がかかった。


「そうだ。仲間だ。だが俺たちはダークヒーローじゃない!」


「ふん。見え透いた嘘を。さてはその女の正体も知らないのね。」


ダークナイトの返答にさらに表情を歪ませて不吉な笑みで俺たちを睨みつける。

その視線は俺とダークナイトを視界に収めながらも虚ろでどこをみているかわからない。


「スノードロップの正体?」


「そいつは本物のスノードロップから力を奪ったのよ。」


「荒唐無稽な話だな。それを信じろと?」


ダークナイトは巫女服の女性の話など鼻にもかけない様子で言った。


「そうじゃなきゃ辻褄があわないわ。本物のスノードロップは亡くなっているのだから。」


この世のあらゆるものより冷たい視線は、ナイフで突き刺さったような鋭さと閻魔大王も恐れおののきそうな怒気を孕んでいる。


「違う。確かに俺は"本物スノードロップじゃない。"でも彼女から力を託されたんだ。奪ってなんかいない。」


神に誓ってそう言える。真実なのだから何も恥じることはないのだ。だから張り詰めた雰囲気に圧されて縮こまりそうになる心を鼓舞して言った。


「嘘よ。力の譲渡はできないの。だからあなたはあの子から力を奪ったとしか考えられない。」


巫女服の女性の言葉に俺は声がでなかった。力の譲渡ができない事が普通のヒーローならば周知の事実だとしたら俺は余計な事を口走ってしまったかもしれない。もしこの仮定が正しければ先ほどの俺の言葉は嘘にしか聞こえないだろう。


「確かにヒーローの力は他人に渡せるモノじゃない。」


ダークナイトが巫女服の女性へ返答した瞬間。まるで世界から色が消えたような感覚に襲われる。

その口調は淡々としていていまいち感情が読めないが、少なくてもこれだけはわかる。先ほどの俺の言い分がこの場にいる全員に怪しまれたということだ。


例え事実がどうであれこの状況で疑念を持たれるのはマズイ。

巫女服の女性が俺を悪者だと言いその人物は疑わしいとすれば、最悪二人から罰せられる可能性がある。

しかも罰しようとする相手が殺意むき出しなのだから殺される事も覚悟しなければならないだろう。


次のダークナイトの返答次第で俺は二人から敵対視される可能性を考え身を震わせた。

なのに俺の身体はこの場から逃げ出せるほど動けそうにない。

絶体絶命な状況にごくりとつばを飲み込んで両の手を力強く結んでやり取りを見守る。


「お前の話はわかった。だがな。俺はそれでもこのスノードロップが悪い奴だと思えない。俺はこいつが何人もの人を救うのをこの目で見た。その姿は間違いなく"正義のヒーローだ。"」


幸いな事に現実は俺の想像通りにはならなかった。ダークナイトは今得た情報を吟味した上で言い切ったのだ。

本来ならば俺は疑われるべき場面だった。でもダークナイトはそんなことは一切しなかった。その信頼がただただ嬉しかった。


「ふん、わからずやな男。いいわ。邪魔をするなら二人とも殺すだけよ。」


巫女服の女性はとても髪が震えて頬がびくびくと動いている。


「物騒な奴だ。お前の方がよっぽどダークヒーローじゃないか。」


ダークナイトは巫女服の女性の言動を見てわかりやすい挑発をした。

その言葉を聞いた女性はみるみる怒り一色に表情を染めていく。その姿は先ほどまでが仏に見えてくるような強い怒りのオーラを全身から溢れ出している。


「てめぇは私に言ってはいけない事を言った。覚悟しろ。必ずぶっ殺す。」


巫女服の女性は突如何もない空間から矛鈴を取り出した。渇いた鈴の音と共に不自然な突風が吹き荒れる。それが彼女の魔法だと気が付くとすぐにこの後の行動も理解できた。と同時に緊迫した状況だと認識する。


「闇切雷神招来。」


ダークナイトはすぐに女性の行動を止めるために雷撃を放った。

雷は波を打つように女性へと凄まじい轟音と共に迫っていく。

だが攻撃は当たることなく霧散した。


「無駄よ。私の魔法は風。あなたの攻撃は私に届かないわ!」


巫女服の女性が愉快そうに高笑いする。

女性の持つ矛鈴からは絶え間なく風の奔流が吹き荒れ次の攻撃は必殺の一撃になることは明白だった。

このままだとマズイと俺は最後の力を振り絞り、ふらつきながらも必死に立ち上がると叫んだ。


「"動くな。やめるんだ!"」


その言葉に吹きすさむ風はぴたりと止まった。


「魔法が消えた…… ? てめぇ私に何をした?」


魔法は消え去り身動きがとれなくなった巫女服の女性は困惑している。俺は気取られないようにダークナイトに近づくと言った。


「逃げよう。」


「だがあの女に言われっぱなしでいいのか?」


「このままだと俺たちが不利。向こうはこちらを殺す気なんだから一旦態勢を立て直さないと。」


負傷している俺を守りながら戦えば必ず足を引っ張るだろう。そして何よりもう俺が変身を維持できないくらい消耗している。さっきの魔法が最後の力だった。逃げるなら今しかない。


「そうだな。」


ダークナイトは俺の表情から察したようで頷くとひょいっと俺を抱きかかえた。


「おい! ちょっと何するんだ。」


俺は軽々と持ち上げられるとまたお姫様抱っこの状態になった。

そんな自分を客観的に想像して恥ずかしさで顔が熱くなった。せめてもの抵抗で力の入らない両手を精一杯バタバタと動かしてみる。だが力入らない攻撃は胸を軽く押すような心地良い感覚しか与えられていないようで、ダークナイトがくすぐったそうに身をよじる。


「暴れるな。その怪我じゃまともに動けないだろ。ちょっと我慢しとけ。」


大変不本意だが確かにもう一人で動けるほど力は残ってないし、ダークナイトに抱えられて移動した方が早い。頭では理解しているが気持ちが納得しない。だったら肩を貸してくれればいいじゃないか。なんでわざわざ抱っこなんだ! 恥ずかしいだろ!


俺の葛藤を他所にダークナイトはこの場を離れようと動き出したその時だった。


「待ちなさい! よくも私に魔法をかけてくれたわね。」


すごい剣幕で巫女服の女性が言った。俺のさっきの言葉が魔法だとようやく気が付いたようだった。

不自然な言葉と共に"身体が動かなくなり魔法がうてなくなる"。そんな状況を作り出すモノは魔法しかない。


そう、俺の魔法は"言葉で他人を操る"力。その力で動きを止めたが魔力も残りすくないため効果時間が短かったようだ。


またもや風が周囲を縦横無尽に駆け巡る。俺の魔法と言う拘束具を脱いだ鬼はもう止める術もなく、迫り来る破壊に身を強張らせるだけだった。


「そこまでよ。」


その時だった。緊迫した状況に透き通るような綺麗な声が響き渡った。

俺たちと巫女服の女性のちょうど中央に降り立ったのは白銀の衣を纏った女性だった。

小柄な女性は神々しい白い光が体中から溢れ出し、まるで女神や天使様が地上に降り立ったと錯覚するような美しい姿だった。


そして優雅な立ち振る舞いで振り向くと綺麗な青い瞳が俺とダークナイトを見据えて言った。


「ここは私に任せて逃げなさい。」


「でも…… 。」そう言おうとして口から言葉がでなくなった。白銀の女性の目を覆いたくなるような眩しい笑顔に無言の説得力があった。俺たちはそのまま白銀の女性に従い、お礼を言ってそのまま立ち去った。背後で怒鳴り散らかす巫女服の女性の声が聞こえたが白銀の女神のお蔭か追ってくることはなった。


安全になったと認識する頃には俺の視界が暗転していた。


=============================================================================


「うううん。」


深い眠りの底からゆっくりと浮かび上がる。寝起きで意識と肉体が上手につながっていないので、体が思うように動かない。

とりあえず寝返りを打って身体をほぐしてみると身体中から電撃のように痺れる痛みが走る。

全身はだるくて特に瞼はいつまでたっても開かない。

やっとこさ瞳を見開けば見慣れた天井の木目に常夜灯の淡いオレンジ色の光が部屋をやさしく包み込む。


部屋の窓から溢れる光がサーチライトのように外の雨脚を捉えると、息を大きく吸い込み和室独特の畳の香りを感じた。

のっそりと身体を起こしてようやく自室の布団で寝ていたのだと気が付いた。


徐々に意識が覚醒してくると疑問がふつふつと湧いてくる。

俺は巫女服の女性から逃げるためダークナイトに運ばれていたはずだ。

そこまでの記憶はあった。だがその先は全く思いだすことができなかった。


「起きたか。身体は大丈夫か? 一応医者には診せたが傷むか?」


台所を隔てるガラス扉がギシギシと音を立てて開かれると信がやってくる。

そして心配そうに俺を見つめながら言った。


「少し傷むけど大丈夫そう。それより俺はどうしてここに。」


信は困った顔のまま腕を組んで思案している。


「さて。どこから話したものか。というよりむしろ俺が色々聞きたいのだが?」


「ん?」


質問をしたら逆に質問で返された。俺は驚いて聞き返す。

すると信は布団の近くに座ると俺の目を直視して言った。


「お前がスノードロップだったんだな。」


「えっ!?」


信から発せられた言葉に再び驚きの声が上がる。

なんでスノードロップの正体が俺だと知っているんだ。

いやそもそもなんで俺はこの部屋で寝ているんだ。


「"えっ!? "じゃねぇーよ。俺はヒーローのことお前に話したのに水臭いじゃないか。」


そんな疑問が点と点で繋がりようやく事態が呑み込めてきた。

つまりはダークナイトに運ばれている途中に変身が解けてしまったようだ。

そしてスノードロップの正体を知った信は俺の部屋まで運んでくれたわけか。


「ごめん。信じてもらえないかもしれないけど、あの時言おうとしたんだ。本当だよ。」


俺の言葉を聞いて信は納得がいかない様子で眉間にくっきりと皺を寄せて、きつい目つきで突っかかるような口調で言った。


「信じられない。ビル崩落事故もそうだし魔法少女の件もそうだ。なんで俺には何も相談してくれないんだ。そんなに俺は頼りないか? 信用できないか?」


「そんな風には思ってないよ。ただ言いにくかったんだ。だって男が女の子になるんだぜ。気持ち悪いじゃん。」


「俺は友人がどんな姿でも気持ち悪いなんて思わない。中身はおんなじ桂なんだからな。それに子供の頃も昨日も。約束しただろ? 何でも隠さず話そうって。」


「ううぅ。ごめん。」


思った以上に信が怒っていて罪悪感と不安で心がいっぱいになる。

そんな気持ちを表すように細い崖っぷちに追い込まれたような声が出た。


もっと怒られる。もしかしたら絶交だ! みたいな話になるかもしれない。不安で引き裂かれそうな俺の気持ちを知ってか知らずか絶妙な間を空けて信は言った。


「悪いと思ってるなら今度こそ包み隠さず話してくれよ? お前はいっつも一人で抱え込むからな。危なっかしいんだよ。心配なんだよ。」


そう言うとニッコリと笑顔を見せて俺の肩に手をのせる。

俺はホッと胸を撫で下ろしてもう一度信に謝罪をした。そして俺が知りうる本当の事件の概要を説明した。


あの日の学校帰りに子供たちが解体予定のビルに入っていくのが見えた。

俺は注意するために後を追うと老年の男性に襲われた。その男性は不思議な力を使っていた。あの当時はわからなかったがあの人もヒーローなのだろう。だが正義のヒーローではなくダークヒーローだった。


そう、俺と子供を殺そうとしたのだ。何の力も持たない一般人に抵抗などできるはずもなく、もうちょっとで死ぬところだった。だが間一髪のところを本物のスノードロップが現れて身を挺して守ってくれたんだ。その姿は女の子なのにかっこいいと思ってしまうほど輝いていて、俺がヒーローにあこがれるには十分な出来事だった。

そして戦いの末スノードロップは瀕死の重傷を負ってしまい、その死に際にヒーローの力を俺に譲り渡した。そして俺は新たなスノードロップとしてダークヒーローと戦い、勝った。

以後スノードロップの意志を継いでヒーローとして活動している。


「結局そのダークヒーローはどうしたんだ?」


「死んだ。」


短く淡々とそう答えた。それを聞いた信は目を大きく見開いて身を乗り出すと俺に問う。


「殺したのか!?」


「違うよ。俺は無力化しただけだよ。でも何者かに狙撃されて死んだ。」


何か引っかかるとことがあるようで顎に手を当てて思案する。そして確かめるようにゆっくりと口を開いて言った。


「狙撃…… 。知っていると思うがヒーローは普通の兵器は効かない。もしそんなヒーローを倒せるとしたら同じ存在だけだろう。」


ダークヒーローを別のヒーローが殺した? なぜそんなことを?

そう考えて合点がいく。老人のダークヒーローは無力化されて後は警察に捕まる所だった。

だがそうなると困る連中がいたと考えれば―――― 。


「つまり口封じされたってこと?」


全身が電気を感じたようにびりっと震える。あの時俺はヒーローである少女の死に深く悲しみ動揺していた。だから今の今まであの事件にまだまだ謎が残っているなんて考えもしなかった。

ただただ亡くなった少女の意志を継ぐことばかり考えていた。


「そう考えるのが妥当だろうな。」


ただのダークヒーローの暴走だと思っていた事件。だががその暴走したダークヒーローを殺した奴がいると知った上で事件を俯瞰すると新たな発見がある。


「お前に言われて気が付いたがもう一つ疑問がある。本物のスノードロップは何者かに追われていたように思うんだ。」


「ほう? なぜそう思う。」


「ダークヒーローが言ったんだ。"スノードロップは知りすぎた"って。」


そう言葉にしてなんとも言えない大きな悲しみの底に突き落とされる。

亡くなった少女は本当に正義感の強い理想のヒーローだった。身を挺して一般人を守り悪に勇猛果敢に戦いを挑む。その姿に俺は魅せられた。


その正体はまだ幼く未来のある子供だった。彼女こそが本物のヒーローなのにそれを私利私欲に心を濁したヒーローに殺されてのだ。少女のことを思うといたたまれない気持ちになる。


「知りすぎたか…… 。問題は何をだよな? 命を狙われるような秘密だとするとかなり危険な事件だな。」


もし本物のスノードロップが何かを追っていたのだとして、そのせいで亡くなったのなら俺は力を引き継いだ者として真実にたどり着かねばならない。何より俺が憧れ魅せられた少女の敵を討ちたいという気持ちが芽生えていた。


「でもこのまま何もしないわけにはいかないよ。事件ならなおさらヒーローとして答えを探さないと。」


「ああ、そうじゃなきゃ殺された少女が報われない。」



=========================

最後まで御覧いただきありがとうございます。

よろしけば次回もお読みいただければと思います。


# 更新頻度は遅めです。


次回更新は11/13までには更新予定。

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