なればいいのだろう
「魔王と正妃との娘・・・」
ギルティアは驚きの表情で呟く。
「そう、だからあなたが次期魔王」
「ウソだウソだウソだ、ワタシハワタシハ」
ギルティアは頭を抱えてうずくまった。
「本当のことよ、だからあなたが死んだ殺されたって聞いたときのお父様の荒れようは凄まじかったから。だから殺したアン姉様は十年程牢獄に閉じこめられていた、殺されなかっただけマシだなんて所じゃない殺してくれた方がまだマシっていえるところにね」
アーシェは淡々と言った。
「だったら、私は魔王になるのか、ならないといけないのか?」
ギルティアは泣き叫びながら言った。アーシェはそんなギルティアの背中をさすり優しい声音で言う。
「ならないといけないのよ、もしこのままゼムが魔王に君臨し続けていたら魔族も人間も精霊族、獣族も関係ないおそらく全てゼムに殺されてしまうでしょう」
「私が魔王になれば・・・皆を救える・・・」
ギルティアは力無く呟く。
「それに、あなたの大好きな勇者様だって救えるのよ。正直言うけどあの様子じゃ到底ゼムに勝てっこないわ」
「なななななな、なんでそんなことをしし知っているんだ?」
ギルティアは動揺して上手く喋れない。
「見てたら分かるわよ、それにずっと離れていてたからって言っても私達は姉妹なのよ」
アーシェは姉妹の部分を強調して言う。
「好きは好きだがなんというかまあ・・・」
ギルティアは何かボソボソと呟いていたがアーシェはそれを軽く無視し言い切った。
「とにかくあなたは魔王になりたくないのだったら無理は言わないただこれだけは言わせて、あなたしかゼムを止めることは出来ない」
アーシェは語気を強めて言った。
「・・・・分かったよなればいいんだろ」
ギルティアは聞こえるか聞こえないかの音量で呟く。
「なに?聞こえないわよ」
アーシェは意地の悪い笑みを浮かべ言った。
「私が魔王になるって言ったんだ、私が魔王にならないと皆死んでしまうのだろう」
ギルティアは諦めたかのような表情で言った。
「じゃあ私はそれを全力でサポートするわ」
アーシェは悪巧みをする子供のようににやりと笑った。