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魔女の独酌

作者: しらす

「君を一人にはさせないよ」


そう言って笑っていた人はもうここにはいない。


嘘つき、


そんな言葉が自然と口から出る。

あのとき交わした約束も、

過ごした時間も、

すべて思い出の一言で片付けられてしまう。


私の願いは叶わない

私の想いは届かない

私の涙は枯れることがない


月日を重ねるごとに増えていく思い出の数

誰との思い出だろうがどんな思い出だろうが一つも忘れたことはない。

君と見た夕日も、

あの子が歌ったあの歌も、

ぜんぶ心にしまってる。

昔、こんなことを言った子がいた。


「人はね、死んだら星になるんだよ!だからもし、私が死んでもお空を見上げてね!」


子どもが言った戯言。それなのに妙に心に残っている。

死の意味なんて理解してない幼子だというのにそんなことを言ったのだ。

死んだら星になるなんて単なる迷信だ。

人は死ねば無にかえる。

ただこの世からいなくなるのだ。

どれだけ特別なことをしても、

どれだけ人を救っても、

この世からいなくなればその功績は忘れられてしまう。


あぁまったくつまらない世の中だ。


だが人という生き物は良い。

短いその命で私にはできないことを成し遂げる。

まるで太陽のようだ。


そんなことを思いながら空を見上げる。

「死んだら人は星になる、か」


真っ暗な夜空を照らすように数多の星が輝いている。

たまにはこんな夜があってもいい。


そういえばいい酒を持っていたな。

せっかくだし飲むか。


そんなことを思いながら酒瓶をあける。

いつも隣に人はいない。

酒を飲むときは一人で飲む、それが私の飲み方だ。


「だが、たまにはお前たちと飲んでもいいよな。」


星を見上げながらそう呟いた。


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