こぼれ話-1 衣類がめっちゃ高くて一式30万円もした頃
衣類なんてものは、現代ではファッション性を無視すれば随分と安く済ませられるものですが、大量生産のできない時代──例えば近世ヨーロッパなどでは、衣類は驚くほど高価なものだったようです。
17世紀の史料によると、医者が着る衣類を新調するために、彼の給料1ヶ月分の代金が必要だったそうな。
(ソースはこちら http://blogs.yahoo.co.jp/matsui6520/16424905.html)
現代日本の感覚で言うなら、医者が現代ほどの高給取りではなかったとしても、月収30万なら衣類一式30万円もするわけです。
「工業化前のヨーロッパではふつうの人々にとって衣服や布地を買うことは一生のうち2~3度しかできない贅沢だった」という表現からも、現代ではいかに衣類が安いものになったかが感じ取れます。
エンゲル係数が高くてほかの支出や貯蓄に回す余裕がほとんどなかったことなども鑑みれば、衣服を買うということは、今で言うところの車を買うぐらいの感覚だったのかもしれません。
ついでに同じソースから食費についても見てみると、これも比較にならないほど安くなっている気がします。
「農民は小麦を常食としている。……まるで他への支出が皆無であるかのようである」というような状態を現代で再現するなら、100円の安い食パン1斤だけで1日過ごすようなものでしょうか(ログホラの世界みたいだ……)。
そんな味気のない食料調達さえギリギリで、凶作の年には餓死者が多発していたというんですから、これが妻子のいる1家族の話だとしても、現代の感覚で言えば、毎日あくせく働いて日当300~500円とか、そういう世界だったのかと思います。
時給に直せば40~60円ぐらい?
300円の牛丼なんて、とんでもない贅沢品です。
一方、住居費に関しては(まあ日本という土地柄はあるんでしょうが)、昔も今もほぼ変わっていないように見えます。
ソースの文章には、「大都市の家賃は非常に高く、1~2の部屋の間借賃は熟練職人の賃金の12%以上にも相当した」とあるんですが、これを読んでの僕の率直な感想は、「えっ、それ高い?」というものでした。
いえ、もちろん食費で収入のほとんどが消える前提なので実質的には高いんでしょうが……。
この時代のヨーロッパの熟練職人といえば、中産階級の代名詞みたいなもので、現代日本で言うところの年収400万程度の人を指すと見てよいかと思います。
その月収の12%と言えば、だいたい月4万円。
1~2部屋の間借賃としては、現代日本の数字とほぼ一致するか、むしろそれよりも安いぐらいかなと思います。
聞いたところによると、現代日本では、住居費は世帯手取り収入の1/3~1/4程度に収めるべきなのだそうで。
月の手取り30万のリア充一家なら月8~10万程度の家賃の家が。
手取り15万の独身フリーター貴族ならば、月4~5万程度の家賃の家が、分相応ということです。
ただ、現代の住居回りの怖いところは、一度社会からドロップアウトしてしまうと、もはや取り返しがつかないという部分だと思うのですが……その辺はまた、次のこぼれ話のときにでも書こうかなと思っています。