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「……あなたが……町長……?」

「ああそうだ!」

「だってこの人私と同じくらいの……」

「ガキで悪かったな!俺がここの町長、ヴァン・リーバダムだ!覚えておけ!」

「本当に……?」

「本当ですよ。この方が町長ですわ」

 困ったことにヴァンが町長だと信じようとしない少女はなぜかクロエの言葉を聞くと納得したようだった。

 なぜクロエの言葉しか信じないのか。町長と呼ぶには若すぎる見た目だろうか。だがクロエだって多少大人びているがヴァンと同じくらいの年齢に見えるはずだ。

 いや、そんなことより大事なことがあった。この少女は何者なんだろうか。

「まあ信じようと信じまいと構わないが、まずお前は誰だ、なぜここに来てなぜここに町長がいるとわかった? それを俺達に教えてくれ。話はそれからだ」

「えっ……ああ……そうね私は……」

 少女は口をもごもごさせてなかなか話そうとしない。

 そんな態度に対してヴァンの中に若干の苛立ちが生まれ始めた時、クロエが涼しい顔をして衝撃的な言葉を放った。

「チェルミー・エルドラゴ……エルドラゴ国王の一人娘で王国を救うためにこの町にやってきた。 簡潔に言うとこんな感じでしょうか。どうですか、当たってます?」

「なっ……!?」

 苛立ちが一瞬で少女が王の娘だという驚愕へとひっくり返ってしまったヴァンはクロエとチェルミーと呼ばれた少女とを交互に見る。

 しかしヴァン以上に驚いているのはまだ何も話していないのに自らの素性を当てられた少女だった。

「は……ななななんで私のことを……?」

 クロエは驚きの対象は違うが驚きを隠せない二人を見て微笑を浮かべると疑問を晴らすべく、再び口を開く。

「あははっ、そこまで驚かなくてもいいじゃありませんか。簡単な魔法ですよ、魔法。精神系の魔法ですこしだけあなたの頭の中を覗いただけですから。それとヴァン様、この女の子は間違いなくエルドラゴ国王の娘さんですわ。ここに来た詳しい理由は……私が話してもいいですけど……やはり本人の口から聞くべきでしょう?」

「精神系の魔法……? そんな……魔法をかけられたのに全く気付かなかったわよ!? 普通、精神系の魔法をかけられたら頭がふわふわするっていうかなんというかするはずなのに…………あなた何者なのよ!」

「何者はこっちのセリフだ! チェルミーとかいったな?お互いに詳しい話は場所を変えて落ち着いてから話すぞ。俺らも色々混乱してきたからな。マスター! 奥の部屋借りるぞ!」

 カウンターにいるマスターに大声で告げ、チェルミーを引っ張って奥の個室へと連れていく。

「あら、私は混乱なんてしてませんわよ」

「いいからクロエさんも!」

 足早に個室へと向かう三人をマスターはこれまた困惑した顔で見送るのだった。




「で、だ。改めて聞かせてもらおうかチェルミー」

 個室といっても喫茶店の倉庫に簡素な机と椅子を配置したようなものだ。埃っぽい部屋の片隅にはおそらくコーヒー豆が入っているであろう麻袋が積まれている。閉められてた窓をクロエが開け放ち、ヴァンの隣に座る。向かいにはチェルミーが座る。

「まずは私たちの自己紹介からにしましょう。彼女もすこし緊張してしまっているようですし。私はクロエ、クロエ・カナベルよ。さっき見せた通り、少々魔法をたしなんでいますわ。それでこっちの人が……」

「ヴァンだ、ヴァン・リーバダム。一応この町の町長をやっている」

 二人の自己紹介を聞いて多少は緊張が解けた様子のチェルミーはゆっくりと自らの事情を語り始めた。

「……私はチェルミー・エルドラゴ。クロエさんが申し上げた通り、エルドラゴ王国国王、スケイル・エルドラゴの一人娘で間違いないわ。それで私がこの町に来た理由も、王国を救うため…………クロエさんとヴァン……さんはエルドラゴ王国の現状を知ってるかしら?」

「内紛がどうのこうのってことか? 新聞に書いてある程度のことなら知ってるが。」

「私もヴァン様に同じく。ですわ」


「だったら話が早くて助かる。単刀直入に申し上げます。私はこの町を、リーバダムをエルドラゴの領土にするためにやってきたの!」











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