二人の聖女
驚き、惑っている二人にギルティアは、
「ふふふふ、はははははは。な〜んてうそだ。騙されたか?」
いたずらっぽく言った。
「ななななななななななんなのよ。ふざけないでよ」
「すっかりだまされたですぅ」
「でも聖女様じゃないのだったらなんであなたに聖力があるの?」
ビビは不思議そうな眼差しでギルティアを見る。
「さあな、この力は昔動物達と遊んでいる時に勝手に出た。ビビの持っていた豆の欠片に似たような物を感じたそれだけだ。
それに聖女様の力を出す所を水晶で見た事あるが私の様ではなかっただろ。だから全くの別物だろう」
ギルティア自体この力が何なのかわからなかったが、自分が魔の一族側の聖女だと知ったときにこの力が聖女としての力だと言う事を理解した。
ビビとロロはあっさりギルティアの言葉を信じた。
そんな二人の様子を見てギルティアは心の中で安堵する。
魔の一族側の聖女と人間側の聖女には大きな違いこそがないが少し違う所がいくつかある。
まず一つ聖力を出す方法が違う。ギルティアは歌って踊って自分の身体の何処かを叩くと力が出るが、人間側の聖女は歌わずブツブツと呪文を唱えた後断末魔の叫び声のような悲鳴をあげたあと聖力がでる。当然動物なんか集らないそれどころか避けているらしく呪文が始まるや否やしばらくは出てこなくなる。
その姿は水晶や姿写しの鏡や聖なる泉に映し出され老若男女全ての者達が見るが正直子供は必ずそれを見ると泣く。
普段の聖女は儚く可憐で非の打ち所がないから余計に怖いらしい。
次に違うのが聖力の色の違いだ。この二人の聖女は聖力を使うと目に見えるのだが、その色が違うのだ。
人間側の聖力の色は赤と黒を混ぜ合わせた様な色で、ギルティアの聖力は緑と青を混ぜ合わせた様な色だった。
色が違うだけで能力に違いはない。
この二人の聖女は魔の一族、人間と言う括りは存在しない。
二人の神は聖女だけには白と黒、表と裏と言う括りを無くしたからだ。
だが、力は魔の一族、人間との違いはないが、身体は人間と魔の一族と違う。だから、ギルティアは聖なる武器に命を喰われ、人間側の聖女は邪悪なる武器これはゼムが持っているが、に命を喰われる。
「この事は誰にも言うなよ。あんた達の聖女様にだって言うなよ」
ギルティアは念を押す様に言った。
「何故ですの?」
「何故ですぅ」
二人は不思議そうに首を傾げた。
「聖女でもないのに似たような力を持ってる聖女の偽者だとか疑われる事になったら嫌だろう」
ギルティアの言葉を聞いて二人は頷いた。
その二人の様子に少し不安に思ったが信じる事にした。