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旦那様(神龍)と私(転生者)  作者: 夢溟
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生贄? 初日 〈編集〉

村が無くなってから8年、私は駕籠に揺られている。

徐々に大きくなっていく門と奥の森を見ながら、今日のことを思い出す。


王城に召喚され、貴族と王族の方々に見られる中、王様直々に守護竜神様の御世話係に任命。

全身ケアと結婚式用の服を着せられる(貴族用? 超高級品)。

国葬扱いで駕籠に乗せられ、守護竜様の御座す森の境目にある関所に向かってる。 ⇐今ここ


せっかく見つけた、落ち着いて暮らせる場所である、住み込みの孤児院に慣れてきたのに……。


何故、私が孤児院で住み込みをしているかというと、この場所が、この国で最も違和感のある場所であり、

違和感の無い場所だから。


この国は平和だ。 平和過ぎる。

危険の無い生活。 毎日似た時間にする、似た行動。

そうなると、人はどうなるか。


前世の経験と体験から言わせてもらうと、思考が鈍る。 そして、流される。

そうならないようにするには、どうしたらいいか。

簡単、刺激のある行動をすればいい。


大体の場合は、新しい行動、予定の無い行動をとるだろう。

中には、他人を傷付け、最悪の場合、犯罪を犯す人も出るだろう。


そして、最も退廃的な行動とは何かというと、性行為だと思う。 相手がいれば。

その証拠が、この平和な国の孤児院、捨て子達が暮らす場所、黙認された場所。


そんな場所だからこそ、私は目立たたずに暮らせれると思い、住み込みの仕事をしていた。


あの日の翌日から、私は学園に通い、寮生活をしていた。

3年間の学生生活、卒業後に魔術師団に入隊して、研究ばかりする2年間。

その間、特定の視線に苛まれていた。


唯一生き残ってた事による、憐憫と懐疑の視線。

守護竜様から頂いた鱗と、御力を直接見たことからくる、羨望と嫉妬の視線。

娯楽の少ないこの島において、最高の話題だったと思う。


だから、私は孤児院で住み込みの生活をしていた。

なのに、奪われた。


境目の関所で手続きが終り、駕籠から降ろされた。

どうやら、私一人だけで行かないといけないようだ。

………それって、守護竜様に失礼じゃないのかな?


門が開き、一歩、森に入る。

それだけで、この森が普通じゃないと解った。


地面に押し付けられるような重圧。

心が洗われるような清々しさ。

まさにここは異界。

他の人が付いてこないわけだ。

………帰りたい。


森の中央に向けて歩くと、木々が徐々に変化していくのに気付く。


この島の特異性、守護竜様の御力で肥えた土地のおかげで、輸送しても溢れるほどに余る植物。

そして、それを食べて、立派に肥えている魔物(動物/鳥/魚)。


そんな島の中でも、守護竜様の御座す森は更に異常らしく、定期的に外周部の間引きをしないと、国が植物に呑まれるらしい。

事実、中心部に近づいていくにつれ、木々が大きくなっていく。


そんな森の中でも、余裕で観える巨樹がある。

世界樹という言葉が当てはまるような、巨樹。

この森の中の唯一の目印。

守護竜様の御寝所。

歴代、御世話係が住まう場所。


漸くして、巨樹の根元が見えてきた。

その根本には、禍々しくも神々しい守護竜様が寝ておられ、側に、継ぎ足した跡の見える部屋が沢山付いている、ゴチャッとした家があった。


意を決して近づくと、【危険感知】スキルに反応があった。 それも特大の。

突然吹っ飛ばされた。


状況を確認すると、多分、守護竜様の尻尾に薙ぎ払われたのだろう。

まさか神様から頂いたスキルが、こんなところで役に立つなんて。


守護竜様の方を見ると、先方もこちらを見ていた。

「………今代の世話役か?」

慌てて跪いて、

「はい。 守護竜神様の御世話役に選ばれました、エイジェルと申します。」

「………よく来ました、エイジェル。

ところで、貴女から感じる、私の気配は………?」

「昔、助けていただきました折に戴きました、こちらの装飾具のことでしょうか?」

「……ああ、死後も娘を護ろうとした親の娘でしたか。

なるほど、それで選ばれたのですね。」

「おそらく、そうかと思います。」

「それは、申し訳ないことをしました。」

「いえ、貴方様に御仕いできるのであれば、これ以上の喜びはありません。」

「………そうですか。」


「それでは、貴女にしてもらう仕事を教えます。」

「はい。」

「貴女にしてもらう仕事は、自由です。」

「………はい?」

「そもそもお世話役という仕事は、初代国王が、ここに儂を留めておくために作った役職で、儂自体はお世話してもらう必要がありません。」

「はぁ。」

「なので、貴方の仕事は、この森から出ないことと、それ以外は自由に何をしてもいい、です。」

「………」

「詳しいことは、家の中のテーブルの上に、何代か前のお世話役が作った冊子に書いてあるので、それを読むように。」

「………あの、守護竜神様は、これから何をするのですか?」

「寝ます。」

「……」


「一度寝たら数ヶ月は寝ますので、ご飯もいりません。」

「………解りました。 お休みなさい。」

「はい、お休みなさい。」

言い終わると、守護竜神様は寝息を立てられたので、私は家の中に入った。

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