忍法 その16 一☆触☆即☆発
タイトルの元ネタは「BURAI =八玉の勇士~」の曲より。完全なR45ネタ。知らない人は知らなくてもいい。前編までは良かったん仇、前編までは。後編、特に八玉の勇士のその後がな…。原画は聖闘士星矢の荒木・姫野コンビ。要チェキだ‼
村に到着。
リキの部下たちは寄合に使っている空き家で俺たちの帰りを待っていた。
村の連中は金糸雀姫とリキを連れて帰って来た俺たちを歓迎してくれたが事態は既に新しい段階まで進んでいる。
俺は村長の家に村の男衆を集めて飛竜の群れを逃がしてしまった事を告げる。
…。
正直、あまり良い報せではない。
この事件の元凶はどう考えても小金井伝馬(※金糸雀姫)だが、連中に教えても理解出来ないだろうし何の解決にもならない。
「村長。とりあえず今日から一週間、村の外には出ないように言ってくれ」
「その間、畑仕事はどうするつもりだい?」
村長は現場主義なので痛いところを突いてくる。
確かに一週間も畑を放置すれば収穫時期に多大な影響が出るだろう。
だが村人の身の危険を考えれば我慢してもらう他ない。
「俺がなるべく早い段階で火竜を退治して来る」
「それは聞けない頼み事だな、しのぶ君。君も我々と同様に村人の一員だという事を忘れないでくれ」
村長は強い決心を秘めた瞳で俺を見ている。
畜生、モブのくせに煌めきやがって‼
「そうだ。しのぶだけに任せるわけにはいかねえ‼ここは俺たちの村なんだ‼」
村長の一言をきかっけに次々と村人たちが声を上げた。
一応、言っておくが今の俺の故郷であるフソウの国の太守は名の知れた暴君で、辺境の村に兵隊を贈るような心は持ち合わせていない。
自分たちの身は、自分たちで守らねばならぬのだ。
「よし、そういう話なら俺も覚悟が出来たぜ。飛竜退治、是非ともみんなに協力してもらおうじゃないか‼」
「おおッ‼」
村人たちは一致団結して飛竜討伐を誓う。
こうして俺たちは翌日から自警団を結成して村全体を警護する事にした。
いざ戦いとなれば俺が先頭に立ってみんなを守ってやるぜ‼
俺は村長の勧めで一度、家に帰る事にした。
実家までの帰り道。
「はっくしっ‼」
肌を刺すような冷たい風を浴びて俺は思わずくしゃみをする。
そういえば上着は金糸雀姫に課したままだったな。
明日、返してもらおう。
俺は星の光を頼りに家帰ろうとしていた。
「待て」
風に長い髪をなびかせて小さな影がぽれの前に立ちふさがる。
その瞳は左右で色の違う特徴ある瞳だった。
これらは飛天丸が慕うちづる姫と同じく幻術を見破り、真名を明かす魔眼である。
俺は早くも心のまわしを締めた。
「お嬢さんが一人でうろついていい時間じゃないぜ?何なら家まで送ってやろうか?」
「クッ」
目の前の女は堪らず噴き出した。
もう想像するまでもないが小金井伝馬は俺の正体に気がつている。
下手な芝居は無用か…。
「そう邪険にするな、ふじわら巨根斎よ。俺とお前の仲ではないか?」
月明かりを浴びてこの世に二つとない美貌が浮かび上がる。
炎龍国の王女、金糸雀姫とは奴の仮の名。その正体は…。
びゅううう。
もう一度、クソ寒い風が吹いた。
倫理的に好ましくないので俺は意図して目を背ける事にした。
例えどんなエロ女神だったとしても俺は恥じらいのない女は嫌いだ。
「まず履け、変態。お前に羞恥心があるとは思わんが、それでもレーティング的に守らなければならない規則があるだろうが…これはR15の作品だぞ‼」
いやいっそエロシーンを挿入したノクターン版を書くか⁉
「クックック。ふじわら巨根斎よ、お前も甘くなったものだな。今の俺は昔の俺とはひと味違う‼」
金糸雀姫は白ビキニを着ていた。
幼女ボディに白ビキニか。これなら或いは…ってやはり犯罪じゃねーか‼
「どうだ。今の俺の美しい体は、つるりんぺったんのちづるのようではないか‼ハッハッハッ‼」
お前、自分の妹に殺されるぞ。
俺は一瞬、言葉を飲み込む。
「ふじわら巨根斎よ、今一度言うぞ。俺と手を組んで人々が服など着なくても良い世界を作ろうではないか‼」
びゅうううう‼
身の毛もよだつような冷風があたり一帯を吹きつける。
「おほっ⁉」
流石の小金井伝馬も顔面蒼白だ。いやゾっとしたとがじゃなくてリアルに寒いという意味で。
「何度も言わせるな、小僧。ワシと貴様は協力関係になれても、同志にはなれん」
俺の口調は少しだけ昔に戻る。
次の瞬間、金糸雀姫(小金井伝馬)の瞳から親和の色が消える。
小金井伝馬の精神的な欠陥の一つで他者に拒絶されると感情のコントロールが一切利かなくなる。
前世はそれで上司と育ての親を斬った。
反省が無いな、小僧。
「ならば貴様は我が野望の障害となろう。来い、紫電一文字ッ‼」
ゴロゴロゴロンッ‼
闇夜に染まる天の叢雲を引き裂き、稲光が金糸雀姫に落ちる。
その手に握られていたのは俺が前世において求め続けた救世の宝剣、紫電一文字だった。
「貴様の術と俺の剣技、果たしてどちらが強いか。勝負だ」
金糸雀姫は闇の中、怪しい笑みを浮かべる。
(小金井伝馬、敗れたり。今の俺は妖術師ではない、力士だ。相撲と剣術、その強さを比べればどちらかが強いかなど一目瞭然ではないか‼)
俺は心の中で呵々大笑し(※表でやるとりんに殴られる)、腰を落とした。
ついに決まるか、悪の主人公決定戦‼




