閑話
side守護神龍
女が死んだ。 何人目か判らない女が。
初代国王から続く、監視役。 連絡役が。
名誉な役職とされているのか、来た当初は、皆、期待に満ちた顔をして、やってくる。
事実を話しても、期待に満ちたまま。 数十年経つと、儂を御神像のように扱うようになる。
何代前かが話したのか、ここしばらくは、性格に難のある奴がやってくるようになった。
儂に干渉してこなくなったから、楽だった。
新しくやってきた女は、変わっていた。
儂の体の一部を持っていた。 それも、儂自ら与えた物を。
そんな奴、1人しかいない。
死んでもなお、子を護ろうとした親の子供。 悪霊になりかけても、子を護ろうとした親の子供。
あの光景は、眩しかった。
だからか、2人が成仏するまで見守り、残された子供を護るために、儂の一部を授けてしまった。
それが縁となったのか、子が成長して、儂の所にやってきた。
変わっていたのは、儂の(軽い)攻撃を防いだこと。 ただし、自力で。
次に、鍋に水と野菜を入れ、煮込み、一食分を取り出すと、残りを食料庫で保存。
次の食事前に取り出し、野菜を追加、一食分を取り出すと、残りを食料庫で保存。 偶に水を入れ、濾し、後は同じ工程を繰り返す。
そんな料理工程、この国では、王城に住むものしか、やらない。 そのまま食べれる物が多いから。
なのに、彼女は毎日やっている。 手慣れている。
これは、明らかにおかしい。
考えられるのは、転生者。 主神が関わっている可能性。
狙いは、儂か、国か。
まあ、こちらに不利益がない限り、問題はない。
直接話したが、本人に悪意無し。 魂に細工無し。
となると、未来の可能性の1つ、重大な事の為に、送り込まれたのか。
まぁ、今は気にしてもしょうがない。 何も判らないからな。
興味本位で、彼女の作るスープを飲んだ。 儂の変換した魔力で育った植物で作られたからか、違和感無く吸収された。
口に含んだ時の、匂いからくるイメージ、植物が生い茂るイメージ。 感動した。 食事で感動できるとは、夢にも思わなかった。
味を感じなくなったのは、何時からだったか。
最後に食事をしたのは、何時からだったか。
食べる必要が無くなったのは、何時からだったか。
そもそも、あれは食事だったのか? 生き血と生肉か、そのままの植物だったような………。
娘に頼んで、次の食事を用意してもらった。
そこで、嬉しいことが起こった。
娘が、儂が食事を楽しめるように、知恵を振り絞ってくれた。
儂を神聖視せずに、接してくれた。
【思い出】が味になると教えてくれた。 良い思い出とは言えないが、懐かしい味を感じた。
お礼として、神器を押し付けた。 彼女がどう扱うか、主神と会えばどうなるか、楽しみだ。
次の食事会が、楽しみだ。
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side主人公
使い回しスープに、錬金術を使っていると、ふと、前世を思い出した。 昔は大変だったなぁ。
前世では、2〜3個の使い回しスープを常備していた。
①お米の研ぎ汁(約1リットル)。
お高いお米は、香り高い。
なので、研ぎ汁を煮沸消毒、灰汁/ゴミ取りをして、炊く時に再利用をしていた。
これだけで、炊いている時の香りが良くなることがある。
後、水代節約の為。
妥協点としては、大根の下茹でと、湯がいた素麺を冷やす時に晒すお水を、煮沸消毒、灰汁/ゴミ取りをした物(両方とも、上澄みを使用)。
両方ともに、フックラせず(少々モチッとしている? どちらかというと、お米が数個くっついている。)、少々お焦げができて、炊いている時にコーンのような匂いがして(デンプンのせいかな?)、微妙に味がつくけど、何かと一緒に食べるなら、気にならなかったなぁ。
ただし、素麺は3人前以上だと、湯掻いたお湯に、塩分が溜まるから、使いにくかったっけ。
②使い回せれる料理。
しぐれ煮⇒調味料を増やして、水を足して⇒すき焼き丼。
筑前煮⇒おでん⇒どて焼き(味噌の勝利)。
カレー粉と味噌は、正義だったなぁ~。
カレーやシチューを1人前、冷凍して、次回作った時に入れて、上手くいけば、粉の節約できてた。
それに、水から作った物よりも、味が複雑になるので、ランダム性があって、楽しかった。
………そういえば、一番驚いたのが、【バジルソース】。
野菜を引き立てるから、キムチ鍋やシチューに入れたら、シチューに入れた時だけ、バジルが強化されて(少量しか入れてないのに)、乗っ取られた。
他にも、【生姜】
匂い消しにしか考えていなかったのに、豆乳鍋に入っているのを知って、他の食材の匂いを強化できることを知って、驚いたっけ。
そんな使い回しでも、一番厄介だったのが、【水分】。
なんとか減らす為に使ったのが、乾麺と、大根を一から湯掻いた事だったなぁ。
パスタは邪道だけど、お店で食べるパスタ料理が、麺自体が味がしっかりしているので、市販の麺に、味が付くように考えた結果が、これだったんだよね〜。
ただし、乾燥パスタはスープに匂いが追加され、大根は芯までなかなか火が入らなくて、ガス代がね。 だから、大根はやめたんだよね。
懐かしい。 それが今じゃあ、錬金術で簡単に、水分だけを取り除けれる。
煮沸消毒/灰汁取りも、ガス代を気にしなくて良くなった。
………試しに、[錬金術]発動。
やっぱり、水に付いた色もとれる。
使い回しで、一番厄介だったのが、色。
どれだけ注意して、上澄みを使っても、色はどうしようもなかった。
そのせいで、家族には不評だった。 鍋とかしたら。
………前世でこれが使えたら、どれだけよかったか。
漆器を使えば透明に見えるから、内側が真っ黒な鍋を作ってくれればいいのに。
本当に、変わったなぁ〜。




