小さな疑問
「ところで、儀式って何の儀式なんだ?」
リリーと一緒になってこっそりギルティアの後について来たアレンが口を開いた。
「アレン、神父の話を聞いてなかったんですか?」
驚いた様子で同じ様について来たジェインが言った。
「神父が出した条件は、踊りや唄を歌えば聖なる盾は渡すとそう言う事じゃないのか?」
「アレン様、その唄や踊りが儀式なんですの」
「どういう事だ?」
「私達の町には教会が無かったから分からないのも無理は無いですよアレン様。一般的に教会では一年に一度唄や踊りを神に捧げたりする祭りがあるらしいですの」
アレンの質問にリリーが答える。
「その祭りがたまたま今日あって、神父はどういう訳かその神に捧げる唄や踊りをギルティアにさせるつもりらしいですけど...」
「けどどうしたんだ?」
リリーは言葉に詰まった様子で考え込んだ。
「本来その唄や踊りを捧げるのは教会の選んだしかも前の祭りが終わってすぐに選ばれた踊り子が一年間鍛錬を重ねた上でやっと挑む物なんですよ。だから昨日今日来た旅人しかもギルティア見たいな筋肉馬鹿に頼む物ではないのですよ、何しろこれは聖なる祭りなのですから」
言葉に詰まったリリーの代わりにジェインがアレンの問いに答えるがジェイン自身も納得が言っていない様子だった。
「そうなのですよアレン様。通常の祭りでは踊り子は一人な筈ですし、だから踊る筈の踊り子が怪我したとかだったら分かるんですけどそう言った様子もないですし、おかしいのですよね」
リリーもジェインと同じく納得のいっていない様子だったが、
「まあ、細かい事は良いんじゃないかな、僕はギルティアの踊りが見たいし、そんな事は終わった後に神父にでも聞けば良いさ」
アレンが気軽にそう言ったアレンの言葉に二人は、
「それもそうですよね、あのメスゴリラの唄とか踊りを見て後で盛大に笑うか慰めないとですよ」
とリリーが、
「僕はなんだかんだで結構楽しみにしていますから、それも良いですね」
とジェインが
「ん?ギルティアが動き始めたぞ」
そうこうしている内にギルティアが動き始めたのでアレン達は話を切り上げ後をつけた。
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「むむむむむ〜、何で駄目なのよ。私達は仲間なのに」
アレン達がギルティアの後をつけていたのだが途中でシスター達に止められ中止になった。
「まあいいじゃないですか、踊りは一般に公開されると言いますし僕たちも一緒になってみたら良いのですよ」
ジェインの言葉に、
「それもそうね。そうしましょ」
「そうしようか」
アレンとリリーはそう言い頷いた。
アレン達はギルティアが踊るであろう舞台に並びに行く事にした。
幸いな事にまだ舞台の前には人は誰もいなかったので、アレン達は最前列に行く事が出来た。
「楽しみですね、アレン様」
「そうだな、楽しみだもうすぐ始まるよ」
アレン達がそう会話をしていると、アレン達の隣に並んでいるカップルの会話が聞こえた。
「わくわくするね、巫女様の歌と踊りが始まるんだよこの目に焼き付けなきゃ」
「馬鹿だなお前は。ギルティア様は魔剣士であっても巫女ではないじゃないか」
何故ギルティアの名前を知っているのか、巫女とはどういう事なのか不思議に思いアレンはカップルに話を聞こうとしたが、
「アレン様始まりますよ」
リリーのその声に終わってからでも良いかと思い直し舞台の方に集中する事にした。