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旦那様(神龍)と私(転生者)  作者: 夢溟
本文
28/33

食事会②-③ 包

「神龍様。 次が最後の料理となります。」

「もう、終わりか。」


………!! ああ。 なに、あの表情。 悲しそうな表情。 シュンとした表情。 愛犬が好物を食べきって、無くなった時にする表情。

メッッッチャ、キュンキュンする。 これが母性本能?

今すぐ抱きしめたい。 頭を私の胸に押し付けて、抱きしめてあげたい。


[食事会の【緊張】+海へ行って帰っての【疲れ】+魚の速捌きの【疲れ】による、ハイテンション中]


「[小声]んん。 神龍様。 次の料理は、神龍様しか食べることのできない、特別な料理となります。」

「ほう。」


………ああ、駄目です駄目です。 そんな嬉しそうな表情をしてわ。 目がキラキラしてますわー。 夜空のようですわー。


「説明させていただきますと、熱すぎて、普通の人だと火傷をしてしまう、料理となります。」

「それは確かに、儂専用の料理だな。」

「はい。」


「お待たせしました。」

「これは………、何?」

「前世の、様々な包料理を再現させていただきました?」(パイ包み焼き/饅頭(中国の)、のイメージです。)

「包料理?」

「とりあえず、こちらを、このままご賞味下さい。 ただし、一口でお願いします。」

「? ふむ。 おお!!」

[ニヤ]

「口の中に香りが、溢れてくる。 これは果物、オレンジか。」

「他の物も、お試しください。」

「別の果物に、香草。 野菜。 キノコ類。 肉類。」

「お待たせしました。 海産物もご用意させていただきました。」

「はは。 確かにこれは、一口で食べないと勿体ない料理だ。」

「喜んで頂けて、何よりです。」


「神龍様。 最後にこちらの包料理を、ご賞味ください。」

「!! 様々な香りがする。 これは、」

「前世にて、カリーと呼ばれる、薬草類を乾燥させて混ぜて、水で溶き、野菜や肉を入れて煮込み、トロミをつけた料理が有ります。」


「今回は、各種肉類の挽肉と、刻み野菜/キノコ類/果物類を炒めた物に、薬草類を乾燥させて混ぜた物を入れ、スープで溶いて煮込み、トロミをつけた物を、ご用意させて頂きました。」(キーマカレー、みたいな物だと思ってください。)


「普通の人なら、混ざり過ぎて、それぞれの風味を判別ができないと思いますが、神龍様なら問題ないと思いますので、ご用意させていただきました。」

「………これ、味はどうなっている?」

「豚と牛と脂に、甘味と酸味と苦味と辛味、薬草とキノコの香りと、野菜のキノコの食感でしょうか?」

「それもまた、味わってみたいな。」

「味が判別できるようになりましたら、必ず、お作りします。」

「頼んだ。」


「今回の食事会も楽しめた。 有難う。」

「恐縮です。」

「今回のお礼だが、何がいい?」

「あの、毎回お礼を頂けるのは、心苦しいです。」

「そうなのか?

それは、申し訳ないことをした。」

「いえ。」

「じゃがな、感謝の気持ちを示したいしな。」

「その御気持ちだけで、十分です。」

「ふむ………今回は、貴女の欲しい物を報酬にするのはどうじゃ? それなら、心苦しくないじゃろ。」

「わがままを聞いていただきまして、ありがとうございます。」


「でしたら、神龍様の御体を、触りたく思います。」

「………何故?」

「前世では、魔法/魔物/ドラゴン等は、空想の世界の産物でしたので、触ってみたいと思いました。」

「そんなことでいいのか………。」


「………いいだろう。」

「ありがとうございます。」

「ただし、」

「?」

「儂の、神としての権能の中には、呪い/負の感情等の負のエネルギーが有る。」


「首飾りがあるとはいえ、万が一があるかもしれない。」


「一瞬だけ触れるんなら、問題は無いと思うが、そうじゃないんじゃろ?」

「はい。」

「何が起こるか、わからないんじゃぞ。 それでも、触るか?」

「はい。」

「即答か。 物好きだな、貴女は。」


「………解った。 貴女の好きにすればいい。」

「ありがとうございます。」

「それで、儂はどうすればいい?」

「そのまま(龍形態)でいてくだされば、大丈夫です。」

「解った。」


ゆっくりと、神龍様に近づいていく。


触れる距離まで近づくと、気付いた。

微かに、震えてる。 表情は、変わっていないのに。


もしかしたら、かなり怖がられているのかもしれない。

………そういえば、何時ぶりなのでしょう? 誰かに触られるのわ。


ゆっくり。 ゆっくり。 手を伸ばしていく。

決して、速度を上げない。 これ以上、怖がらせないために。


[ピタ] [ビクッ]

「大丈夫ですよ。 痛みも何も、感じてはいません。」

「診るぞ。」

「はい。 どうぞ。」

「………問題は、無いようじゃな。」

「はい。」

「よかった。」

「はい。」


「神龍様は、」

「?」

「私の、手の感触を、感じますか?」

「………ああ。」

「温度は?」

「感じる。」

「温かいですか?」

「………そうじゃな。 温かい。」

「良かったです。 [ニコ]」

「!!………ふっ、ありがとう。」


神龍様の御体を、ゆっくりと撫でてゆく。 

全身を、手の届く範囲で。


龍鱗。 どんな攻撃も効かなそうな龍鱗。

龍爪。 鋭く。 触れただけで手が斬れそうな龍爪。

力強い筋肉。 太い尻尾。


凄い。 凄いとしか言えない生物。 前世ではありえない生物。 

そんな神龍様を殺そうとしてくる、この世界の人間の思考は、わけがわからない。


………そういえば、角はどうなっているのだろう?


「神龍様。」

「! 何じゃ?」

「人の姿になっていただけませんか?」

「………まあ、鱗なんぞ、触っていても面白くないじゃろうからな。 当然じゃな。」

「いえ、気になることがありましたので、その確認のためです。」

「? まあ、いいじゃろ。」


「それで、気になることとは?」

「失礼します。」

龍角を触っていく。

「?」

「前世にて、角とは頭蓋骨から直接生えていることから、角に衝撃を与えて揺らせば、脳も揺らすことができるのでは、という発想がありまして、」

「怖いことを考えるな。 貴女の居た国わ。

まあ、気をつけておこう。」

「はい。」


神龍様が私を、じっと見てくる。

不安そうな、でも試してみたい、というような表情で。


私はじっと見返す。 顔を、目を逸らさない。 絶対に。

こういう表情をする人は、勇気を出そうとしている時だ。

この機を逃したら、相手は二度と、勇気を出さない可能性がある。

たから、逸らさない。 決して。


しばらくして、意を決しされたのか、

「抱きしめてもいいか?」

「[ニコ]勿論です。」

[両腕を広げて、ハグ待ちをするかのように]

「どうぞ。」

「ああ。」

[ギュ]

「もっと強くしても、大丈夫ですよ。」

「解った。」 [ギュウウ]


「いかがですか?」

「………温かい。 それにこれは、心音か? 鼓動が心地よいな。」


照れくさい。 

けど、神龍様の生い立ちを思うと、なんとも言えない気持ちになる。

だから、

「!!」

抱きしめ返す。 


強く。 強く。 抱きしめる。

私の存在を、示すように。 


ここに、貴方の側に、存在していることを、示すように。

[ギュウウウウ]

強く、抱きしめる。

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