精霊創造
翌朝、目を覚ますと、違和感を感じた。
部屋中を探すが、見つからない。 家中を見て回っても、同じ。 継ぎ接ぎ部屋、書庫、地下も。
家の外に出る。 神龍様のお姿が見えない。
見渡すが、見えない。 見上げるような大きな体なのに、見えない。 人型になられているのかな? いや、なられる必要がないか。
この場所から居なくなる理由。
8年前のような、島に襲撃があったのかな?
また、あんなことが起こるのかな? 嫌だな。
(神龍様は大丈夫かな?
………あっ! 王様に連絡を入れないといけないのかな? 緊急連絡用ボタン無いけど。)
考えが纏まらず、悶々としていると、周囲が暗くなった。 朝なのに。 雨の匂いもせずに。
上を見ると、神龍様が、魔物を持って、現れた。
(朝日を背に、側には世界樹のような巨樹。 手には大きな魔物数体を持つ、禍々しくも神々しい龍。 フレスコ画みたい。)
「おはよう。」
「おはよう、ございます。」
「これ、解体してくれるか?」
………失意に暮れた。 私如きが、神龍様を心配するのは、烏滸がましいことは理解している。 してるけども。
「承りました。
………あの、お聞きしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」
「何じゃ?」
「この魔物は、雑食でしょうか?
もしそうなら、味や風味が混ざり、不味くなるのですが?」
「全部、草食じゃ。 何も憑ていないから、人間も食べていないはず。」
「ありがとうございます。 早速、調理致します。」
(こんなに大きな魔物なのに草食とか、異世界、凄い。)
牛/豚/鶏に類似した魔物達を、頂いた魔術で解体/下処理を終わらす。 便利。
………魔術を使っている最中、チラッと、神龍様を見ると、人化されて、期待の籠もった目で、こちらを見ていた。 なんか可愛い。
「ありがとう。」
内臓肉を持ち上げられると、焼肉魔術で、
「………やはり、(大きいと)食べごたえがあるな。
歯応えも、ランクが高いほうが、ある。」
「良かったです。」
私は、肉を脂身と赤身に分け、匂いの薄い赤身をミンチにし、その魔物の血を混ぜ、
「血液入り腸詰め肉、出来上がりました。」
「ありがとう。 そちらの赤身も、貰おうか。」
「はい。」
「それと、君も食べなさい。」
「頂戴いたします。」
神龍様と同じく、焼肉魔術を用いて食べる。
何の風味か判らなかったが、味が濃く、歯応えがあって、美味しかった。
私の作った腸詰め肉を、一心不乱に召し上がるお姿は、見てて、嬉しく思えた。
「ところで、首から上はどうするんだ?」
「あれらの部位は、独特な食感と味がしますので、」
「味が解らないと、楽しみが半減というわけか。」
「はい。 申し訳ありません。」
「よい。 そういう理由なら、見送ろう。」
「ふぅ。 堪能した。 予想通り、普通の野生生物の方が、美味しい。」
「その通りだと思います。」
「この島の魔物も、このようになるか。」
「そのことで、ご相談がございます。」
「島の環境管理に、精霊を雇用しようと思ってます。」
「いい判断だ。
………成程、供給されるエネルギーが多いから、大精霊クラスが必要。 だが、核が無いと。」
「その通りです。」
「更に言うと、儂のせいで、負のエネルギーの方が、多く漂っているから、小/中精霊すらも創れないと。」
「それは、知りませんでした。」
「そういうことなら、力をかそう。」
「【現呪】」
元のお姿に戻られた神龍様が、蠢く闇で見えなくなる。
8年前に見た、大量の怨霊達。 神龍様に向けて、どこからか飛んでくる、大量の怨霊達。
「え〜と………、いたいた。 こいつらを集めて………。」
何をされているか解らないが、闇が増減している。
「出来た。」
神龍様の前に、複数の、向こう側が透けて見える、小さなマスコットみたいなのが現れた。
「こいつらは、土の属性を持つ小精霊だ。」
「恨み辛みなどの負のエネルギーを持ったまま死んだ農民の怨念から、負のエネルギーを抜いた、元農民の残留意志を、似たような属性で纏めて作った、小精霊達。」
「こいつらと、土を耕す魔物から作った小精霊達を纏めて、」
「土の中精霊の完成。」
「同様に、鉱夫/鍛冶師/金細工師/宝石彫刻師/鉱石研究者/山師/地盤調査員/etcの小精霊を創り、」
「こいつらと、鉱山に関する魔物から創った小精霊達を纏めて、鉱山の中精霊の完成。」
「他にも、大地に関する中精霊を創って、」
「儂の力で核を創って、これと、大地に関する中精霊達を纏めて、【地の大精霊】の完成。」
粘土細工のように創っていって、最終的に出来たのは、内側からのエネルギーでパンパンな、筋骨隆々の、竜寄りの竜人/二足歩行の竜(茶色)だった。 厳つい。
「よし。 【水の大精霊】【植物の大精霊】も完成じゃ。」
厳ついのが増えた!!
「今ので、大/中/小の精霊が、迷宮核に登録されているはずじゃ。」
「はい。 されております。
お手間を取らせてしまい、申し訳ありませんでした。」
「よい。 あとは任せる。」
「はい。 必ずや、この島の環境を整えて、美味しい食肉を、ご用意致します。」
「楽しみにしておく。」
「それと、こいつらは、今回の礼じゃ。」
現れたのは、メイド服を着た竜人達だった。 筋肉が多くて、似合ってない。
「戦争でもあったのか、メイド/執事/使用人などの従者が多くいたから、纒めといた。 それと、他の職種から創った小/中精霊を纏めて、人型の大精霊としておいた。」
(シルキー(大)とブラウニー達(中)かな?)
「儂は寝る。」
「お疲れ様でした、神龍様。 お休みなさいませ。」
「お休み。」
言い終わられると、寝付かれた。
家に関する精霊達を家の中に入れて、自然に関する大精霊達を見る。 出来れば、可愛い姿のほうが良かったな。
意思疎通が出来なかったので、迷宮核を通して、指示を出す。 不承不承だが、承諾された。 理由は、余っているエネルギーが膨大すぎて、焼け石に水の感覚らしい。
とりあえず、大精霊達が、余剰エネルギーを凝縮して、宝石のようにしてくれることになったが、速いとこ、別の使い道を探さないと。
大精霊⇒大きなカテゴリー/最大公約数
小精霊⇒細分化されたカテゴリー
となります。




