話を聞いてくれ
アーシェは2時間ほどで戻ってきた。
「ごめんね待ったでしょうお父様を連れ出すのに思ったより時間がかかっちゃって」
そう言うなりアーシェは右手で掴んでいた何かをギルティアの前に投げた、床に着いた瞬間にそれは大きくなり人の形になった。
「アーシェ少しは丁寧に扱わないのか一応おまえの父親なのだぞ」
そう言うなりよっこらせっと前魔王は立ち上がった。
「まさか本当に生きていたとはなすまなかったなおまえを守りきれなくて」
前魔王は目尻に涙を浮かべ言った。
「アーシェよくやった私はおまえを誇りに思うぞ」
前魔王はアーシェの頭をくしゃくしゃ撫でた。
「やめてくださいお父様」
そう言うアーシェは照れているのか赤くなっていた。
「早速だが本題に入らせてもらうぞ、ギルティア私の力をおまえに全て与える」
前魔王は急に真面目な顔つきになり言った。
「いきなりだな私はどうすれば・・・」
「何もしなくていいのよそのままでいればいいの」
ギルティアの問いにアーシェが答えた。
「すまないなギルティア。私は父親でありながらゼムの暴走を止めることが出来なかった。出来たことはせめて私の力をあやつに与えないでいることくらいだった」
前魔王は申し訳なさそうな表情で言った。
「だがおまえが見つかってよかったもう少し遅ければあやつは無理矢理私から力を奪っていただろう、これからおまえにはつらいことばかりかもりれんが耐えてくれあやつの好きにはさせないでくれ」
そう言うと前魔王は力の全てをギルティアに与え灰になって消えた。
「逝ってしまったわ・・・」
アーシェは目尻に涙を浮かべ言った。
父登場から退場までに要した時間はわずか5分、ギルティアの話は誰も聞かなかった。
ギルティアはは魔王族は人の話を聞かないものなんだなぁと自分のことを棚に上げて思っていた。