事の始まり
リリーはそう言うなりすぐに行動に移った。一番近くに居たナタリーの胸ぐらを掴みジェインの母ネイは何処に居るのかと訪ねたが、
「早く言いなさいおばさんは何処に居るの?知らないのなら最後にいつ見たの何故この2日間私達に何もしてこなかったの」
早口でリリーはまくしたてるがナタリーはリリーの言葉に耳を貸さない。他の村人はリリーのあまりの変わりようと恐ろしさでナタリーを助けず逃げて行ってしまった。
「ちょっと待つんだよあたしを置いて逃げんじゃ… 」
「早く言いなさい」
逃げた村人に助けを求めようとしたナタリーをリリーはさらに胸ぐらを強く掴んだ。
「分かった、分かったわよ言うから離しなさい」
その痛みに耐えきれなくなったナタリーは口を割った。
「魔族なら私達が殺した 」
「なっ! 」
リリーは驚き怒り更に手に力を込めた。
「っく、苦しい…嘘よ、嘘。私達が殺しに行った時には夫婦そろって逃げられたわよ 」
ナタリーの言葉にアレン達はほっと息を吐いた。
「何でそんな嘘を…ナタリーおばさん 」
そう呟いたアレンは正直な所何もかもが訳が分からなかった。何もかも唐突でジェインが半魔族でその事を知らなかったのが多分自分だけで…村人には襲われているしもう頭が状況に着いて行けていなかった。
「もう!!嘘つき 」
リリーはそう言うとナタリーから手を離した。
「ジェイン、良かったわねネイおばさん無事だって」
「はい…ありがとうございます」
ジェインは心底ほっとした様子で呟いた。
「さて、この状況は何なのか教えてもらわないとね〜 」
リリーに離してもらった物のあまりにもの苦しさで直ぐに逃げれなかったナタリーを再び拘束したリリーは何があったのか詳しくナタリーから聞き出す事に成功した。
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「ふ〜ん、なるほどそう言う訳ね 」
ナタリーが言うにはバロンがネイおばさんが魔族だと言い始めたらしく、その事を確かめに行ったらまさにその通りでジェインの両親、ネイを捕らえようとしたがジェインの父ロイドが抵抗し二人そろって逃げられたとの事だった。
「父さんはその事は何も言っていなかった…終始テンション高かったし、まさかジェインを捕らえられるから喜んでいたのか? 」
アレンのその呟きにギルティアは、
「恐らくそうだろうな、あの男の魔族への憎しみは深く重いらしいから」
「父さん僕生まれて初めて父さんの事嫌いになったよ
アレンは悲しげにそう呟いた。
ずっとそのまま待ち合わせにいてもラチがあかない。アレン達はそう判断し、事の現況であるアレンの父バロンの元に向かった。
アレンの家に着き、家に入ろうとした所でギルティアの母マリアと鉢合わせした。
「母さんどうかされましたか? 」
「多分貴女達と目的は同じだと思うわよ 」
ギルティアにマリアは笑顔で返した。
「それじゃあもしかして…」
アレンは期待した眼差しでマリアを見た。
「その通りあのバカをはり倒しにきたの。ごめんなさいね知らなかったとは言え何も出来なくて 」
申し訳なさそうに言ったマリアにギルティアは
(よかった母さんは変わってなくて)
と心の底からそう思った。