血だまり
旅を初めて2週間、早くも勇者一行は魔王の10番目11番目の子供と戦っていた。
「兄ちゃんどうしよう・・・こいつら人間のくせに強いよ・・・」
11番目の子供ムーロが双子の兄ロムに言った。
「大丈夫だ僕たちには必殺技があるじゃん」
10番目の子供ロムはそう言い詠唱し始めた。
ゼムもそれに習い詠唱を始める。
「やばいです何かをするつもりですよ!」
ジェインは焦った様子で口早に言ったが、間に合わなかった。
ムーロとロムの詠唱は終わり魔法が発動する・・・
その瞬間黒い霧が辺り一面に広がったが、それだけで別に何も起こらない。
「みんな無事か?」
ギルティアは、仲間に声をかけたが返事がない、不思議に思い耳を澄ませてみるとうめき声が聞こえてきた。
ギルティアは急いで声の方に近づいた。
「アレン!リリー!ジェイン!大丈夫か!?」
三人は地面に突っ伏して動かない・・・
三人の顔色は死人のように青白く呼吸も浅く意識もない。
「アレン達に何をした!」
ギルティアは叫んだ。
「あれ?兄ちゃんおかしいよ僕たちの必殺技が効かない人間がいるよ」
ムーロは泣きそうな顔で言った。
「嘘だろ!効かないはずがないんだこれは僕たち兄弟やパパ以外には猛毒なんだぞ死ぬはずなんだ!効かないはずがない」
ロムは焦っているがその声はギルティアの耳には届いていない。
ギルティアは完全に思考停止状態に陥っていた。
目の前に苦しそうに倒れている仲間達に何も出来ない
このままでは確実に数分と経たずに死んでしまうだろう
仲間に何もしてあげることが出来ない自分・・・
「うわぁぁぁぁぁぁ_____」
_______
気がついたら目の前は血の海だった。
ムーロの手足はちぎれかろうじで生きているようだがもう虫の息だ。
ロムの頭がギルティアの足下に転がっている、一目見て死んでいることが確認できた。
「何だ?何が起こった・・・」
ギルティアには何が起こったか全くわからなかった。
辺りを見回すと先ほど居た場所と全く違う場所にいる。
「な・・・んで僕たちを・・・殺す・の?おね・えちゃん」
ムーロはそう言い息絶えた。
何故そんなことを言われたのか意味が分からなかったが、ふと血だまりを2見、全てを理解した。
そこに写っていたのは人間ではなく魔族だった。