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17 起きあがる


 覚悟を決めたので、目を開けてみた。暖かな陽の光が視界いっぱいに拡がって、明るさに思わず目を閉じる。少しづつ慣らして、思いっきり目を開ける。

 辺りには誰もいないようだった。

 そしめ、間違いなくここは初めて起きたのあの部屋。変わったことがあるとすれば、違和感を感じていない私自身くらいのようだと思った。


 そっと布団をまくって、ベッドからぴょんっと飛んで降りる。小さな身体、低い視線に、ソンサになったことを感じながら、てくてく歩いて迷わずドアを開けた。

 少し迷って左横を見た。

 そこには本を持っている、心底驚いた顔のとっても美しい男の子、美少年な弟のアクトがいた。

「ごめんアクト、心配かけたよね」

 驚いている顔をがみるみる歪んでいく。

「ほんっと、心配した。ばか。ばかぁ」

 出会った時と同じように抱きついてきた弟はしっかり抱きしめつつ、こいつはたぶんいやどう見ても、美男なんだよなぁと心の中で思いっきり頭を抱えた。


 少し前とは違ってすぐ落ち着いてスンッとした様子のアクトと、少し前と同じように2人で食卓に向かう。

「私ってどれくらい寝てた?」

「1ヶ月」

「え?」

「え?はこっちのセリフだよ。医者に見てもらっても魔法は解けてる。何故か分からないって言われるし、義父さんは多分大丈夫の一点張りで全然詳しく説明してくれないし、お義父さんの言うことを疑ってたわけじゃないけどまた三年寝るのかと思った」

 めちゃくちゃ早口でまくし立てられたけど、驚きすぎてあんまり頭に入ってこなかった。

「1ヶ月も!?」

 もはや眠り姫でしょ…マジか…。少し前って思ってたけど全然少し前じゃないな…。

「1ヶ月も!だよ!ほんとなんで寝てたの?ていうかなんで今起きたの?」

 にしても、1ヶ月とはうってかわってスラスラ喋るし、顔も怖いなぁ。あの頃と比べると素を見せてくれているみたいですごい好きだけど。

「ひとりで考えにふけるのやめて?」

「ごめんごめん!えっと、なんて言うか迷ってて」

 なんで私は目の前の人を置き去りにして考え込んでしまうのか…。ソンサになってからすごい考えちゃう。後で考えればいいもんね。

 違うこれも考え込んでいることになるか。えーと。

「なんて言うか迷うってことは、理由があるってこと?なんで寝てたのか自分で分かっているって?」

 アクトはすごく訝しげにこちらを見つめている。なんて言うかは本当に迷うけどアクトには正直に言ってみてもいいと思うんだよね。だって、すっごい素で話してくれてるし。あでも

「家族のみんなは?せっかくだから一緒に言おうかな!」

 おっと、アクトがものすごくバツが悪そうな顔をしている。まぁ、すっごい静かだしナチュラルに2人だけで歩いているし誰もこないし

 何となくそうかもとは思っていたけど。

「兄さんは習い事を沢山やるスクールみたいな所へ行ってる。母さんと義父さんは三年間結構サボってた仕事を今頑張って消費してるところ。多分三人ともしばらく帰ってこないよ」

「それっていつから?」

「ねえさんが寝て1週間くらいしたらみんな行っちゃったよ」

 この広い家で一人っきりで3~4週間か…

「ごめんね。一人にして」

「な、……別にいいから。そんな頭下げないでいいから。なんで寝てたのか聞かせてよ。」

 時間は沢山あるしさ、なんて軽く笑いながら言ってくれるアクトを見て、アクト、マジで優しいいい子じゃね?

 という気持ちと、私のこの子に好きになってもらうの?

 という気持ちでただただ頭がもんもんとしていた。



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