渋々
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「だから、自分の姉でも勇者のために殺したのか」
少年は怒りのまじった声音でそう言う。
「違う、お前は勘違いしている」
「勘違いだと?違うお前は勇者のために自分の姉を殺したんだ」
少年は軽蔑を込めた眼差しでギルティアを睨む。
「私は姉さんを殺していないし、そもそも姉さんは死んでいない」
ギルティアのその言葉に少年は更に怒りの眼差しをギルティアに向け何かを言おうと口を開きかけた。
「お待たせ~」
少年とギルティアの間にアーシェはいきなり現れた、少年は口をあんぐり開けアーシェを見る。
「あれ?何故こんな所にマークが居るの?」
アーシェは少年を見つけるとそう言った。
「姉ちゃん!」
マークはアーシェに抱きついた。
「これってどう言うことなの?」
アーシェは困った様子で呟いた。
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今までの経緯をギルティアはアーシェに説明した。アーシェは直ぐにマークに事情を説明し始めた。
「そう言う事か早く言ってくれよ姉ちゃん。俺ギル姉ちゃんに悪い事してしまったじゃん」
マークは笑顔で言った。
「おい、そんな簡単に話してしまって良いのか?」
ギルティアはアーシェに言った。
「良いのよ、マークは信用できるからそれに私が生きていることはマークには元々言うつもりだったからね」
「そんなに信用できるのか、私たちは魔王族なのだぞ、簡単に人間に教えてしまって。もしばれてしまったらどうするのだ」
ギルティアは必死になって言った。
「大丈夫、大丈夫よ。だって彼はこっち側の人間だから」
アーシェはけたけたと笑いながら言った。
「何?そうなのか」
ギルティアはマークを見た。
「そうだよ、半分だけだけど、このことは姉ちゃん以外には誰にも言ったこと無かったよ」
マークは悪びれもせずケロッと答えた。
「お前先ほどまで私たちの事魔族だとか言って散々けなしていたじゃないか、アーシェが魔族だって知ったのは昨日だとも言った」
「それは本当だよ。昨日まで姉ちゃんが魔族、違うや魔王族だって知らなかったもん」
「私は上手く隠してたからね」
アーシェは胸を張って言った。
「だから、安心して良いよ俺口堅いし、それに俺は味方につけると便利だぜ」
マークは自信満々に言った。
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「で、具体的にはこいつをどう使うんだ、てか何に使うんだ?」
ギルティアはアーシェに聞く。
「それはもちろんティアの魔王への道だ!」
アーシェは拳を空高く上げ言った。
「は?私は既に魔王じゃないのか」
「確かにそうだけど、今現時点での認知度は皆無なの。誰も認めていないし、今私が必死になって働きかけているけれどゼムの恐怖で支配されてるから人が集まらないの」
「じゃあ、無理せずとも「駄目でしょ、皆を守るんでしょ」
アーシェがギルティアの言葉を遮り言った。
「とにかく、この子は使えるから元々仲間にするつもりだったのアンダスタン?」
「わかったよ」
アーシェの言葉にギルティアは渋々とだが納得した。