ジェインの様子
聖剣を手に入れたアレン達はすぐに町を出た、もうしばらく滞在する予定だったが聖剣を手に入れた事を知った聖都ヴァルヴィンの国王から使者が来たため向かう事にしたのであった。
馬車で移動する事3日未だに到着せず窓から変わらない景色を眺めていた。
「アレン様まだ着かないのですか?」
リリーは窓から外を眺めうんざりした様子で言った。
「うん、僕もそろそろ身体を動かしたくなったよ、ねっジェイン?」
「そ、そうですね…聖都ですか…楽しみですね」
ジェインはアレンの話を聞いていなかったのか見当外れの事をいった、ジェインの様子がおかしい事に気づいたアレンは心配そうに話しかける。
「大丈夫かジェイン。顔色が悪いみたいだ。都についたら病院に行こうか?」
「いや、大丈夫です。少し疲れただけです少し休めば回復します」
そう言うジェインは大丈夫そうでは無かったが都に着くまではどうしようもないそう思ったアレンはジェインに着くまでゆっくりしていてくれとしか言えなかった。
それから2日経ったがまだ町は見えずジェインの様子は日に日に悪くなるばかり、あと1日で聖都ヴァルヴィンに着くという所でジェインは完全にダウンしてしまった。
とりあえず近くの町に回復するまで滞在する事になったが、ジェインの様子は悪くなるばかりで一向に回復する気配がなかった。
使者は一刻も早く聖都ヴァルヴィンに向かわねばならないからもうこれ以上長くは滞在出来ないとアレン達言った。
「すみません、みんなさん僕を置いて先に行っていてください」
顔色が真っ青になり弱々しくジェインは言った。歩くのもおぼつかない様子だった。
「馬鹿ねあんたを置いて行ける訳無いでしょ王様には悪いけど待ってもらうわ」
リリーは強い口調でジェインに話しかけるがその瞳は心配そうにジェインを見つめているジェインは顔がにやけるのを我慢しきっぱりとリリーの申し出を断った。
「すみません、リリーの気持ちは嬉しいけど僕はみんなの足手まといになりたく無いんです」
「足手まといだなんて思っていないわよ。それに今のあんたを置いて行ける訳無いじゃない」
「リリーは思わなくても僕は思います。それにヴァルヴィンの国王は気難しい方だと聞いています。待たせることで不敬罪なんて事になったらいけませんよ」
ジェインとリリーはどっちも引こうとしない。それを見かねたのかギルティアが口を挟んだ。
「ではこういうのはどうだろう。ジェインは回復するまでこの町で安静にするその間にアレンとリリーはヴァルヴィンへ私はジェインと一緒に残るこれでは駄目か?」
「えっ!!駄目だよジェインとギルティアを二人っきりにできないよ」
ギルティアの言葉にアレンが慌てた様子で言った。
「ん?何が問題があるのだ」
「とにかく駄目だよ。ギルティアとジェインを二人っきりで残すくらいなら僕が残るよ」
「それは駄目だろ。何故私とジェインが残るのが駄目なんだ?」
アレンはどうしてもジェインとギルティアを二人で残すのが嫌だったがギルティアに何故駄目か直接理由を上手く言えない。
いっその事ギルティアの事が好きだから二人で残したく無いと言ってしまおうか考え言い出そうとした。
「それは僕がギルティアの事「じゃあ私が残ります」
リリーがアレンの言葉にかぶせる様に言った。
「アレン様はあんたとジェインが二人残すのが嫌なら私が残るわ。それだと問題ないですよねアレン様」
そう明るい口調でリリーは言ったが顔は今にも泣き出さんとしていた。
「リリー、らしくないぞアレンの隣はお前のものじゃなかったのか」
そう言ったギルティアも自分でリリーに言った言葉で泣きたくなる。だが、ギルティアは得意の無表情でその気持ちを覆い隠す。
「そうだけど…でもアレン様は…あんたの事」
「それに私はおまえと違って人とあまり会話が出来ない。ヴァルヴィンの国王との謁見で粗相を犯してしまうかもしれないその点リリーなら問題ないアレンのサポートにうってつけだ」
「でも…」
「適材適所だ。アレンの隣はお前の物だ。それでいいじゃないか」
リリーが何かを言おうとしてもギルティアは言わせないそうこう言っているうちに時間が過ぎて行き結局ギルティアが残る事に落ち着いた。
「リリー、アレンの事頼んだ」
「言われなくてもわかっているわよ。ジェインのこと頼んだわよ」
「言われなくても分かっている」
ギルティアの言葉を聞くとリリーはアレンを連れて馬車に向かった。
「ギルティア…」
アレンは何か言いたげだったが結局何も言えず渋々馬車に向かった。