次期魔王
「本当にティアなの?」
アーシェはそう言うと疑いのまなざしでギルティアを上から下までじっくりとを観察し始めた。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
ギルティアもアーシェも一言も言葉を発しない、沈黙の時間が流れる。
(そうだな、いきなりいその妹は私ですと言ってもはいそうですかとはならないか)
「本当にティアなのね」
アーシェは声を震わせ泣きながらギルティアに抱きついた。
「信じてくれるのですか?」
ギルティアも驚きのあまり声が震える。
「あなたなら分かるはずよ、あなただって最初から私が魔王の娘だって分かっているでしょう?」
ギルティアはコクリと頷いた。
「もっとも私は力を最小限に押さえていたからあなたがその姿を見せてから気づいたんだけどね」
アーシェはそう言うとにっこり微笑んだ。
「でもどうしてあなたは生きているの?確かに死んだ、殺したってアン姉様に聞いたのだけれど」
アーシェは不思議そうに小首を傾げた。
「それはですね・・・・」
ギルティアは母マリアに聞いた話を全てアーシェに教えた。
「アン姉様が!?意外だわ・・・あなたを助けたなんて」
アーシェは信じられないと首を振っている。
「助けた、何故だ私は命を狙われるような事をしたのか・・・したのですか?」
ギルティアは普段の口調に戻ってしまったがすぐに直した。
「別に良いわよ無理に敬語なんか使わなくても、でも本当に信じられないのよアン姉様はゼム兄様側についているはずなのに何故?」
アーシェは困惑の表情を浮かべた。
「もしかしたら、一番目の魔王の娘はゼムに逆らおうとしているのではないか?」
ギルティアは自分の考えを口を出す。
「そうかも、アン姉様は最近何か始めたらしいって噂だし」
「噂?」
アーシェの言葉にギルティアはすぐに反応する。
「ええ、沢山の魔族を集めているって噂よ。私はてっきり勇者を殺すために集めていると思ったのだけれど・・・」
アーシェは不安そうな表情で言った。
「姉さん、一つ聞いていいか?」
ギルティアは真剣な表情で言った。
「なに私に答えられる範囲なら何でも聞いて」
アーシェは胸を張り言った、先ほどの殺してと叫んでいた人物とは到底思えない変わりようだ。
「私は本当に次期魔王候補で魔王のお気に入りだったのか?」
「あなたにとっては残念な事だと思うけれど本当よ、あなたが死んだことになっていなかったら確実にあなたが魔王になっていたでしょうね・・・いえ、今でもあなたが生きていると知られたらあなたが魔王になるでしょうね」
アーシェは真剣な表情で言った。
「何故、ゼムが魔王なんだろう何故今でも私なんだ!」
ギルティアは声を張り上げ言った。
「あなたは魔王と正妃との子供だからよ、あなた意外の子供は妾との子供もちろん私もよ」