表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/248

~影の女王と五人の歌姫~ 標的はアイドル(その十六)

この物語はフィクションです。

この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。


ようこそ、東京の影の中へ。

ここは、光が滅び、影が支配する世界。

摩天楼が立ち並ぶ、華やかな都市の顔の裏側には、深い闇が広がっている。

欲望、裏切り、暴力、そして死。

この街では、毎夜、人知れず罪が生まれ、そして消えていく。

あなたは、そんな影の世界に生きる、一人の女に出会う。

彼女の名は、エミリア・シュナイダー。

金髪碧眼の美しい姿とは裏腹に、冷酷なまでの戦闘能力を持つ、凄腕の「始末屋」。

幼い頃に戦場で、彼女は愛する家族を、理不尽な暴力によって奪われた。

それは、彼女が決して消すことのできない傷となり、心を閉ざした。

今もなお、彼女は過去の悪夢に苛まれ、孤独な戦いを続けている。

「私は、この世界に必要とされているのだろうか?」

「私は、幸せになる資格があるのだろうか?」

深い孤独と絶望の中、彼女は自問自答を繰り返す。

だが、運命は彼女を見捨てなかった。

心優しい元銀行員の相棒、エミリアの過去を知る刑事、そして、エミリアの過去を知る謎めいた女ライバル。

彼らとの出会いが、エミリアの運命を大きく変えていく。

これは、影の中で生きる女の物語。

血と硝煙の匂いが漂う、危険な世界への誘い。

さあ、ページをめくり、あなたも影の世界へと足を踏み入れてください。

そして、エミリアと共に、非日常の興奮とスリル、そして、彼女の心の再生の物語を体験してください。

あなたは、エミリアに、どんな未来を見せてあげたいですか?

…この物語は、Gemini Advancedの力を借りて、紡がれています。

時に、AIは人間の想像を超える unexpected な展開を…

時に、AIは人間の感情を揺さぶる繊細な表現を…

Gemini Advancedは、新たな物語の世界を創造する、私のパートナーです。


この作品はカクヨムにて先行公開しており、こちら(小説家になろう)では一ヶ月遅れでの公開となります。あらかじめご了承ください。


ただし、どうか忘れないでください。

これは、あくまでフィクションだということを。

This is a work of fiction. Any resemblance to actual events or persons, living or dead, is purely coincidental.

Ceci est une œuvre de fiction. Toute ressemblance avec des événements réels ou des personnes, vivantes ou mortes, serait purement fortuite.

(この作品はフィクションです。実在の出来事や人物、存命・故人との類似はすべて偶然です)

 


ホテルの地下駐車場で会った男は佐藤に自己紹介をした。


「Jean-Pierre Leblanc. At your service.(ジャン=ピエール・ルブラン。ご用命ください)」


アナイスも続いた。


「Anaïs Bernard. I'm constantly cleaning up Jean-Pierre Leblanc's messes.(アナイス・ベルナールです。ジャン=ピエール・ルブランの尻拭いに明け暮れています)」


あまりの説明に、ジャンはアナイスにあきれたように声をかけた。


「Anaïs, are you trying to sabotage my chances with this lovely lady?(アナイス、この素敵な女性とのチャンスを台無しにしようとしているのかい?)」

「It's an honor to be your second-in-command, Jean-Pierre, but someone has to keep things running smoothly, wouldn't you agree?(あなたの副官であることを光栄に思いますが、ジャン=ピエール、誰かが物事を円滑に進めなければなりませんよね?)」


アナイスは涼しい顔で返した。

佐藤は、二人が信頼しているからこそ話せる内容と雰囲気だと感じた。


「So, just who exactly are you two supposed to be?(それで、あなた方二人は一体どういう立場の人なんですか?)」


エリジウム・コードの応接室。

ローテーブルを挟んで向かい合うようにソファに座る男、ジャン=ピエールは、佐藤から見てもかっこいい雰囲気で霧島に話し出した。


「I've served in units operating abroad, though I can't disclose specifics. Since then, I've had various experiences. Currently, I'm with an organization dedicated to protecting people's safety. While I can't go into detail, I'm proud of the work we do.(どこの国とは言えませんが、海外で活動する部隊にいたことがあります。その後は、色々な経験をしてきました。現在はとある組織に所属し、人々の安全を守る任務をこなしています。詳細はお話できませんが、この仕事に誇りを持っています)」


続いて、アナイスもジャンの言葉を続けた。


「I'm a former military sniper. I've handled various assignments. Currently, I work for a private organization. I'm responsible for team coordination here.(以前は軍にいました。狙撃手として、様々な任務を経験しました。今は、ある組織で働いています。ここでは、チームをまとめる役割を担っています)」


霧島は、二人の話を真剣に聞いている。

佐藤は、霧島の態度が元警察官として聴取している雰囲気を感じて、改めて彼女が警察官だったと実感した。


「Okay, so you two are like, totally off the books, got it. You're saying you're super proud of your gig, no shame whatsoever, and you're definitely working for the forces of good, right? No gray areas, just straight-up white hats?(なるほど、お二人とも、完全に公表されていない組織に所属しているんですね、了解です。自分たちの仕事に超誇りを持ってて、全く恥じることもなく、間違いなく正義の味方として働いている、と。グレーゾーンは一切なし、完全にシロ組ってこと?)」


ジャンは霧島の眼を見つめながらしっかりと告げた。


「We know our methods aren't always popular. But the truth is, without them, many lives would have been lost. We don't play games with words like 'justice'. We act. We protect those who can't protect themselves from being brutalized.(私たちのやり方が常に支持されるとは考えていません。しかし、真実は、私たちの方法でなければ、多くの命が失われていたということです。『正義』などという言葉遊びをしている暇はありません。私たちは行動します。力なき人々が理不尽に蹂躙されることから守るために)」


ジャンは一呼吸おいて断言した。


「We don't engage in political maneuvering disguised as justice. We act. We protect those who are powerless against brutal force.(私たちは正義という名の政治的駆け引きに携わっているのではありません。行動するのです。暴力的な力に対して無力な人々を守るために)」


部屋には、緊張感が漂っていた。

霧島の鋭い視線が、ジャンとアナイスに注がれている。

佐藤は、二人の言葉に込められた覚悟を感じ、静かに成り行きを見守っていた。


「To protect those powerless against brutal force, we are unfortunately limited in resources and personnel. That's precisely why Madame wanted Emilia back. She's not just a skilled soldier, but also an exceptional instructor.(暴力的な力に対して無力な人々を守るためには、私たちには残念ながら予算と人員が不足しています。だからこそ、マダムはエミリアに戻ってきて欲しかったのです。彼女は優秀な兵士であるだけでなく、教育者としても非凡な能力を持っているのです)」


ジャンの言葉は、佐藤の耳に重く響いた。

確かに、ジャンの言うことは理解できる。

しかし、エミリアの気持ちを置き去りにしているのではないかという懸念が、佐藤の胸をざわめかせた。


アナイスがジャンの言葉を引き継ぐ。


「The budget can be solved by experience. But, when it comes to a trusted comrade, it's a whole different problem. It's a truly difficult issue.(予算は実績で解決できます。でも、信頼できる仲間となると話は別です。これは本当に難しい問題なのです)」


霧島も何か思い当たることがあるのだろう。

アナイスの話に神妙に耳を傾けている。


「When Mademoiselle Emilia consulted us about finding a suitable replacement for the security of Elysium Code, we were elated, believing this could be the key to resolving our recruitment challenges. The prospect of having Mademoiselle Emilia as an instructor, to mold new recruits into reliable comrades... well, it was an opportunity we simply couldn't afford to miss.(エミリア様から、エリジウム・コードの警備を引き継げる人材を探しているという相談を受けた時、私たちは歓喜しました。これは、私たちが抱える人材育成の課題を解決する糸口になるかもしれない、と。エミリア様を教官として迎え、新兵たちを信頼できる仲間へと鍛え上げる…ええ、まさに逃すことのできない機会だったのです)」


ジャンとアナイスの言葉は、佐藤にとって真実味を帯びていた。

しかし、同時に疑問も湧き上がる。

エミリアは心から教官になりたいと思っているのだろうか?


最近のエミリアは、以前とはまるで違う顔を見せる。

冗談を言い、時には甘えてくる姿は、佐藤にとって新鮮だった。

初めて出会った頃のエミリアであれば、何も迷わずに教官役を引き受けたかもしれない。


しかし、今のエミリアは違う。

佐藤は、彼女が教官役を安易に引き受けるとは思えなかった。

今の穏やかなエミリアが過去の辛い記憶と向き合う道を選ぶのだろうか。

佐藤は、エミリアの幸せを願いながらも、彼女の気持ちを尊重したいと強く思った。


ジャンは、今度は佐藤に視線を向け、静かに告げた。


「Unfortunately, Madame's attempt to recruit Emilia was unsuccessful. It seems she's quite content with her current life and has declined our offer.(残念ながら、マダムのエミリア勧誘は失敗に終わりました。彼女は現在の生活に満足しているようで、私たちの申し出を断ったそうです)」


佐藤は、エミリアがどんな表情で、どんな声で告げたのか、ありありと想像できた。

今の穏やかな彼女からは想像もできないが、過去のトラウマと戦いながら東京の裏社会で生きる彼女なりの答えなのだろう。


「We were offered several alternative solutions. One of them is Miss Kirishima, a recommendation from Mademoiselle Emilia. I hope she will prove to be a valuable asset to our team.(いくつか代替案を提示されました。その一つが霧島玲奈さんです。エミリア様からの推薦です。彼女が私たちのチームにとって貴重な戦力になることを期待しています)」


ジャンは、真剣な表情で霧島を見つめて話す。

その瞳には、強い期待が込められているようだった。


「W-wait, really? Me?(え、ちょ、本当に私…?嘘、嬉しい…///)」


霧島は、佐藤の真剣に見つめる表情に顔を赤くした。

佐藤は、ジャンのイケメンぶりに敵わない自分に情けなさを感じながらも、エミリアが彼の魅力に惑わされないか不安に思った。


「Miss Kirishima, you were forced to leave the police force despite your innocence. It's a travesty. But I implore you, don't let this injustice define you. You still have a chance to make a difference, to fight for what you believe in.(霧島さん、あなたは無実なのに警察を辞めざるを得なかった。本当に不当なことだ。だが、頼む、この不正に負けないでくれ。まだ、違いを生み出すチャンスはある。自分の信じるもののために戦うチャンスが)」


ジャンは目を閉じ、何か後悔することを振り切ろうとしているように佐藤には見えた。


「We were blinded by our military perspective. We failed to recognize that countless individuals outside the military also abandon their dreams for the sake of justice. It's a painful truth, but one we must confront.(私たちは軍隊という狭い視野にとらわれていました。軍隊の外にも、正義のために志半ばで夢を諦めなければならない人が数え切れないほどいるということに、気づかなかったのです。それは受け入れがたい真実ですが、私たちが直視しなければならないことです)」


アナイスがジャンの言葉を引き継いだ。

彼女の言葉は、ジャンのものよりもさらに熱意を帯びていた。


「We were under the misconception that only those trained in the military could handle dangerous missions. However, as Emilia pointed out, that's a flawed notion. We aren't always fighting on the battlefield. In many cases, it's a quiet battle, without the clash of gunfire.(私たちは、軍で鍛えられた人たちだけが危険な任務を遂行できるのだと思い込んでいました。でも、エミリアさんの指摘で気づいたんです。それは違うって。私たちは常に戦場で戦っているわけじゃない。多くは、銃声の響かない静かな戦いなんです)」


霧島は、アナイスの話を静かに聞いていた。

その表情は、真剣そのものだった。


「Police officers like Kirishima are also fighting to help many people. And to do that, they have a broader perspective than we do.(霧島さんのような警察官の方々も、多くの人を救うために戦っているのよね。そしてそのために、私たちよりも広い視野を持っているの)」


佐藤は、どういう事だろうと話を聞きながら考えた。

彼女たちの言葉は、佐藤にとって未知の領域の話だった。


「We are capable of unleashing overwhelming force in an instant. But that's not enough to truly win. To protect the lives of many, we must provide a visible deterrent.(私たちには、一瞬で圧倒的な力を示すことはできます。でも、それだけでは本当の意味で勝つことはできないのです。多くの人々の暮らしを守るためには、誰もがわかる形で、犯罪や脅威を未然に防ぐ力を見せなければならないのです)」


佐藤はアナイスの話の意味が解らなかった。

彼女の言葉は、佐藤の理解を超えていた。


「To put it simply, we are skilled at eliminating threats, but maintaining legitimate governance is better suited for the police. It's more appropriate, and frankly more reassuring, for the public to see police officers patrolling the streets, rather than soldiers with rifles.(簡単に言えば、私たちは敵を排除することには長けているけれど、統治が正当なものであると示すには、警察官の方が適任なの。市民にとっては、ライフルを持った兵士よりも、警察官が街をパトロールしている方が、適切だし、安心感があると思うわ)」


アナイスの話をもう一度聞いても佐藤は何と考えればよいかわからなかった。

彼女の言葉は、佐藤にとって難解なパズルのようだった。


「Mr. Sato, you have never experienced life under martial law, nor have you ever been in actual combat, have you?(佐藤くん、君は戒厳令が敷かれた状況を経験したこともなければ、実際の戦闘を経験したこともないだろう?)」


ジャンの言葉に佐藤は頷いた。


「Soldiers, just by their very existence, make people tense. They make people feel like we're in a time of emergency. Emilia pointed out that our organization needs more than just soldiers who can act as a powerful drug to save citizens. We need people who aren't soldiers, people who can heal society's wounds through a more gradual approach, like a healthy diet.(兵士と言うのは、それだけで人を緊張させるんだよ。今が有事だってね。エミリアは指摘したんだ、私たちの組織に必要なのは、劇薬として市民を救うだけの兵士ではないって。社会の傷を癒すためには、食事療法のように、もっと穏やかなアプローチで活躍できる、兵士以外の仲間が必要なんだってね)」


ジャンの言葉は、佐藤にとって衝撃的だった。

エミリアは、そんなことまで考えていたのか。

彼女の洞察力に、佐藤は改めて感服した。


しかし、同時に疑問も湧き上がる。

エミリアは、本当に今の生活に満足しているのだろうか?

過去のトラウマと向き合い、新たな道を歩むことを決意した彼女。

その選択は、本当に彼女にとって幸せなのだろうか?

佐藤は、エミリアの幸せを願いながらも、彼女の気持ちを尊重したいと強く思った。


「With all due respect, may I inquire as to your specific objectives in recruiting Ms. Kirishima?(失礼ですが、霧島さんを勧誘される具体的な目的について、お伺いしてもよろしいでしょうか?)」


佐藤は、漠然とした不安を抱えながら、切り出した。

応接室の窓から差し込む月の光が、部屋の中央に置かれたローテーブルをぼんやりと照らし出している。

その光は、向かい合う二人の影を長く壁に映し出し、まるで舞台劇のワンシーンのようだった。

エリジウム・コードの応接室に漂う緊張感は、外の静寂とは対照的だった。

佐藤は元銀行員としての経験から、様々な交渉の場に立ち会ってきた。

しかし、軍や警察といった、自分とは全く異なる世界の人間との対話には、未知の領域に足を踏み入れるような不安を感じていた。

全体像はぼんやりと見えてきたものの、細部が掴めず、まるで霧の中を手探りで歩くような心持ちだった。

彼の疑問に、アナイスが静かに答えた。

その声は、まるで静かな湖面に波紋を広げる小石のように、部屋の静寂を優しく破った。


「We've been working to expand our network into the Far East. Initially, our plan was to deploy soldiers we had trained ourselves into this network. However...(私たちは、ここ極東地域にも、私たちの活動の基盤となるネットワークを広げようとしておりました。当初は、そのネットワークに、私たちが育成した兵士を送り込むことを考えていました。しかし…)」


アナイスはそこで一呼吸置き、言葉を選びながら続けた。

窓の外では、風に揺れる木々の葉が、かすかにさざめきを立てている。

その音は、まるで彼女の言葉に耳を傾けているかのようだった。


「We came to realize that it would be more fruitful to recruit individuals who, despite their strong desire to uphold social justice, were forced to abandon their aspirations midway. Their experiences and commitment could be invaluable to our cause.(私たちは、気づいたのです。社会正義を守ろうと強い意志を持ちながらも、志半ばで諦めざるを得なかった人々…そのような方々を勧誘する方が、より実り多い結果を生むだろうと。彼らの経験と使命感は、私たちの組織にとって、かけがえのない力となるはずです)」

「So, am I to understand that you wish to recruit Ms. Kirishima into your organization, with the intention of having her serve as your liaison in the Far East?(ということは、霧島さんを組織に迎え入れ、極東での連絡役として働かせたいとお考えだと理解してよろしいですか?)」


佐藤は、アナイスの言葉を自分なりに解釈し、確認するように尋ねた。

彼の声には、まだ拭いきれない警戒心が滲んでいた。

応接室の壁に飾られたBerurikkuのポスターが、佐藤の緊張した表情を、まるで無言で見守っているかのようだった。

アナイスに問うた答えは、意外にもジャンが代わりに答えた。

彼の声は、先ほどよりも少し熱を帯びていた。


「The Madame's desire is to protect the many who are powerless. To achieve this, a certain level of organization is indispensable.(マダムの願いは、力を持たない多くの人々を守ることです。これを実現するには、相応の組織力が不可欠なのです)」


ジャンの言葉は、部屋の空気を一変させた。

彼の瞳には、強い意志の光が宿っている。

それは、単なる任務遂行を超えた、深い信念に基づいた光だった。


「While Ms. Kirishima's skills are certainly valuable, we're counting on her for something more. Something only she can provide, given her unique background and experiences.(もちろん、霧島さんのスキルは貴重です。しかし、私たちが彼女に期待しているのはそれ以上のものです。彼女の独特な経歴と経験を考慮すれば、彼女にしかできないことがあるのです)」


ジャンの真剣な言葉に、霧島は戸惑いながらも、静かに尋ねた。

彼女の声は、少し震えていた。


「Umm, so like, all I'm good for is, like, net-related stuff, y'know? I mean, I'm basically a keyboard warrior, IRL. No cap, my skills are all about that digital life, fam. Think hacking, coding, OSINT... that's my jam. Anything else? I'm a total n00b. LMAO.(えーっと、マジで、私にできるのって、ネトゲとかネット関係のことだけっしょ?っつーか、リアルじゃキーボード戦士だしw。ガチで、私のスキルってデジタル方面だけなんだよね、マジで。ハッキングとか、コーディングとか、あとOSINTオシントとか?そういうのが得意。それ以外?まじ初心者以下、草)」


霧島は、自身の能力に自信を持ちながらも、彼らの期待に応えられるかどうか、不安を感じていた。

オンラインゲームの世界ではリーダーシップを発揮する彼女も、現実世界の、しかも軍事組織が絡む話となると、話は別だった。

この霧島の疑問に、今度はアナイスが答えた。

彼女の言葉は、まるで迷える子羊を導く羊飼いのように、優しく、そして力強かった。


「Ms. Kirishima, we would like you to gather acquaintances of yours—people who, like yourself, strived to uphold social justice but were forced to give up halfway. We want you to reach out to those who, despite their setbacks, still harbor that same burning passion within them.(霧島さん、私たちは貴女に、貴女と同じように社会正義のために尽くそうとしながらも、志半ばで諦めざるを得なかった方々を集めていただきたいのです。挫折を経験しながらも、心の中に熱い想いを持ち続けている、そんな方々に声をかけていただきたいのです)」


アナイスは、霧島の目を真っ直ぐに見つめながら、言葉を続けた。

その瞳には、深い共感と信頼の光が宿っていた。


「I want them to rekindle the fire they had, the passion they were forced to abandon. I want them to find that drive once more and put it to use for the good of others.(私は、その人たちの中に、もう一度火を灯したいのです。諦めざるを得なかった、あの情熱の炎を。そして、その力を、今度こそ誰かを救うために役立ててほしいと願っています)」


アナイスの言葉は、霧島の心に深く響いた。

それは、彼女が心の奥底にしまい込んでいた、忘れかけていた情熱に、再び火をつけるような言葉だった。

部屋を満たす静寂の中で、時計の秒針だけが、時を刻み続けていた。

まるで、彼らの運命が動き出す瞬間を、静かに見守っているかのように。

窓の外、秋の夜空には、満天の星が輝き、彼らの未来を照らしていた。

それぞれが胸に秘めた想いを抱え、彼らの対話は、本音を交えた、真剣なものへと変わっていった。

まるで、長い間閉ざされていた心の扉が、ゆっくりと開かれていくかのように。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ