4.説明
「……森?」
景色が変わったと思ったら私達は森の中にいた。まぁ、定番っちゃ定番だよね。
「さて、それではこの世界について説明をします。」
おおー、説明か。女神(仮)がやっと神様っぽいことしてくれるらしい。ちゃんと説明できたら(仮)を外して女神様って呼ぼう。
「まず、この世界は三つの大陸に別れています。それぞれの大陸の名前は面倒なので誰かに聞いてください。」
……(仮)を外す日はこなさそうだ。
「次に種族についてです。人間、エルフ、ジャイアント、獣人、この四種族が主となっていますが、探せば他の種族もいるはずです。」
「探せば、ってどこを探せばいいの?」
「それは自分で決めてください。次はお金について話します。金貨、銀貨、銅貨、基本はこの三つを使って取引等を行います。金貨は銀貨100枚分、銀貨は銅貨1000枚分となってます。」
「コイツ……。まぁいいや、『基本は』ってことはその三つ以外を使って取引する場合もあるんですか?」
「ええ。例えば物々交換などですね。他にも相手を脅して取引するなど、硬貨を使わなくても取引はできますよ。」
発想が物騒すぎる。この人ホントに神様なのか…?やっぱりただのアイタタタな人じゃ…。
「まぁ、その他諸々は自分でどうにかしてください。今から一番大切なステータスについてお話します。」
「ステータス?」
「はい。『ステータスが見たい』と思うだけで見れますよ。」
女神(仮)に言われたように「ステータスが見たい」と思ったらすぐにステータスらしきものが視界に映った。
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トモミ=キサラギ(15)
Lv.1 職業:学生
HP 32/32
MP ∞
スタミナ 20/20
スキル
無し
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……MPやばくね?
無限って何なの怖い…。確かに馬鹿みたいに魔力上げてっていったけどさ、普通限度ってものがあるじゃん?ね?まぁ、もう決まったことだし別に構わないけど。スキルについては仕方ないことだと思うからスルーで。
他は……うーん、HPは何となく分かるけどスタミナって何だろう?
「スタミナは…ある意味体力のようなものですね。」
「体力?HPと同じなの?」
「少し違います。HPが生命的なものなら、スタミナは肉体的なものです。分かりやすくいうとどれくらい運動できるか、といったところですね。」
「あー、なるほど。それでスタミナが低いと動きも鈍いし疲れやすくなるってこと?」
「ええ、そうです。」
ふむ、ということはスタミナは上げておいた方がいいな。…そういえばこの世界の人達のステータスの平均ってどれくらいだろ?
「女神様、他の人のステータスってどんな感じ?」
「人によりますが…智未さんと同い年の子の平均は大体、HPが50前後、魔力が100~500、スタミナが40前後といったところでしょうか。」
「待って。」
え、えっ?私のステータス酷すぎない?おかしいよね!?HPとスタミナ低すぎでしょ。平均の半分ってどういうことなの…弱すぎ…。貧弱貧弱ゥッ!!って言われるレベルだよ…。
「貴女が『ステータスは魔力に全振りでいい』って言ったんですよ。」
女神(仮)のその言葉に顔を引き攣らせた。(仮)って付けたのがそんなに気に食わなかったのか。ごめん。謝るから許して。なんて思っても女神(仮)はニコッて笑うだけだった。…自業自得ってこういうことかな。
…これはどうにかしないと死ぬ。割と本気で死ぬ。本気と書いてマジと読む。ふざけてる場合じゃないね、うん。
「あの、スタミナを上げる方法って…?」
「まぁ運動するしかありませんね。運動して基礎体力を上げるしか…。」
「ですよねー。」
うう…運動したくないよぉ…。
HPに関しては攻撃とか受けなきゃ何とかなるでしょ。一番大切なのはスタミナだよね。スタミナ無くて動けなくなったところを攻撃されたりしたら終わりだよ。
…ん?そういえば何で戦うこと前提に考えてるんだ?別にどこかの街でのんびり暮らすという手もあるじゃん。これなら別に運動しなくてすむ!やったね!
「…どうやって生活費を稼ぐつもりですか?」
「え?そりゃアルバイトしたりすればいいんじゃないですか。」
「スタミナが無いせいでろくに動くことも出来ず、要領も悪くなりクビになる、なんて可能性もありますねぇ…。」
「うっ…。」
ありそう!すごくありそう!くそっ、やっぱり運動するしかないのか…!はぁ…諦めよう。人生って諦めが肝心だよね。できればニートになりたかった。
「他には何かありますか?」
「今のところないです。」
女神(仮)に聞かれたので首を横に振って答える。不満なら沢山あるけどね。