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ビビとロロ

効果はなかったが痛みが少ないそれだけでもギルティアには十分すぎる薬だった。

ギルティアは死んだらいけないとマーク達に言われていたがギルティアの中での自分の価値はあまりにも低い。いつ死んでも良いむしろ死んだ方が良いとまで思っていた。

痛みとは身体の危険信号。痛みが無くなれば終わりが何処までなのかも判断がつきづらいそれが無くなるという事はいつ死ぬか分からないという事。

その事に気づいたギルティア一刻も早く聖武器を全てそろえてゼムを倒さなければならないと決意した。


___


「なんだ?それは…」


ギルティアは戻ってきたアレンの右肩と頭の上に乗っている物を見て言った。


「これかい?これは聖武器を譲り受ける条件として預かってきたんだ」


アレンは城でどんな事があったのか説明し始めた。


アレンが言うにはこの二匹の妖精の名前はビビとロロで何故預から無ければならなかったのかは分からないが王様の条件だそうだどっちがビビでどっちがロロかは分からないらしい。


「よろしくな、ビビ。ロロ」


とりあえずギルティアは二人に挨拶したビビとロロはアレンの身体からギルティアの身体に乗り移った、頭の上に乗っていた方はギルティアの右肩にアレンの右肩に乗っていた方はギルティアの手のひらの上にだ。ジェインも後に続く。


「よろしくお願いしますよ」


ジェインは笑顔で二人の妖精をなでながら言った。


「挨拶しても意味ないわよ妖精は喋れないんだから」


リリーは呆れたような目で二人を見ながら言った。


「そうなのですか残念です」


ジェインは残念そうに言った。そんなジェインにアレンは、


「リリーそれは違うよ妖精は喋れないんじゃなくて妖精の言葉が僕たちには理解出来ないんだよ理解出来るのは世界中探しても一人だけ聖女様だけだよ。でも確か翻訳してくれる魔導具があった筈だけど詳しくは分からないや」


アレンの言葉にジェインはその魔導具があればいいのですねと呟いた。


そんな会話が繰り広げられている中。ギルティアはビビとロロに夢中になって話しかけていた。

何を隠そうギルティアは無類の可愛い物好きだった。夢中になったギルティアは3人の会話が耳に全く入っていなかったのだ。


「可愛い」


ギルティアは呟いた。


「私達が可愛いのは当たり前でしょ。って言っても分からないのでしょうけど…はぁ〜早く聖女様の所に帰りたいわ」


右肩に乗った妖精が呟いた。


「駄目だよぅ、無理だよぅ。僕たちには聖女様からの依頼を果たさないと帰れないんだぞ」


手のひらに乗っている妖精が呟いた。


「聖女様からなに言われたのだ?私で良ければ手伝うぞ」


「何で人間なんかに手伝って………えっ!私達の言葉分かるの?」


右肩に乗った妖精が驚いた様子で言った。その様子を身たギルティアは訳が分からないと首を傾げる。


「言葉がわかるとか分からないとか意味が分からないのだが…」


「僕たちと会話が出来ているという事は分かると言う事なんだよぅ。でも何で僕たちと喋れるんだよぅ人間では聖女様としか喋れない筈なんだよぅ」


「知らないわよロロ!私が聞きたいくらいだわ」


「でもビビ…」


二人の妖精の会話を黙って聞いていたギルティアは、


「そうか!君がビビで君がロロだね」


と空気を読まずに能天気な事を言った。


「ちょ、ちょっとあんた何語喋ってんのよ」


そんなギルティアに言ったのはリリーでリリー曰く、ギルティアはその妖精と話している時は妖精と同じ言語を喋っているとの事。

意識していなかったギルティアは、何故そんな事になるのか不思議と思ったがまあ魔王だから仕方ないかと勝手に納得した。


「まあ、喋れるのだから仕方ないだろ。そんな事気にするなそんな事よりこれからはどうするのだ?」


ギルティアはそう言ってこの話の区切りを付けて次の話に切り替えた。


___


「もしもし…こちらビビ応答願いますわ」


「……私だ状況はお前達の目を見ているから分かる」


ビビは自分の手のひらに耳を当て小声で誰かと話していた。


「何故ですか私達の言葉を直接分かるのは聖女様だけだった筈です」


「しばし待て翻訳が追いつかん……我々も調査している引き続き監視しろお前達の目で見、耳で聞いた物はそのまま国民に放送されるその事は忘れるなこれは聖女様の意思だ」


そう言ったっきり誰かの声はしなくなった。


「何よ何か勘違いしているんじゃないかしら私達は聖女様の為に動いているのであってあんたに命令されるいわれはないわ」


ビビは怒りを抑えきらずに悪態をついた。


「でも、聖女様にはあの人間の言う事を聞いて欲しいって言われたじゃんかよぅ」


「聖女様は傀儡よ。あいつ達の言う事をそのまま聞くだけ自分の意志がないのよ。それでも聖女様には変わりないからお使えするけどこれ以上あいつ達の好き勝手は許されないわ」


「だめだよぅビビ。会話は丸聞こえだよ」


ロロは焦ってビビを嗜めるが、


「大丈夫よあいつらは面倒な事は嫌いだわだから翻訳なんて私達との遠距離通信でしかしないわ」


ビビは自信満々な様子で言った。実彼女の言う通りこの会話は翻訳されずにそのまま放送されたのだが。

早い話、彼女達はスパイみたいなものだった。ビビとロロが見たり聞いたりしたのは水晶や聖なる泉を媒体として映し出される。

聖都ヴァルヴィンの国王は勇者一行の様子を監視し放送する事で全国の国民に安心を与える事に決めていたのだもちろんこの事は勇者達はしらない。


こうして何も知らない勇者一行の旅は知らず知らずのうちに監視されているのであった。

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