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こぼれ話-3 本気で経営者になる方法を具体的に考えてみる机上考察

 いつも通りの机上理論です。

 信じるか信じないかは、あなた次第(古い)

 おそらく学生~就職活動をしている頃の若い人で、企業に雇われて給料をもらうサラリーマンをやるわけじゃなく、自分で起業してお金を稼ごうっていう視野を持っている人は、ほとんどいないんじゃないかと思います。

 これはまあ、結果としては間違った選択ではないと思います。


 しかし一方で、自分で起業してお金を稼ぐという視野を持っていない人は、選択肢が少なくなるという点で、企業の奴隷になりやすい性質ではあると思います。

 またサラリーマンをやるにしても、経営陣のモノの見方をまったく理解していないと、その企業が社員に対して何を求めるのかを正しくイメージできないため、トンチンカンなことをやりがちです。


 サラリーマンをやるにしても、経営側の視野を持っておくことによって、上司などから「あいつは分かってるな」と評価を受けるような仕事ができるようになるでしょうし、多少の理不尽も経営側の視点に立てば「あ、これはしょうがないな」と思えることもあるでしょう。

 いずれにせよ、多角的にモノを見られるようになることは、自身の能力に繋がります。




 起業を考える際に入口になりやすいのが、飲食店です。

 飲食店は資格などもほぼ必要なく始められます。

 極端な話、お金と調理スキルさえあれば始められます。

 カレーが作れるなら、カレー屋を始められます。別に市販のルーを使ったご家庭カレーで商売をしてはいけないという法律はありません。


 お金はいくら必要か、というと、一般的には500万~1,000万円ぐらいを見ておいた方が良さそうです。

 これに銀行からの融資を加えて、1,000万~2,000万円というのが初期投資額です。


 自分のお金まったくないけど起業するからお金貸してよ!と言っても、銀行さんは相手にしてくれないそうです。

 自己資本50%は見込んでおくべきというのが一般論の模様。


 さて、仮に自己資本750万円、銀行からの融資750万円で飲食店を始めることを考えます。


 750万円というお金は、1人暮らしをしながらアルバイトで稼ぐとしたら、どのぐらいの期間で貯めることができるでしょうか。

 時給1,000円の飲食店のアルバイトで、1日実働8時間、週5日勤務で年間52週間働けば、1年で208万円の収入になります。


 額面給与の8割が手取りになると考えると、手取り給与は166万4千円。

 贅沢もせず生活費を切り詰めて月10万円で生活すると、年間120万円が生活費で飛んでいくので、1年あたりの貯金は46万4千円になります。


 生活費は、その気になればもっと削れるかもしれません。

 年間360時間の残業をすれば、残業給与の25%増しも計算に入れると、手取り36万円の給与が水増しされます。


 というわけで、相当頑張れば、1年間に100万円ほどの貯金ができると見込めます。

 7年半の間、相当頑張れば、目標達成です。


 ちなみにこの飲食店でのアルバイト時代には、自分が飲食店を始めることをイメージして、様々な情報をリサーチしておきます。

 内部に潜り込まないと手に入らない生きた情報というのはたくさんあって、それらはあなたの将来の宝になるはずです。

 ただし、守秘義務には注意してください。


 また、働いているうちに飲食店を経営するというのはどういうことなのか、イメージも湧きやすくなるでしょう。


 なお、アルバイトとはいえ1つの飲食店で7年半も働いていて、しかも経営側の視野も持っているとなれば、高確率で「キミ、うちで店長をや ら な い か」と誘われると思いますが、乗ってはいけません。




 さて、仮に大学卒業の22歳から始めたとして、晴れて750万が貯まった頃には、あなたはもうほとんど30歳という年齢になっています。

 その7年半の間に、肉体的・精神的につらいことも山ほどあったでしょう。

 もう辞めたいと思ったことは、星の数ほどあるかもしれません。


 750万円というのは、そういう想いと、時間という代償が詰まった額です。


 さらに、ここで銀行から750万円を借りなければなりません。

 銀行から融資を受けるというのはどういうことか、テレビドラマの『半沢直樹』や『ルーズヴェルトゲーム』なんかを見れば(あるいはその原作小説を読めば)、何となくイメージが付くと思います。

 正直、真面目な人は胃が痛くなると思います。


 まあともあれ、そこまで済めば1,500万円が手元にあります。

 これで賃貸物件を借りて、内装工事を業者に依頼して、あなたの飲食店ができあがります。


 なお、飲食店を始める際に借りる物件の中には、「居抜き」と呼ばれるものがあるそうです。

 これは何かと言えば、その建物で以前にも飲食店を経営していたため、厨房機器などそのまま内装として使える設備が整っていて、それをそのまま譲り受けることで、内装工事を安く済ませることができるというものです。

 ラーメン店などでは、最適の居抜き物件を見つけられれば10万円で店を始められると豪語している人もいて、まあそういう抜け道もあるにはあるようです。




 さて、店を持ったら、次は経営です。

 このあたりはニート矯正収容所の本編にも多少書きましたが、飲食店経営に関わる主な数字は、以下のものになります。


 食材費:30%程度

 人件費:30%程度

 家賃:10%以下

 水道光熱費:5%程度

 広告宣伝費・雑費:合わせて5%程度


 これは利益を出せる(赤字経営にならない)ための、飲食店経営における望ましい数字です。

 各数字は売上に対する比率で、例えば月の売上が500万円の店であれば、食材費はその30%の150万円程度、月あたりの店舗家賃はその10%である50万円以下というのが目安になります。


 なお、数字を見てもらえれば分かると思いますが、飲食店経営のコストの中で圧倒的に大きいのが、食材費(Food cost)と人件費(Labor cost)です。

 この2つのコストを合わせてF/Lコストと呼び、飲食店のコスト管理で注目すべき、最も重要な数字になります。目安は60%。


 さて首尾よくこの数字にコストを抑えることができたとすると、残る20%が店舗の利益になります。

 月の売上が500万円であれば、100万円が利益になるわけです。


 ただし、忘れてはならないのは、あなたはすでに初期投資をしているということです。

 この利益から、初期投資分を回収しなければなりません。


 一般に、5年(60ヶ月)で初期投資を回収できないようだと、かなり厳しいとのことです。

 月の売上500万円でその20%の利益が出ていれば、1,500万円なんていう初期投資は15ヶ月で回収できてしまいますが、実際にはこんなにうまくいくことはほとんどありえないかと思います。

 上記した飲食店経営の各コストはあくまで理想的な値であって、実際にはそううまくはいかないことが予想されるからです。


 例えば、本編であげたような薄利多売の飲食チェーンでは、食材費が40%を上回るケースも多々あるようです。

 仮に食材費に45%かかってF/Lコストが75%になれば、ほかのコストがすべて理想値に収まっていたとしても、5%そこそこの利益しか残りません。


 あるいは、店をオープンしてみたものの閑古鳥が鳴き、月100万円の売上しかなかったとすれば、家賃40万の物件(売上500万なら家賃比率8%)を借りていた場合、家賃が40%にもなってしまって、利益どころか大赤字になってしまいます。


 1,500万円の初期投資を60ヶ月で回収するなら、月25万円の利益が必要になります。

 月500万円の売上であれば、その5%ですね。

 銀行に返済する際の利子も考えれば、6%ぐらいはほしいところです。




 さてここまで読んできたあなたは、飲食店経営には「売上」が非常に重要であることに気付いたかもしれません。


 店舗家賃のような、売上が高かろうが低かろうが関係なく支払われるコストを「固定費」と呼ぶのですが、売上が低いと、この固定費がとてつもない額になって経営を圧迫してしまうのです。

 家賃10%以下が目安と書きましたが、「3日の売上で家賃がペイできれば大丈夫」という見方をしてもいいでしょう。




 で、その大事な売上はどうやって弾き出されるかというと、これはお客さんの払った商品代金の合計額になります。

 (商品代金が税込み価格であれば、そこから消費税分が差し引かれます)


 1人のお客さんが平均して500円支払っていくような店の場合(これを客単価500円という言い方をします)、月に1万人(1日333人ぐらい)のお客さんに利用してもらえれば、500万円の売上になります。

 売上=客単価×入客数で計算されます。


 都心でよく見かける規模の飲食チェーン店の場合、おそらくは月500~800万円程度というのが、平均的な店舗の売上になるんじゃないかと思います。

 もちろん家賃によるのですが、全般には売上500万だとかなりキツイ、800万ならだいぶ経営に余裕があるという感じなんじゃないかと予想します。


 なお、深夜営業をしたり年中無休の営業をして、営業している時間を長くすればするほど、全般に家賃目標は達成しやすくなります。

 まあ、この辺は理屈で考えてもらえば分かると思います。




 というわけで、飲食店の経営者は、多大なコストを支払って手に入れた高額のお金を使って、非常にリスキーな商売をして、そのうち運よく成功した人だけが、高い報酬を得ているわけです。


 世の経営者というのはまあ、飲食店に限らず大なり小なりこんな感じだろうと思うので、彼らに言わせれば「うちの労働条件が気に入らないなら自分で起業すれば? リスクも支払わずに高いリターンだけ得ようとか、なに都合のいいことばっかり言ってんの?」というのが労働者に対する基本的な心情なんだと思います。


 そして(7年半後の自分を想像してみてもらえれば分かると思いますが)経営者だからと言って、彼が人格者だとは限りません。

 そこまでちょっと頑張って目標を達成しただけの、ただの人です。


 でも、人格者であるか否かに関わらず、彼が優遇したいと考えるのは、支払った給料以上の利益を彼に運んできてくれるような人間でしょう。

 逆に、支払っている給料以下の働きしかしない者のことは疎ましく思い、虐げようとするでしょう。


 まあこの辺は、法律とかも噛んでくるので心情だけで現実は語れませんが、一方で法律だけで現実が語れないのも事実です。




 おまけで、ちょっと人件費について。


 あるところに、ブラック企業として有名な大手牛丼チェーン店があったとします(いいですか、あくまでも仮の話ですよ?)

 この企業が売上の25%を人件費に振り分けると考えると、月600万円、1日20万円の売上があったとすると、1日あたりに使える人件費は5万円です。

 アルバイト1人の時給を1,000円であるとすると、1日50時間という人手が使えることになります。


 お昼のピーク時は、3~4人は配置しないと、とてもお客さんの相手が間に合いません。

 夜の夕食時も、2~3人は常時いないとどうにもなりません。


 さて、1日は24時間で、このお店は24時間営業です。

 1日50時間という時間を、どこにどうやって割り振ればよいでしょうか。


「てれてれってて~♪ ワンオペ~♪」


 ……というわけで、食材費も40%は堅いだろうし、ワンオペなくそうとしたら商品価格を上げるよりほか手はないんだろうなぁと。

 物価が下がっているのに無理に給料を上げようとすると、そのしわ寄せは結局労働者に来るんだろうなぁというお話でもありました。


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