犯した罪の重さ
今回は早めに投稿しました。
読み返してみると矛盾とかありましたがおいおい直していきます。
ギルティアは止め処なく流れる涙をそのままにアレンに自分の気持ちを吐露する。
「確かに最初は死ぬつもりだった。魔族は悪だって、魔族を殺すのが一番正しいんだって、そう思い込んでいた。
私は人として育てられていたしそういう教育も受けてたからな…
だから、私が死ぬのが一番丸く収まると最初は思っていたし、ここの村に帰ってきた時もそう思っていた。
けど……今はそれが間違いだと気付かされたよ。ネイおばさんが何をした?
魔族だからって殺そうとするのは間違っている。この村を出る時の誓いだってそうだ。
魔王の13人いる子供全てを殺すこと。私たちはあってもいない、悪さをしているかどうかも知らない人を殺すことを誓い、私は殺した!」
「……ギルティア。君はアーシェのことを悔やんで…」
アレンは泣き叫ぶギルティアに近づき自分の胸に抱き寄せ幼子をあやあすかのように頭を優しく撫でた。
「違うそうじゃない。アーシェは生きてるから、というか離れろ」
そういやいやするギルティアを無視しよりいっそう強く抱き寄せる。
「生きてる?どういうこと」
不思議そうにするアレンにギルティアは引き離そうとするが力が入らないのか引き離せていない。
「あれはアーシェの作戦というか…」
いきなり歯切れが悪くなるギルティアにアレンは抱きしめる力を強めなおも食い下がる。
あまりのしつこさにギルティアの方が先に折れた。
「わかった言うから離れろ」
ギルティアの本気の叫びにアレンはしぶしぶ離れる。
アレンが離れほっと息をついたギルティアだが、表情は少し寂しそうだ。
そんな様子のギルティアをまた抱きしめたい衝動にかられるが、アレンはぐっとそれを我慢をした。
ギルティアは自分の頬を数回軽く叩くと意を決したかのように口を開いた。
「……私は魔王の6番目の子供だ。そうだ、あの時、私は実の弟ムーロとロムをろくに話もせずに殺したんだ。
私は魔王族だ、なのに魔族のことは何一つ知らない。なのに、私はあの子達のことを何も知らないまま殺してしまった!」
ギルティアは嗚咽をこみ上げる。そんな様子を見ていたリリーは我慢ができなくなった様子でギルティアに突っかかる。
「なにいってんのよ、あんたは悪くないわ。実の弟だからなに?殺されかけたのよ殺すしかないじゃない」
「リリーなにを言って…」
ジェインはリリーを止めようとしたがリリーは止まらない。
「あのまま、あんたが私たちを助けなかったら確実に私たちが死んでいたわ。
あんたはよく知らない実の弟より私たちの方が死ねばよかったの、私たちを助けたことを後悔しているの?」
「違うそうじゃない!私は…なにが…」
リリーのイラついた口ぶりにギルティアは慌てて否定するが
「わかっているわよ。よくわからず実の弟たちを殺したのが嫌なんでしょ。殺したのが正解だったのか不正解だったのかわからないんでしょ、だったら教えてあげる」
リリーはツカツカとギルティアに近づきギルティアの手をつかみその手を自分の胸に当てた。
「なにを……」
「これがあんたが救った命よ。あの時助けてくれてありがとう。そしてごめんね。助けてくれたというのにあんただって気付かずに襲っちゃって、私はあんたに救われた。だから、あんたが弟たちを殺したことを後悔してその罪に苦しむのだったら一緒にその罪背負ってあげる一緒だったら乗り越えられるでしょ」
リリーはニカっと笑った。その輝かんばかりの笑顔にギルティアの中にくすぶっていた黒い靄は完全に消え去った。