食事会②-② 海へ
「続きまして、メインデッシュの内臓肉となりますが、その前に、こちらを紹介させて頂きます。」
「これらは、前世にて、脂の多い肉と一緒に食べることにより、口内の脂っこさと、消化の補助に使われていた食材となります。」
「………前回、(儂が)脂が気になるといったから、用意したのか?」
「はい。」
「ありがとう[ニコ]。」
「うっ。」
「[コホン]それでは、左から説明させていただきます。」
「①これらの柑橘類は、酸味により、脂っこさを減らします。
また、口内を酸味で刺激することにより、唾液の分泌を促して、食欲を増加します。」
「②真ん中に置かれています葉物野菜は、これで肉を包み、一緒に食べることにより、脂っこさを減らします。」
神龍様は葉を触り、何かを包むようにしたり、クルクルと巻いたりしています。
「今回は、内臓肉という、噛み応えのある食材と一緒に食べれるように、歯応えのある食材も用意いたしました。」
「水分の少ない野菜はそのままで、水分の多い食材は、塩漬けにし、歯応えを強めました。」
神龍様は、きゅうりを1つ、食べられました。
お顔を拝見するかぎり、食感を楽しんでおられるようです。
「③最後になりました。 こちらは、大根という野菜をすりおろした物と、似た物になります。」
「?」
「前世では、おろし金という、専用の調理器具があったのですが、この世界では無いので、錬金術で代用しました。」
「ざっくり言いますと、大根の細粒微塵切りです。」
「大根に含まれます成分が、消化の補助をしてくれます。」
「………いくら精霊がいるとはいえ、これだけの物を用意するのは、苦労しただろう。」
「いえ、そこまでの苦労は、しておりません。」
「そうか。 ありがとう。」
「[赤面化][急速お辞儀]どうぞ、ご賞味下さい。」
「ところで、こういった物は、他にもあるのか?」
「はい。 ございます。」
「どういったものだ?」
「辛味と言われるものです。」
「用意しなかった理由は?」
「前世にて、辛味とは、痛みと言われておりました。」
「成る程、(儂に)効かない可能性があったからか。」
「はい。」
「ちなみに、どういった物か、持ってこれるか?」
「はい。」
「御待たせしました。 色々と、御用意させて頂きました。」
「………結構種類が有るのだな。」
「はい。」
「これらは、そのまま食べるのではなく、一手間二手間をかけて、小さくした物を使います。」
「ふむ。[パク][パク][パク][パク]」
(本当に、辛さを感じないんだ。)
「ちなみに、貴女のオススメは、どれだ。」
「こちらの、緑色をして、ゴツゴツとした物になります。」
「これは、前世の私が居た国が原産の植物と似ております。」
「これがか。」
「はい。 山の斜面の、水が綺麗な場所でないと育たないと言われた食材となります。」
「貴女の居た国は、自然豊かな国だったのか。」
「昔の話です。 技術が発達するにつれ、そういった場所は、少なくなりました。」
「そうか。 [パク]鼻に刺激がきたな。」
「!! 痛みがあったのですか。」
「ああ。 まさか鼻にくるとは思っていなかったから、油断した。」
「申し訳ありませんでした。」
「よい。 気にしてない。
それにしても、鼻の通りが良くなったのか、いつもより匂いがハッキリしてきたな?」
「前世では、生魚と同時に食べ、魚が種類ごとに持つ、固有の香りを楽しみやすくするために、使われていました。
それと、殺菌の為にも。」
「………魚って、そんなに違いがあるのか?」
「はい。 ございます。」
「………そういえば、魚は食べないのか?」
「食料庫にある魚は、殺し方と保存方法が雑で、匂いが酷く、食用に適しておりません。」
「血抜き(塩水漬け)をしましたが、だいぶ臭いが残りまして、食用には適しておりません。」
「一応、錬金術でなんとかできないかと、研究中です。」
「そうか。」
「ふむ。 だいぶ、脂を気にしなくてもよくなった。」
「こちらの野菜もいいな。 食感が楽しい。 飽きさせない。」
「辛味は、やはり、変化が無いな………。」
「なあ。」
「はい?」
「魚なんだが、違いが多いんだよな。」
「はい。」
「とれたてなら、貴女も食べるか?」
「………その場で締め方と保存法方を指示させて頂きましたなら、頂戴いたします。」
「ふむ………。」
「?」
「よし、行こうか。」
「はい?」
神龍様は龍のお姿になると、私を捕まえて、
「行くぞ。」
「はい。」
飛び立った。
………何故、海岸まで転移をしなかったのだろう?
神龍様の掌の上に乗せられて、指に掴まっての飛行は、当然ながら、飛行機とは違っていました。
周りに遮蔽物が殆どないのが怖い。 風切り音が怖い。 視界が怖い。 目を瞑るのが怖い。
神龍様が魔術で、私が【結果】スキルで、身を守っているが、怖いものは怖い。
海。 初めて見る島の外の光景。
それは、奇麗なものではなく、おどろおどろしい光景です。
世界中から呪いが集まるせいか、島を囲うように、黒いガス状の壁が出来ています。
そして、その色を反射しているのか、黒く見える海。
………後から聞いた話だと、神龍様を慕う魔物(呪いに影響されない魔物)、神龍様を殺そうとする魔物が、島の周りに住んでいるため、それらの力も渦巻いているのも、原因だと。
海上を飛行中。
「どのような魚を取ればいい?」
「食感を求めるのでしたら、触手が沢山ある生き物がいいかと思いますー。」
「………いきなりキワモノがでてきたな。」
「神龍様の御姿で、御満足いただける大きさの魚類ですと、身が柔らかいのが多いと思いますので、」
「といっても、前世の知識ですので、この世界に当てはまるかは、判りませんー。」
「ふむ。 他に情報はないか?」
「………そういえば、長距離を泳ぎ続ける魚ほど、身が柔らかくてー、」
「歯応えのある魚ほど、一定の場所で住み続けていましたー。」
「あとー、海の底に住むのはー、身が柔らかかったり弾力があったりと、バラバラでしたー。」
「………なら、あの場所がいいな。」
連れて行っていただいた場所は、渦潮がいくつもある場所でした。
………鳴門の渦潮って、こんな感じなのかな?
さすがに、こんなに沢山あるとは思わないけど。
………あと、遠話か大声の魔術を頂けないでしょうか? 喉が痛いです。
海上をホバリング中。
「それで、どのように捕まえればいい?」
「海水ごと、持ち上げることはできますか?」
「容易い。」
前世で見たことのある魚(前世と違って、かなり大きい)が、周りの海水ごと持ち上げられて、こちらに運ばれてきた。
イメージとしては、無重力空間での、浮く水球の中に、魚が一匹入っているイメージ。
「それで?」
「海水の温度を±0度、絶対に、凍らせないでください。 魚は脳死か仮死状態にしてください。」
魚の解凍には技術がいる。 凍らしてはいけない。 絶対に。
「次は?」
「血液と髄液を抜きます。」
「判った。」
魔術便利〜。 反則過ぎるわ〜。
「それで完了です。 これで大体の魚は、鮮度が維持できると思われます。」
「よし。 魔術も創った。
あとは実際に食べて、良かったら、国民に配布しよう。」
創った魔術で、沢山の魚を捕獲すると、私達は帰宅しました。
その時、巨大イカもいたので、神龍様に、目と目の間、中央を突いてもらって、捕獲しました。
「死んだら透明になるんだな。」
「時間が経つにつれて、透明→赤色→白色になるはずです。」
「世界には、まだまだ不思議なことが多いな。」




