第一話〜説明〜
始まり始まり〜〜
「姉さん、どうしたの話って?」
あたし、『早川優菜』の弟である『早川雪斗』が頭に多数の?を浮かべながらあたしに話し掛けてきた。
まあ、あたしってあんまり弟に話をしたりしないからその疑問は当然よね。
「あのね、今から言う事はとんでもなく突拍子も無いことだから注意して貰いたいの。
てか通報したり精神病院に電話したりしないでね?」
実際あたしだってこんな記憶を持ってる事でおかしくなりそうになったし。
「う、うん。わかった。で?話って?」
あたしは意を決して雪斗にこの事を言う。
「あたし………前世の記憶を持っていてしかもこの世界って乙女ゲームの世界なの。」
「………………………………は?」
雪斗がぽかんとした顔になった。
まあ、当然よね。前にも言ったとおりあたしだっておかしくなりそうになったし。
「あたしの前世はね、オタクでしかも乙女ゲームをこよなく愛する逆ハー好きの女だったみたい。」
「う、うん。それで?」
「この世界はね……その頃にあたしが最も愛用していた乙女ゲームにそっくりなの。」
そのゲームの名は『恋の魔法:聖夜の奇跡』。
内容は主人公が名門校だけど実は裏で魔法使いを育成している学校『魔崎高校』に入り魔法使いの生徒会や風紀委員の人達と恋をしてクリスマスに告白するって内容なんだけど……これただの乙女ゲームじゃ無いのよね……
「ち、ちょっと待ってよ!?魔法使い!?そんなファンタジーな存在が魔崎高校に居るの!?
しかもそれが生徒会や風紀委員を勤めてる!?そんな簡単に信じられるわけが……」
「すぐに信じられるわ。
『フレイム』って唱えてみて。」
雪斗は怪訝そうな顔をしながら「フレイム……」と言ったら……雪斗の手からデカい炎が出た。
「う、うわあ!?火!手から火が出た!?」
「これで信じた?」
「し、信じるよ……」
雪斗が慌てて火を台所の水で消しながらあたしの言葉に肯定する。
「一応言っておくわ。あんたはそのゲームの『隠れ攻略キャラ』よ?」
「………………はい?」
雪斗が唖然となるけどあたしはそれを無視して続ける。
「続けるわよ?これはただの乙女ゲームじゃ無いわ。
前世のあたしは何度もやり続けてきたみたいだから記憶で知ってる。
これは『ダークファンタジー』系……つまりルートによっては『ヤンデレ』が入るゲームなの。」
「げ………」
そして何より……あたしが雪斗に話した訳は雪斗とこのゲームの主人公『神河由美』の『特殊性』にある。
「良い?あたし達『早川家』は……てか、あんたは実は世界すら滅ぼせる程の魔法を使えるわ。」
「は!?何だよそれ!?」
「今は黙って。そして主人公『神河由美』は『魔王の王母』と言う伝説の存在でこれがゲームのキーカードになるの。」
『魔王の王母』……それは世界で一番強い魔法使い(もしくは魔女)の母親になれると言う事。
そして主人公の攻略対象のヤンデレルートはその能力を自分だけが独占したいと考えてヤンデレ化するのだ。
しかもそのヤンデレの内容も様々で監禁から脅迫、果ては死姦までとあらゆる種類のヤンデレが詰め込まれている上にヤンデレルートへの道が幾つもあるから始末が悪い。
「そのヤンデレエンドに僕が関係あるの?」
関係有り過ぎなのよね……
「あんたのヤンデレエンドが一番不味いのよ。」
「ど、どんな内容なの……?」
あたしは雪斗にその内容を言う。
「…………ヒロインと自分を残して世界を破滅させる『世界破滅エンド』よ。」
「………………え?」
雪斗の顔が極端に強ばる。
そりゃそうでしょ。自分が世界を滅ぼしちゃうんだから。
「ぼ、僕は一体どうしたら……」
「落ち着いて。」
「落ち着けるわけ無いよ!!」
雪斗が泣きながらあたしに叫ぶ。
「あたしが全力でそのヤンデレエンドにならない様に援護するわ。
なんたって血を分けた弟だし……あたしはまだ死にたく無いから。」
「最後が理由でしょ……」
雪斗が私の言葉に呆れ顔になる。
「ま、これから頑張りましょ?」
「うん。」
あたしは雪斗の手を握りながらそう言った。
如何でしたか?次回もお楽しみに!