食事会 後
「………はぁ。」
「申し訳ありません。」
「いや、貴女に溜息をついているわけではない。」
「昔、主神にな。 この島に譲渡し、溢れている儂の力を調整するように言われてな。」
「はあ。」
「そのための道具も、貰ってる。」
「それが、これじゃ。」
「これは、【迷宮核】という、迷宮を創る神器じゃ。」
(あれ? ダンジョン物だっけ、この話?)
「………えっと、それがあれば、この異常な島の環境を、整えられるということですか?」
「そうじゃ。」
「というわけで、」
いつの間にか、私の手に【迷宮核】が握られていた。
「所有者登録、完了じゃ。」
「えっ!?」
「よろしく頼むのぅ。 ダンジョンマスター殿。」
「ええ!!」
「ところで、訊きたいことがあるんじゃが、いいかの?」
「はい?」
「そなた、転生者じゃろ。」
「………何で、わかりましたか?」
「①島を出たことがないのに、血を料理に使うことを思いつくのは、おかしい。
②【治癒】スキルは、転生者と、その子孫しか使えない。
この島に、転生者の子孫はおらん。
③【錬金術】スキルは、長年生産職をしていた者か、【治癒】スキルを使えるものしか、使えん。」
「黙っていて、すいませんでした。」
「? 何に対して、謝っているのじゃ?」
「? 黙っていたことについて、です。」
「儂や国に害を与えようというわけじゃないんじゃろ。
なら、謝る必要は無い。
それより、貴女の使命の方が、気になる。」
「覚えておらんのじゃろ?」
「はい。 神竜様の仰るとおりです。」
「この島に産まれたということは、儂か国、どちらかに関係することだと思うが、まあ、ええか。」
「よろしいのでしょうか?」
「害を及ばさないなら、かまわん。」
「ありがとうございます。」
「それと、先程の食事の礼がしたい。
なにか、欲しいものは、あるか?」
(………便利術式2つに迷宮核、2つも頂いたのに、これ以上、物を頼むのは、失礼かもしれない。
それなら。)
「神竜様の生い立ちを、教えて頂けないでしょうか?」
「?」
「一週間前に仰られてました、『成り行きで、守護神に成られた』ことと、今朝の事が、気になります。」
「………そんなことで、いいのか?」
「はい。 お願いします。」
「面白い話でもないと思うが、まあ、いいじゃろ。」
「話をする前に、【竜】がどういう存在か、知っているか?」
「いえ、知りません。」
「【竜】とは、全ての生物においての、【恐怖の概念】【力の象徴】じゃ。」
「ゆえに、牙は全てを貫き、顎は全てを噛み砕く。
爪は切り裂ける物無し。 鱗は傷付くことがない。
体力は無人の如く。 尾は全てを薙ぎ払う。」
「頭脳はあらゆる現象を理解し、幾千幾万の魔術を操つる。」
「他にも、金や権力などの、人種に関わる力も含まれる。」
「………凄まじいですね。」
「といっても、全て当てはまるのは稀で、基本的には、成竜が、単体で国を滅ぼせる戦力と、特化した何か持っているぐらいじゃ。」
「いやいやいや、それだけでも、十分凄いことですよ。」
「そんな存在じゃからこそ、2つ、枷がついとる。」
「1つは、纏め役、人間の王族みたいなものじゃ。
これにより、好き勝手に力を振るい、暴れることが出来ん。」
「もう1つは、成竜になるまでに、最低1つ、術を覚えること。」
「術、ですか?」
「武術、魔術、策術、商売、調合、etc。
つまり、努力して力を身に付けろ。 ってことじゃな。」
「成程。 待って産まれた力ではなく、努力して力を得ろ、ってことですか。
ちなみに、出来なかったら、どうなるのでしょうか?」
「知性や理性が失われ、獣となる。」
「!!」
「そうなった竜は、【亜竜】と呼ばれ、弱体化する。」
「………厳しい生態ですね。」
「それだけ、竜の持つ力は、強大じゃからな。」
「儂は、そんな竜達の纏め役の、一族じゃ。」




