ステータスの謎
安心できる場所の方が良いだろうという事で、また警備詰所の個室へと戻ってきていた。
「えーっともう一回一時開示良いかな。」
そう言われたので許可した。
「俺は見れるから良いけどなっ。」
ランドさんは特殊なスキルを持ってるようだった。と言うかそれが無いとこの仕事出来ないよなと思いつつ。
「何この便利屋って…初めて見たんだけど。でだ、図鑑で確認したんだがメリットとデメリットの差がデカすぎるだろう。しかもそこに中性と無職とか完全に縛りプレイじゃねえか。開始直後は中性で無職と言うのは居たんだが、装備制限の余りの不味さに誰も残らなかった。ステータスの30%補正なのに盾が使えないって死ねと言われてる様な物なんだよ。しかも軽装備のみで装備品も30%補正されてしまう。更にウィンスの場合二刀流の装備の組み合わせが謎過ぎる。正直俺の持つ知識じゃ意味が分からない。」
「意味はあるぞ、偶然選んだ後に俺が教えたから分かってる筈だ。」
その言葉に風さんは戸惑いの色を隠せない。
「マジか…。でもナックルって指輪が装備出来なくなるって事で、今でも不遇武器筆頭だぞ。」
「問題ない、今直ぐじゃないが育てばそれすら打ち消せるメリットとなる。」
それを聞いた風さんが空を仰いだ…ああ此処は天井があるから空見えないや。
「知ってる本人が勝手に教える事は可能だが、無理やり聞く事は違反だぞ。」
知ってるよと風さんはランドさんに答えるが、隠しきれない悔しさがある。
「それに使い方を見て分かったとしても教えてもらわなきゃ使えねーからな。がっはっはっは。」
「マジでその情報料凄い価値があると思うから、迂闊に人に喋ったり教えたりしない事。ランドさん他に教えた人居るのか。」
「俺だってこんな組み合わせ初めてみたから、教えたのも初めてだぞ。」
でも知りたいんでしょと聞いてみたが、知りたくても等価交換出来る程の風さんだけが知ってる情報は持ってないと言われた。だから今はいいと。
「話を戻そう。それは良いとしてこのステータスの低さは何だ。30%補正があるとしてもあまりにも低すぎる。HPとか笑えないぞ。STRなんてこれで倒せるモンスターなんて一握りだぞ。これでレベル25とかどうやって上げるんだ。」
「それはな俺から説明してやろう。簡単な事だ。電脳補正だ。これだけの補正だから大脳の殆どに手を加えてあるのだろう。」
「なん…だ…と……電脳だと、金持ちか。」
もう分かると思うが一部電脳とはいえ、非常に高額なのだ。
本人の処理速度が生身の人間の脳と別次元なのである。
「正直に云った方が良いのか。」
「個人情報だからウィンスの意思次第だが、ステータスの開示は気軽にしないほうが良い。電脳に否定的な奴等も居るからな。」
しかしもう知られてしまったのだから言うことにした。恐らく風さんは悪い人には思えない。俺の勘が当たってるかどうか分からないけどそう思えた。
「頭頂葉・前頭葉・後頭葉・側頭葉・中脳・小脳の部分電脳だ。」
「大脳どころじゃねえ、殆ど手を加えてあるな。事故か病気だな。」
正解だと。あまり思い出したくもないから詳しくは話さない。
「だから5ポイントも使って韋駄天取ったのか。」
「それは俺のお勧めだ。ステータスの低さで予想はしていた。」
合点が云ったとばかりの表情に変わった風さん。しかし俺はイマイチ解っていない。
先ず掲示板クエストの前に、魔法を覚えに行くぞと言われた。
相性の良い魔法の内適正優の風時間・風空間・時間空間・空間音に必要な風・時間・空間・音を覚える方が良いと。何なら覚えれるものは全て覚えてもいいと言う。そして絶望的なまでにMP=SPRが足らないと云う事も。方向性だけは聞いたが考えて実行するのは俺だからこの先の育成は口出ししないと。しかし迷ったり困ったりしたらいつでも相談に乗ってくれるという。
そしてマジックショップへ向う間に、単一魔法の説明も聞いた。
適正優、風・時間・空間・音
適正有り、火・聖・毒
これが俺の適正で優四つと言うのは凄いと、優がないサブクラスもある。しかし適正無し、水・氷・地・闇・重力というのも致命的だとも云う。自然系五大魔法の内三つの水・氷・地が使えない事が痛いと。
先ず初心者魔法の風はウィンド・時間はタイム・空間はエリア・音はノイズという魔法。
火はファイア・聖はディヴァイン・毒はベノム以上が適性があり使える初心者魔法であり、初心者魔法同士だとしても合成魔法は使えると言う。しかしMP10だと一回しか使えない上に種類が限られると云う事だ。
そして本来初心者魔法は話を聞けばタダで貰えるが、サポーターがいる場合はサポーターの自腹だが安いので気にするなと言われた。
話が一区切り付いた頃にマジックショップへ到着し、風さんの自腹で覚えれる全てを覚えさせて貰った。
初心者合成魔法に関しては全て使えるということで、該当する物を見せて貰うとシステム的には覚えるが熟練度が1なので後は自分で上げろという事だ。
そしてその前に掲示板の所へ行きクエストを受ける。
場所は非常に分かりやすかった。街の真ん中にある塔の一階にある。この塔はギルドタワーと云う。
初期街なので使用しているギルドは少数らしい。
そうこうして歩き回っている内に、いつの間にか歩くことに慣れてフラつく事も無くなっていた。
それでも早すぎるから脳の処理が早いという事だなと納得された。
こんな話を街中で口頭で話すわけも行かず、サポーター機能やフレンド機能にある念話機能を使用している。
これは伝えたいと思った事だけを考えるだけで伝えれると言う優れものだった。考えてる事が全て筒抜けにならないのは非常に便利だ。
到着したので受けれるクエストを確認する。