食事会②
待ちに待った日が来た。
前回と同じ感想だけど、本当に、この日が待ち遠しかった。
何故かというと、新しく増えた同居人、筋肉精霊達との生活が、息苦しかったから。
この精霊達、喋らない。 表情を変えない。 マネキン/人形が動いているようだ。 真っ暗闇の中だと、完全にホラーだ。
しかも、見た目の圧が強すぎる。
なまじ、顔が人だから、どうしても、会話ができると思い込んでしまうのが、辛い。 表情が変わらないのも。 アイコンタクトぐらいはしてよ。
せめて顔が人形なら、人間に見えないならよかったのに。 動物とか、何ならデッサン人形でも可。
………神龍様のお力で創られているから、龍のような要素が付属している。 角/翼/尻尾とか。
つまり、もっと要素を追加されれば、龍に近づく、はず。
それならば、子龍に変えることもできるはず。
………やめとこう。 筋肉隆々の子龍がイメージ出来た。 可愛くない。 もっとこう、丸々と、コロコロとした見た目がいい。 愛玩用みたいな。
そんな気持ちで毎日を過ごしていたから、お話ができて、表情が変わる、神龍様との会合が、
「………お早う。」
「お早う御座います。 神龍様。」
ハンドサインで、精霊達に指示を出す。
「………前回のように、待っていたのか。」
「はい。 楽しみにしておりました。」
「そうか。[人化]儂も、楽しみにしてたよ。」
「ーーー」
落ち着け。 神龍様が楽しみなのは、食事についてで、私じゃない。
久し振りに会話ができて、優しい言葉をかけられて、混乱しているだけ。
「ーーーそれでは、スープをお持ちします。」
「ああ。」
「何度飲んでもいいな、このスープは、」
「ありがとうございます。」
「神龍様。 お試し頂きたいスープが有るのですが、お出ししてもよろしいでしょうか?」
「中身は?」
「このスープに、前世の私の国で、よく使われておりましたのと、似た物が有りましたので、加えさせてもらいました。」
「貴女の故郷の味。 いや、今となっては、思い出の味か。」
「はい。
ですが、神龍様にお出しする理由は、別にあります。」
「ほう。」
「前世では、形は違えど、全人類が摂取する食材が有りまして、」
「興味深いな。」
「はい。 今回加えましたのは、まさにそれでして、神龍様に必要が有るか判りませんが、お試ししていただきたく思います。」
「楽しみだ。」
「お待たせしました。 どうぞ。御試飲ください。」
「(茶色く、独特の匂いがする)いつもより纏まっているが、それだけじゃな。」
「そうですか。
でしたら、次回からは、使わない方がよろしいでしょうか?」
「先に、説明をしてくれるか?」
「了解しました。」
「前世では、菌と呼ばれる、目に見えないものが有りまして、」
「それなら知っているから、省いていいよ。」
「失礼いたしました。」
「菌の種類の1つに、乳酸菌と呼ばれる物が有りまして、それを使って作られる食材は、無数に有りました。」
「つまり、その食材を食べることにより、乳酸菌を摂取していたということじゃな。」
「はい。 そうなります。
食材庫を見た限りですと、この辺りでは、チーズが有名だと思われます。」
「スープに加えたのを、見ることはできる? あとチーズも。」
「直ぐにお待ちします。」
「お待たせしました。」
神龍様は手に取ると、顔に近づけた。 観察と、匂いを嗅いでいるのかな?
「………茶色いな。 対して、片方は黄色い。
両方とも、匂いが強いのが特徴か。」
そう言い終わると、チーズを一口、味噌を一匙、召し上がられた。
「………判らぬ。」
「やはり、次からは、使うのはやめましょうか。」
「ふむ………。 儂に変化がなくても、儂以外には有るかもしれぬ。
ちなみに、摂取しないと、どうなるのだ?」
「えっっと確か、お腹とお肌が不調になるはずです。」
「………つまり、今、国民は、肌が綺麗になって、もよおしていると?」
「………そうなるのでしょうか?」
「調べようか?」
「いえ、かまいません。」
知りたくありません。




