言葉使いの森とモラルの程度
愛されたかった。
木花咲夜と菊池未造は互いが互いの分身である。先日、二人して住んでいた家を追い出され、彼らは行くあてもなくふらふらと外をさまよい続け、気づいたら言葉の森の中に足を踏み入れていた。
「ここは?」
「ここは言葉の森だね。どうやら私たちは、大変なところへ来てしまった」
森を歩くと、けもの道のそばに子供が二人立っていた。
「やあ、僕の名前は前田理論だよ。横にいるのが双子の妹です」
「前田倫理ちゃんだよ!ここ、言葉の森では、言葉が力を持ちだすんだ」
「うーんそれって、つまりどういうことなの?」
「例えば犬が飛ぶ、四角いタイヤの自転車が走る、言葉に力が宿る」
論理がそういうと、犬が空に浮いているのが見えた。また目の前には四角形のタイヤが付いている自転車が現れた。
「へえ……ところで倫理ちゃんってやっぱり倫理にもとることは出来ないんですか?」
「そうですね。あと、私が近くにいるとみんな良い子になります」
変な人達がいる、やはり変な森だなあ、と木花と菊池は思っていた。
「お兄ちゃんの名前が論理君?論理ねえ……論理的なことって俺よく分かんないや」
菊池がそう言った後、不意に論理が消えた。
「あれ、◯◯君は何処に行ったんだ?あれ?名前が思い出せない、前田……何君だっけ?まあいいや。この自転車に乗ってちょっとあの子を探してこよう」
菊池は四角いタイヤの自転車を漕いでゆく。
「ふうん、そういうことか」
木花が妖しく微笑む。と突然彼女は言い放った。
「倫理は消えた」
前田倫理は不意にその場から消失した。
「ふふっ、これで菊池と青姦できるわ♡」
菊池は少し離れたところで自転車を漕いでいる。
「菊池、こっち来てー」
木花がそう言うと、菊池は瞬間移動して木花の前に現れた。
「わっ、びっくりした!一瞬で木花の目の前に……
「そんなことより、ねえ菊池、セックスしましょ♡」
木花が菊池を押し倒す。
「ねえ未造、私のこと好き?」
菊池は、こういうことにはとてもお堅い奴である。だが、今日だけなら別にいいかなと思いなおす。
思わされている。
「好きだよ、咲夜」




