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4 義理の弟


「ねえさん、もしかして、きおくそーしつなのっ?」

 なんて、答えれば良いのだろうか。

 私はまだ夢の可能性も捨てていないのだけど

(というか捨てたくないのだけど)

それにしては意識がしっかりしすぎているし、夢だとしたら少し長すぎるとも思う。

 何よりも、さっき目の前のこの子が顔を埋めて泣いていた場所が冷たい。

 もし、夢ではないとして、これからこの世界で生きていくことをとりあえず考えたとして、今ここでは

「そう、なのかもしれない」

 いろいろなことを説明してもらうためにも

このほうが多分都合はいい。

「そっ…かぁ」

 目の前のこの子の気持ちを考えている場合ではない。

そうわかっていても心が傷んでしまう。

 だって、この子がソンサさんのことを好いてくれていたことは短い間でもすごく伝わってきた。

 だから、『ソンサ・セーブ』に私が入ってしまい、嘘までついてしまって申し訳なさまでもじわじわと込み上げてきた。

 そんな私に

「そんな!悲しそうな顔をしないでっ、ねえさん、ねえさんが悲しそうだとっ僕も悲しいんだぁ」

こんなことを言ってくれるこの子は間違えようがない。

 天使だと思う。顔も可愛いし。

 私は決めたこの子の事は大切にする!

 それはそれとして、とても聞きづらいことではあるけれど、

聞かなければいけないとも思うので、

「あなたは誰…なのかな?」

そう聞くと、見ているだけでものすごく悲しくなるような、今にも泣きそうな顔を目の前の子がして。

 

 

 もう…

ちょっと耐えられないかもしれない。

誰かの体に入るってこんなに苦しいことのか

こんなにも悲しいことなのか…


それでも彼は笑顔をつくって答えてくれた

「初めまして、なのかなっ?

ねえさん…あなたの弟、えっと魔力は繋がってないけど、再婚だからっ、でもっ弟のアクトだよっ。

これからもよろしくねっ!」

「うん、アクト…ね!これからよろしくね」


 名前は呼び捨てで良かったっぽかった。

名前を呼んだ時、ものすごく嬉しそうな顔をされてしまって、胸が苦しくなった。

というか義理の弟だった。

やばい、異世界やばい。情報量が多い。


 アクトは深呼吸をした後心配そうな顔になって

「ねえさ、はっ!そういえば、姉さんって呼んでも大丈夫かなっ、あっ!です、か?」

 なんて聞いてくるから、

「もちろん大丈夫!堅苦しい言葉もいらないよ!」

 若干、勢いが強くなってしまった気がする。なんなのアクトさん。可愛く見えて仕方ないんですけど…。

「よかったぁ!」

 ひえ、そんな全力で嬉しいを表現しなくても…!ぴょんぴょん飛ばないでくださる?

すごく可愛いなー、怖いなー、やめて欲しいすごくやめて欲しい。

 あぁでもこんなに小さなことでよかったぁって全身で表してくれるのは、

やはりかなり天使。


 で、会話が止まった。急に沈黙が流れる。

 このままではいけないと思いつつも、

話の切り出し方がわからなくて困っていたら

「ねえさんっ!立ち話もあれだし起きたばっかりなんだよねっ?多分?ご飯でも食べながらっ、色々説明させてくれないかなっ?」

 天使ことアクトが求めていたもの全てを叶えてくれる提案をしてくれた。さすが天使。

「よろしくお願いしたいな」

 こうして二人で食卓?へ向かうことになったのだった。

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