魔の一族
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遅筆ながらも更新して行きますのでよろしくお願いします
ギルティアはしばらくの間、宿屋から出られずに居た。
どんな顔をしてリリーにあえば良いか分からなかったからだ。
(また泣かしてしまった、私はリリーを泣かしてばっかりだな)
ギルティアがそう落ち込をでいるとローカをバタバタと走る音が聞こえた。
「ギル姉ちゃん大変な事が起こったとにかく大変危険なんだ、開けてくれよ」
ドンドンと扉を叩くマークに何事だと思い、ギルティアは急いでマークを招き入れた。
「大変なのは分かった、分かったから何が大変なのかちゃんと答えてくれ」
ギルティアは慌てているマークを落ち着かせなにが会ったか話す様に促した。
「うん、聖剣だ。聖剣が見つかったんだ」
「聖剣?聖なる武器の一つか、この村にあったのかそれは良かったんじゃないのか?」
ギルティアは首を傾げてマークに言った。
「なに言っているんだよギル姉ちゃん!聖なる武器だよ、聖剣は僕たちの弱点じゃんか、弱点」
「そうなのか?」
「そんな事も分からないのかよギル姉ちゃん」
マークは呆れた様子でギルティアを見た。
「聖剣は僕たち魔の一族の生命力を喰っちゃうんだ。食べられても離れれば回復するけどずっと近くに居れば食べられ続けていずれ生命力が枯渇し死んでしまうんだ」
マークは続ける。
「しかも魔力が強ければ強い程喰われる量も多くなるんだ、だからギル姉ちゃん聖剣を勇者が手に入れたら一緒に居られなくなっちゃうよ」
「ふむ、でもマークよ。私達は聖なる武器を集めるのが旅の条件にあるんだ。だから、どんな理由があろうと集めないといけないんだ」
ギルティアは死など恐れていない様子だ、その様子にマークは焦る。
「何言っているんだよギル姉ちゃん死んじゃうんだよ」
「でもすぐに死んでしまう訳ではないのだろう、なら大丈夫だ」
やはりギルティアは緊張感や危機感がない様子で言う。
「ギル姉ちゃんは魔王なんだよ、魔王が死んじゃったら僕たちどうすればいいんだよ」
「マーク、私達が何の旅をしていると思う」
「それは……魔王討伐」
マークはギルティアの問いに苦い表情で答えた。
「なんの問題がある。私が死んだら目的は達成される、最もその前にゼムを倒さないといけないが…」
「ギル姉ちゃんは何も分かってないよ、何にも分かっていない」
マークは怒った様子で言った。
「大体なんで僕たち魔の一族が一方的に悪だと決めつけているんだ。確かに人間と僕たち魔の一族は敵同士だよ。まあ、僕は半魔族だけど…それにそもそもの原因を作ったのは人間の方じゃないか」
「人間の方?そんな…私の聞いた話だと悪いのは魔の一族で、初めに魔の一族が魔物を使って獣族を襲い、次に妖精族、次にエルフ族、竜族と襲って行った訳ではないのか」
ギルティアは驚き戸惑いながらマークに聞いた。
「違う、違うよ。獣族、妖精族それに竜族は僕たち魔の一族と関係ないし襲っていないそれに魔物だって僕たちの仲間でもなんでも無いよ、確かに使役させる魔法を使える人も居るけどそれは極僅かだし」
「じゃあ、一体どうしてこんな話が伝わっている?」
ギルティアは訳が分からないと頭を抱えた。
「それをやったのが人間だからだよ、人間は自分たちがやった悪事を全て魔の一族の所為にしたんだ。魔の一族と人間は見た目はにていたから…
それで他の一族に嫌われた魔の一族はその通りの事をしてしまい噂が噂を呼び魔の一族=悪になってしまったんだ」
「嘘だろ……」
ギルティアは信じられないといった様子だ。
「本当だよ、しかも魔の一族の僅か少数が悪に手を染めてしまっただけ、その結果他の一族に命を狙われるようになり抵抗して殺せばまた悪になりその負の連鎖で今ではご覧の通りだよ」
マークは心底悔しそうに言った。
「それでも魔の一族は本当に悪に手を染めるのは極僅かだったけど、ゼムを筆頭に悪意や力のある魔の一族が集まりだしたんだ。最近になってギル姉ちゃんを筆頭に反ゼム側の魔の一族が集まりゼム側の魔族を牽制してきてやっと安定してきたのに、
ギル姉ちゃんが死んだらどうすんだよ。例えゼムを殺してもギル姉ちゃんが居ないと、魔の一族はまた人間や他の一族に殺される。
そしてまた新たなゼムが生まれる、ギル姉ちゃんが人間の為に死ぬのだったら僕が第二のゼムに立候補してやるぞ、本気だ」
マークは瞳に涙をいっぱい溜めて言った。
「そんな…マーク。そんな事言わないでくれそれに私が魔王になったのはつい最近なのだぞ…
それなのに私を筆頭に魔族が集まっているそんな筈が無い。
いくら私を止めたいから問って話を大きくする物ではないぞ」
実際にギルティアがこの村に来て一週間、成り行きで魔王になったのは5日信じられる筈が無い。
「5日あったら十分だよ。元々ゼムに不満を持っていた人たちは大勢居たからねそれに魔王族直系だと言う事実があれば問題ないよ」
「そんなに魔王一族直系が重要なのか?」
ギルティアは不思議そうにマークに訪ねる。
「ギル姉ちゃんは本当に何も知らないんだな半魔族の俺の方が詳しいだなんてよっぽどだぞ、前魔王の妾は全て他族の女達だったんだ、例えばゼムだと母親は竜族」
「ふむ、では私の母は魔族だったのだなそれの何が重要なんだ?」
ギルティアは理解できていない様子だ。
「ギル姉ちゃんのお母さんは魔の一族は魔の一族だけど粗紺女そこらの魔の一族ではなかったんだよ」
「だから何だというのだ」
凄く重要な事を言った様子のマークだがギルティアはまだ自分の血の重要性に気づいていない。
「いいか、良く聞いてくれよギル姉ちゃんのお母さんは魔の一族の中でも最も尊いとされていた聖魔族だったんだ」
マークは情報屋です。