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男女比1:4のジェンダーレス  作者: エカルラトラ
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初登校

 俺は家から1kmの所にある城南高校にやって来た。

 共学の公立高校だ。今日からこの学校に通うのだ。

 登校の時間にはまだ少し早い為、人通りは少ない。

 先ずは指定された通り、職員室に向かう。

 場所は転入手続きの際、一度来ているから知っている。

 教科書をもらうのと、学生証を作ってもらうためだ。

 服装は学校指定の学生服があるが、私服でも構わないらしい。

 俺は聖蘭学園の学生服をそのまま着ようと思ったが聞いてみると、着るのは構わないが聖蘭学園のマークの入ったボタンだけは替えて欲しいと言われ、付け替えた。

 学生服にしたのは、聖蘭学園の学生服のデザインがカッコイイからだ、それに着て行く私服を選ぶのが面倒だし。

 学生服ならいつも同じでいいからな。


 コンコンコン「失礼します」


 軽くノックして、職員室に入って見回す。男性教師と女性教師が大体1:4で居て、人口比率並みだ。生徒もそんな感じなんだろう。

 

 「おはようございます。山本 純です」


 挨拶すると女性教師が立ち上がった。


 「私が1年3組担任の井口 恵子よ。ごめんね、ホームルームの時間まで少し待ってて」


 職員室内の応接セットの所へ案内された。

 しばらくするとチャイムが聞こえてきた。 


 「じゃあ行きましょうか、教室に案内しますのでついてきてください」


 教室に着いたら、呼んだら入ってくるようにと言って、先生は入っていった。

 しばらくすると教室内が騒がしくなってきた。


 「山本君、入って頂戴」


 扉を開けて1歩踏み込んだ途端、今まで以上に大騒ぎになった。


 「やった、男の子よ」

 「やっとウチらのクラスに男子が」

 「男子来た男子」

 「ペロペロしたい」


 「それじゃあ自己紹介をお願い」


 促されて黒板に縦書きで氏名を書いて横に立つ。

 教室内を見回すと男子がいない。

 教卓の前の1つが空いていて、そこ以外に女子が座っている。


 「山本 純です。聖蘭学園から転校してきました。よろしくお願いします」


 自己紹介中にいきなり静かになった。なにか変なこと言ったかな?


 「あの~山本さんは男の子が好きですか?」


 おさげじゃないけど眼鏡の女子が、いきなり変なことを聞いてくる。

 言い方を間違うと大変なことになるパターンだ。

 ここは無難な言い方をしておこう。 


 「男子も女子も好きですよ」


 「バイなんですか?」


 おおう、そう来たか。はっきり言った方がいいのだろう。


 「バイとかそう言うことでなく、友達として好きであって、敵意を持っている奴まで好きなわけじゃあありません。

 そして、この学校で友達とか彼女が出来たらいいなと考えています」


 「「「「「「「「「「やったぁ、委員長グッジョブ」」」」」」」」」」

 「「彼女に立候補します~」」

 「ペロペロしてもいいよね」


 さっき以上に大騒ぎとなった。一部うれしいのと変なのがいる。


 「それじゃあ、このままホームルーム最後までフリートークと言うことで自己紹介の続きをしてね。それと席は空いているところに座ってね、純君」


 ええっ、こんな場合は一番後ろの窓側だろ?なんで一番前なんだよ。


 「先生ズルイ、どさくさで名前呼びしてる。私も名前で呼んでもいいよね、純君」


 「「「「「私も名前で呼んでもいいよね、純君」」」」」


 「いいですよ、俺もなるべく名前呼びするから。」


 「「「「「「**です」」」」」


 「みんながいっぺんに言ったら判らないよ。徐々に覚えるからよろしく。

 それから、俺は訳あって記憶喪失になっているから、一般常識さえ判ってないと思うので、おかしいと思ったら、その都度教えて欲しい。」


 そのあとフリートークでいろいろと判った。

 各学年5クラスで、各クラスに男子が約1名いる。

 男子だけを集めても1クラスにするには人数が少ないのだ。

 3組にも1人いたのだが、3日で退学したらしい。

 そこで学校は1組だけは2人いる男子のうち1人を3組に変えようとしたが、男子が断固として拒否したため、3組だけ男子がいなかったのだ。


 そのほか、なぜ各クラスに男子1人という事態なのかも聞いた。そして驚愕の事実が判明した。


 国の男女比1:4で女性に興味を持たない男性が増えていて、同性愛が25%というのは、全人口での割合であり、16~18の学生だと違ってくる。

 1:4ということは5人のうち1人が男性で、4人が女性ということで、仮に40人の集団があると、1/5の8人が男性で、残り32人が女性だ。

 しかも、16~18の学生だと優に50%が同性愛男子で納精はするが女性を嫌っているらしい。

 すると8人の内、半分が同性愛者で残りの4人がそうじゃない者となる。

 この4人のうち2人が女性に興味がないのだ。


 又、学校についても私立の男子校に同性愛男子のほとんどと一部の女性に興味がない奴が行き、

 私立の共学に、女性に興味がない奴のほとんどと普通の男子が行く。

 この私学の共学校は、女子生徒を男子生徒と同数まで受け入れている。たとえそれが定員割れしていてもだ。

 実際には同様の高校同士で調整し落ちるような奴はいないのだけど。つまりそこは男女が1:1となる。

 そして残りが公立高校へ行くことになるのだ。


 それを割合で考えると、おおよそ40人のうち10%の男子4人が私立の男子校に行き。

 40人のうち15%の、男子3人女子3人が私立の共学校に行く。

 そして40人のうち残りの75%、男子1人女子29人が共学の公立校に行く。

 だからクラス30人のうち男子生徒は俺1人というわけだ。

 俺が自己紹介で、聖蘭学園から転校して来たと言ったとき、女子に興味がない奴か、ホモ野郎だと思った女子たちは絶望したのだろう。

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