検索してみたら
「いい子だったわねえ」と感慨にふけっていると検査部から純君の検体の検査データが届けられた。
血液検査結果は良好で、精液の検査は量、精子数、異形率ともに3検体とも優秀と・・・
3検体?純君元気に帰っていったけど昨日3検体も採取して問題なかったのかしら。
「立花看護師、すぐに私の部屋へ来なさい」看護師をすぐに呼び出す。
「安室先生、御用でしょうか」
「あなたねえ、男性から3つも検体を採取するってどうゆうこと?純君かなリ消耗していたでしょう?」
「純さんすごいんですよ、5回も出したのに元気にしてましたよ」
「5回?なんでよ?検体は3つしかなかったのに」
「1回目は採取に間に合わないで壁にかかっちゃったのだけど、元気だったからそのまま2回目~4回目まで採取しました」
「じゃあ、5回目の分はどこにあるのよ?」
「私のお腹の中、えへっ飲んじゃった」
「飲んじゃった、じゃあない。なぜそうなった?」
「4回目で萎えたからお掃除の為ペロペロしてあげたら、すぐに元気になってお口に出しちゃったから、飲んじゃった」
「なんてうらやま・・・いや、けしからん、純君が女性を忌避するようになったらどうするのよ?」
「純さん喜んでましたよ」
「まあいい、仕事に戻りなさい」
一般的な男性は3日に1回出せばいい方なのに、続けて5回も出させるなんて、大丈夫かしら?あの子・・・とっても心配だわ。
*****
次の日の朝、母さんは仕事に出かけた。昨日は休暇を取ったらしい。
父さんはいない、母子家庭だ。
女手一つで俺を育ててくれている母さんには感謝している。
俺は学校をお休みにして療養することになった。
朝ご飯を食べながら、テレビのチャンネルを変えるとニュースをやっていた
内閣府の発表で、この国の人口が徐々に減って一億人を下回ったらしい。
およそで男性が2000万人、女性が8000万人。
そして女性に興味がない男性が増えていて、男性の25%が同性愛者らしい。
来ました、男女比率1:4のアンバランス世界。
フツメンの俺でもモテるかも。
昨日の道中で男の人が普通に歩いていたってことは、襲われる心配もないだろう。
なんてイージーな世界だ。いいねえ。
部屋へ戻ってパソコンを立ち上げる。
この世界は元から男女比がおよそ1:4らしい。
しかもすべての動物までもが雄1雌4でハーレム状態らしい。
人間どころか、牛や豚や鶏などもいるのがパソコンの画像検索で判ったけど、家畜も地球の生き物に似ているんで、関連性があるとおもうんだけどな。
この国では16歳になれば婚約ができ、親の同意があれば結婚できる。
そして18歳になれば、親の同意がなくとも結婚ができる。そして重婚もokらしい。
それなのに、結婚できる年齢の男性の半数が結婚しないという。
それでは多くの女性が結婚できず、ひいては出生率が下がってしまう。
そのため政府は結婚していない18歳以上の男性に精液を提供するよう呼びかけて、結婚出来ない女性に人工授精を行っていたが、毎年想定の量を下回っていたため、
昨年から、精通のあった16歳以上の未婚男性は一ヵ月に一度、精液を納付する、"納精の義務"が制定されたとか。
納精の義務かあ、俺も納精しなくちゃならんのだろう。
そして5年ごとに検査し(優・良・可・劣・不可)のランク決定されるのか。
あっ、病院でした精液検査ってこれなんじゃあないか?
もうすでにランク付けされているかもしれない。
劣とか不可だったら嫌だな。
それはそうとして、俺が通っていたという聖蘭学園てどんなとこだ?
気になってパソコンの地図検索で調べてみる。
ここから電車を使って通学に1時間ほどかかる所で、私立の男子校だった。
なんでそんなに遠い男子校に行ったんだ?。
しかも、そこより近いところに共学だけど私立高校や公立高校があったのに。
家の周辺地図を見ると、駅とは逆の方に1kmほど行ったところに共学の公立高校がある。
今の俺にしてみれば何も魅力もメリットも無い高校には行きたくない。
母さんが帰ってきたら相談してみよう。
共学かぁ、ぜひとも転校したい。
転入試験の勉強をしなくてはいけないな。
夕方、母さんが帰ってきたので公立高校に転校したいことを相談する。
「いいわよ」 まさかの二つ返事だった。
やはり私学は学費が高いからかと思ったが、男子校が嫌だったらしい。
「あんなに行きたがっていたのにどうして?」と聞かれたが、「いまは行きたいと思わないから」と答えておいた。
実際には、絶対っ行きたくない。なんであいつは行きたがったんだろう。
つぎの日、転校するための手続きについて聞くため公立高校に連絡した。
電話にわざわざ校長先生が出てくれて丁寧な対応をしてくれた。
よければ明日からでも登校して欲しいらしい。
俺はいま記憶を失っていて学力が低下していることを伝えると、
現在、男子の定員を割っているため、あの聖蘭学園に合格したのなら、
転入試験は免除するといわれたのだった。
さすがにすぐというのもどうかと思ったので2週間後から登校することにした。
学校に連絡して転入試験は免除と言われても、馬鹿のままではいけない。
部屋を探してみたら小中学校の教科書や高校入試の参考書があった。
学校に通い始めるまでに参考書をマスターしておこう。
小中学校の教科書は後回しでいいや。