王都へ
「落ち着いたようじゃな。」
「お手数をお掛けしました。」
「なに、守護神龍じゃからな、頼られるのも仕事の内じゃ。」
「それでも、ありがとうございます。」
「さて、これからの事じゃが、王城に来てもらおうかのぅ。」
「………えっと、何故ですか?」
「貴女の住む家と、情報操作の為、かのぅ。」
「えっと………、唯一生き残った事で、誹謗中傷されないように、情報操作をするという事ですか?」
「そうじゃ。」(ナデリコ ナデリコ)
「解りました。」
守護竜様は言い終わると、元の竜の姿、禍々しくも神々しい竜の姿になり、騎士団の死体を、魔法で作った籠を作り、入れ終わると、自身の鱗を剥がし
「これに魔力を流してくれんか。」
「?いいですけど。」
言われた通りに、止められるまで流すと、その鱗を、
「何をしているのですか?」
「貴女が常に持って置けるように、形を変えておる。」
「?」
「これは、今回の褒美じゃ。
これを見せれば、ある程度の融通が利くはずじゃ。
困った時に使い。」
「!!そのような貴重な物、貰えません。」
「そう言うと思うたから、先に魔力を流してもらったんじゃ。
これはもう、貴女専用じゃよ。」
「くっ。」(やられた。)
「謙遜する事は美徳じゃが、これは儂の、国の感謝の気持じゃ。 受け取ってくれんか?」
「………解りました。」
「ふぅ、縮んだのぅ。 後は所有者への追跡と転送、精神保護、危険察知を付与して、」
(凄い、術式の数。 流石は守護竜様。)
「造形は、お嬢ちゃん。」
「はい?」
「首輪、ネックレス、腕輪、足輪のどれがいい?」
「ネックレスでお願いします。」(他は拘束具みたいだし。)
「解った。」
「よし、出来た。 お嬢ちゃん。」
「これを常に持っておくのじゃぞ。」
「はい。 ありがとうございます。」
「それじゃあ、王都に行こうか。」
「はい。
………えっと、私はどうしたらよろしいでしょうか?」
「儂に掴まってたらええよ。」
「えっと、足にですか?」
「尻尾でも構わへんよ。」
(宙吊りで空中飛行!!)
「すぐに着くからのぅ。」
「??」
「?ああそうか、普通は知らんのじゃったな。」
「儂はこの島の守護神、つまり、この島全体が儂の領域ということじゃ。」
「?」
「領域とは、解りやすく言えば、実体の無い体みたいなもんじゃ。」
「はあ。」
「じゃから、儂だけなら、この島のどこにでも、転移することができるんじゃ。」
「!!」
「この騎士団は死体じゃから、一緒に待っていける。
お嬢ちゃんは、儂の鱗を所持しているから、儂に掴まっていれば、一緒に転移できる。」
「………」
「じゃから、一瞬じゃよ。」
「………あの、それって他人が知ってはいけない事じゃないのですか?」
「王族と城勤めの者は知っておるし、大丈夫じゃろ。」
「質問してよろしいですか?」
「何じゃ?」
「あの、今回飛んできたのは、」
「感知できないこ奴らを、目視で探しておったからじゃ。」
「竜の御姿になったのは、」
「儂の人の姿を知っている者がおらんからじゃ。」
「質問は終わりか?
なら、しっかり掴まっておくのじゃ。」
「はい。 よろしくお願いします。」
私達は本当に、一瞬の間に王城(中庭?)に着きました。
迎えたのは、装備から見て、騎士団と魔術師団と貴族と王様。
平和そのものの島に、騎士団と魔術師団が居た事に、驚きを隠せませんでした。
向こうも、私が居る事に戸惑いが隠せないようでしたが、頂いたネックレスを見た途端、客分と理解してくれたようです。
そして、守護竜様は、死体を、魔術師団と騎士団とともに、検分するようです。
私は、侍女達に、客室に連れて行かれました。
一緒に検分したかったけど、守護竜様から休むように言われて、言い返せませんでした。
客室に着くと、直ぐに湯浴みの準備をしてくれて、私は浴槽で寝てしまいました。
《守護龍神、目線》
侵略者達を検分したところ、
背中の刺青から、感知を誤認させる魔術陣。
防具からは、弱い神聖なる、耐竜と耐呪。
武具からは、弱い神聖なる、滅竜と滅呪。
つまり、対儂専門装備。
完全に、儂の事を調べて準備してきたようじゃ。
まあ、装備者に大量の怨霊が付いていて、それを利用されることは、予想外じゃったようじゃな。
足りない。
儂は竜じゃなくて、龍。
そして、下位神の一員。
これだけじゃ、足りない。 調べれば解ることなのに。
つまり、相手は最近出来た宗教、新しい神、それなりの国。
誤認用の魔術式は解った。
これを消去する術式を、島中に放つ。
………他に敵はいないようじゃな。
ここにいる者達に話して、儂は敵国に報復に行こう。
唯一の生存者は、侍女の報告から寝たようじゃし、心配はいらないじゃろう。
儂に攻撃したこと、後悔させてやる。