【中巻】物語
「僕は君だけを愛してるよ」
そう、その言葉を待っていた。
「私も愛してる」
キラキラと輝いている様に見えるほど、毎日が幸せだった。
彼との出会いは職場での飲み会だった。
その時、仕事が忙しく続いた日々に嫌気がさし、お酒を大量に飲んだのだ。
それにより酔っ払いとなった私をタクシーで送り届けてくれたのだった。
記憶は曖昧だがちゃんと住所を言えていた様で安心した。
そこから彼とは急激に距離が縮まった。
話も合い、誠実で、とても優しい。
意外と頼もしいところもある。
私が彼を好きになるのも無理はなかった。
付き合って数年。
その数年はチョコよりも甘い時間を過ごせたと思う。
そして、ようやく結婚したのだ。
両親を説得するのは大変で、お父さんには泣きつかれながら止められた。
流石にあれは私でも引いた。うん。
お母さんはそれを呆れ気味に見ながら本当に好きなのかを聞いて来た。
返事はもちろん好きだ。
それをきっかけに結婚を許可してもらい、晴れて結婚したと言うことだ。
しかし、ここ数年で彼の裏の面を知ってしまった。
彼は極度の浮気性であった。
だから、今までで二回浮気されている。
二回目の浮気で離婚しようとしたが、どうしても踏ん切りがつかず、離婚できないままでいた。
まさかあんなことになるなんて……。
三回目の浮気を見つけた。
今度は知らない女ではなく、私の親友だった。
それを見つけてからは、浮気されてもまだ輝いていた幸せな日常が突如光を失っていった。
悔しい。悲しい。
どうして?どうしてあの子なの?
だから問い詰めた。
「ねぇ、あなたまた浮気してるでしょう?」
「もうしてないよ。あの二回でやめた」
「じゃあこれは?ちゃんと動画撮ってあるから」
そう言って私はスマホを取り出す。
「はぁ?だからやってないって」
「ほら、それじゃあこれどう説明するの?」
「君が作ったんじゃないの?」
「何のために?」
「それは……。」
数秒の沈黙。今までよりも重い。
「君の友人には黙っといてくれないかな?」
「?何を……。」
ゴッ!
鈍い音が鳴る。
「もちろん、君に浮気がバレたってことさ。まあ死人に口なし、だけどね……」
視界が暗くなっていく。
言われた言葉を最後に私は意識を失った。
僕の浮気性はここまでだ。
これからは君の友人と共に生きる。
彼女は君と違って完璧だ。
僕好みの顔で、性格で、声、身長、全て。
だから残念だけど、乗り換えることにしたんだ。
ほんとに残念だけどね。
彼女には悪いことをしてしまった。
親友の夫を取るなんてどうかしてる。
でも、彼はすごく私好みだった。
結婚式の時から思っていた。
思わず一目惚れしてしまったほどに。
だから、彼に言い寄られた時は正直嬉しかった。
あなたはどこか彼に冷たかったみたいね。
彼が愚痴っていた。
だから、私が取っちゃってもいいよね?
本当に可哀想だけど。
私たち、愛し合ってるから。