どっちが子供?
ギルティアは人気の無い場所に少年を連れて来た、連れてくる際誰もついてきていないか確認してきたので今この場所に居るのは少年とギルティアだけだった。
「本当に俺を殺すのか?」
少年は恐怖に歪めた表情で消え入りそうな程小さな声で呟く。
「安心しろ、私はお前を殺しはしない」
「だったら、何故こんな所に連れてきたんだよ」
少年は安心したのか少し強気な態度になる。
「話があったからだ」
「話?」
少年は不思議そうに小首を傾げる。
「お前アーシェが人間では無いことに気が付いるだろ。いや、前から気づいていたと言った方が良いか?」
「!!」
少年は驚きの表情で固まる。
「やはりそうか、だが何故知っていた?」
少年とギルティアの間に沈黙状態が続いたが痺れを切らしたのか少年はゆっくりと重い口を開いた。
「・・・・昨日勇者達が帰ったのを見かけて俺は姉ちゃん家に行ったんだその時魔王族姿になっている姉ちゃんを見た。あんたと言い争いをしていた」
少年はギルティアを睨みつける。
「・・・・その内容は聞いたのか?」
「うん、あんたの姿も見た。あんたも魔王族なんだろ?」
「そうか、そこまで知っていたのか・・・いつまで見ていたんだ?」
ギルティアは困った表情を浮かべ、少年に聞いた。
「あんたが魔王族になってあんたが姉ちゃんの妹だって言った所までだ、あんたは自分の姉を殺したんだ最悪だな。口封じに俺を殺すのか、お前達は勇者を語った悪魔だな」
少年は目に涙を浮かべているが強気な姿勢は覆さない。
「違う!」
ギルティアは少年の言葉を強く否定する、少年はいきなり叫んだギルティアに驚き身を縮こまる。
「すまない、怯えさせたな。だが、違うんだ私は確かに魔王族だ。だがアレン達は関係ない、アレン達は正式に王様に認められた立派な勇者様ご一行だからな」
「あんたもそうだろ、だったら何で魔王の子供であるお前が勇者一行の仲間なんだ」
少年は怯えるのも忘れてギルティアに詰め寄る。
「・・・・・・それは」
ギルティアは必死に考えた、まさか少年に己の本当の姿を見られている事なんて露とも知らなかったからである。
「それは?」
少年は真剣な表情で言った。
「あ・・・それはだな勇者を殺すためだ」
ギルティアは嘘をついた、自分でも嘘だと分かっているのに心が痛む、嘘でもアレンを殺すなんて言いたくなかったからだ。
「嘘だろ」
ギルティアの一世一代の大芝居を少年はそう一蹴した。
「何故?」
「そんな苦しそうな顔で言われても説得力ねぇよ。あんた勇者が好きなんだな」
少年にそう言われたギルティアは一気に顔が赤くなった。
「やっぱりね」
「うるさい、とにかくアレンは勇者、分かったか」
偉そうに言った少年にギルティアは子供みたいに言い返した。