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キャミ

「今のあなたはギルティアを信じていいか迷っているのでしょう。魔王族でそれなのに何故か聖なる力を持っている謎だらけ。でも私に聞いたって仕方ないわよ。私は血はつながってはいないけれどあの娘の母親だからどうやったってあの娘の味方になってしまうそれでも私の言葉で決めるの?」


マリアはリリーに厳しい言葉を投げかける。マリアの言葉にリリーはしばらく考え込んでいた。


時間にして5分ほど経過した頃リリーは恐々と口を開いた。


「やっぱり私はギルティアを信じないって選択肢はありません。よ~く考えてもあいつが私の敵になるなんて考えられない。そうよ、そもそも信じられなかったらもうすでに殺してるわ、ずっと前から魔族だって知ってたし魔王族だってのは最近知ったことだけどそれでもよ。魔王族だなんて関係ない。おばさま、すみません私らしくないですね迷ってました」


リリーはすっきりした様子で言ったリリーを見てマリアは心の底からほっとした。



___




「母さん大丈夫?ちょっと待ってって」


ギルティア達は待ち合わせ場所に着いた。待ち合わせの場所にはギルティア達以外は誰もいないようで、辺りは静けさを保っていた。ジェインは背負っていたネイを優しくおろすとネイの介抱の為、湖に水を汲みに行った。



湖からジェインが戻りネイを介抱していたがネイの容態が芳しくないらしく焦った様子でギルティアに話しかける。


「ギルティアまだなのですか。このままだと母さんが死んでしまう、いくらギルティアが聖なる力を使ってくれても治らなければ意味ない」


「わかっている、安心しろ。もう来たみたいだ」


そう言いギルティアは湖の中心に視線を移した。

ジェインもギルティアにならい湖に視線を移すとそこに無数の泡が吹き出てきた。


泡が人の形になり泡が消えてなくなるとそこに黒い服を来た少年が現れた。



その少年は湖から水しぶきをあげつつギルティアの前に移動すると口を開いた。


「お前が魔王か?」


そういった少年の声はその見た目にそぐわない程低く暗い。


「ああそうだ」


少年のその言葉にギルティアは苦笑しながら答え。

でも、少年から視線をはなさず観察している。


「ギルティア…どういうことですか?魔王とは…」


ギルティアの言葉に、驚き戸惑っているジェインは状況の確認の為ギルティアにその言葉の意味を聞いたが、ギルティアは静かに首を振り、小声で後で説明すると言ったっきり何も答えない。少年としばらく二人だけで会話した後、二人でネイの元へ駆け寄った。


「キャミ、ネイおばさんの容態はどうだ?」


ギルティアが呼んだ少年の名前はどこかで聞いたことがあるとジェインは頭を悩ませた。


ギルティアに聞きたかったが今はそんな状況ではない。

ギルティアも後でといっていたなとそう考えたジェインは黙って二人の様子をうかがっていた。


ギルティアはキャミと呼んだ少年にどうやってネイがこんな状況になった事やどんな系統の魔法を喰らったかなどを説明してるようだった。


キャミはネイの様子を見てしばらく考え込んでいたが、


「助けることはできるが、こいつを助けたところで俺になんの益がある」


と気だるげに口を開いた。


「俺は自分の得にならないことは一切やらない主義だ」


「だったら、僕が貴方の為になんでもします」


二人の会話に黙っていたジェインが唐突に入って来た。


「なんでもするだと。それは本当か?」


それまでずっとジェインを無視していたキャミはジェインを面白いものを見るような視線を向けた。


「はい、僕はこれでも一応勇者一行の一員です。役に立つと思います。母を助けてくれるのであれば何でもします」


ジェインは叫ぶように言うと地面に頭が付くのではないかと言うほど下げた。


「勇者一行?ははは、面白いことを言う奴だないいのか、僕はあの悪名高い魔王の子ども達の一人。末っ子のキャミだぜそれでもいいのか」


そう言ったキャミは意地悪く笑っている。

キャミのその言葉を聞いてジェインは色々と思い出した。


キャミ、魔王の13番目の子供。


魔王一族の中では一番弱いとされていたが、治療魔法は群を抜いて凄まじいものだったらしくキャミがいれば敵は死ぬことはない。


その為、不死の魔術師と呼ばれていた。


ジェインは思い出した事とキャミの最初の言葉をあわせて考え出て来たものを口に出した。


「魔王って・・・もしかしてそのままの意味なのか?」


そのままの意味、ギルティアはその言葉を少し考えた後頷いた。


「なんだって・・・なんと言うことだ・・・僕たちが殺す旅に出ていた張本人がずっと側にいたなんて・・・そんなの嘘だ。そうだ、魔王は一番目の子供ゼムではないのか。僕たちはゼムを殺すために旅をしてきたんだ、だからギルティアが魔王だなんてそんなこと」


ジェインのその言葉に応えたのはキャミだった。


「言っておくが、ゼムが魔王だったことなど一度もないぞ。あいつが勝手に名乗っていただけだ。まあ、周りもそれに同調してあいつを担ぎ上げていたがな。それにあいつは僕たちと同じ妾の子供だ。ギルティアが生きている時点で魔王ではなくなる。その証拠にこいつの存在が明るみなった今、こいつ派かゼム派で分かれて今魔族、お前たちは魔の一族と言っていたかが争っている最中さ」


キャミは淡々と答える。キャミの言葉に補足する形でギルティアも口を開いた。


「私は魔王と正妃の子供らしい、これは言い訳になるかもしれないが、私は最近まで自分が魔王と正妃の子供だって知らなかったんだ…信じてはくれないだろうけど


そう言ったギルティアの表情はいつもの彼女らしさは欠片もなく弱々しい。


「それに私が魔王になったのは旅を始めた後だ。だから、騙すつもりは無かったんだ最初はだが…今は」


突然におろおろと弱々しくなったギルティアにジェインは語りかけた。


「大丈夫です。もうわかりました。もう言わなくて大丈夫です」


きっぱりとジェインは言い放った。


ギルティアはジェインのその言葉に目の前が真っ暗になった。

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