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未来視軍師と紅の剣姫  作者: 暁紅桜
《四章(一緒に……)》
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44話

「よかった見つかった」


 きゃっきゃと嬉しそうにする大きなドラゴン。ハンプティと白の女王が唖然としている中、アリスはそのドラゴンの名前を呼ぶ。


「ジャック!」


 首をにゅっと窓から中に入れれば、アリスは抱きしめて頬ずりをする。

 ハンプティはなぜここに彼がいるのか分からず、じっと二人の様子を見つめていた。

 女王は窓が壊された際、おどいてそのまま尻餅をついたが、ジャックの姿をみると顔面蒼白でガタガタえお震えていた。


「どっ、どうしてこっ、こんなところにジャ、ジャバウォックが……」


 普通に接している二人とは打って変わり、信じられないと口にする白の女王。

 彼女の反応はもっともなもの。一緒に生活をしていた時の小さな姿は、彼が【呪われた竜】とよばれていたのと、あの姿では一緒に生活することが困難だったため。今の姿が、ジャックの本来の姿。人々が怯える呪われた竜の姿である。


「どうしてジャックが……」

「チェシャ猫に頼んで伝えてもらったの。ジャックなら、私の匂いをすぐ見つけて来てくれると思って」


 地下牢に姿を現したチェシャ猫にアリスが頼んだのは、約束の場所である古巣にいるであろうジャックに現状を説明し、私の匂いをたどって助けにくることだった。

 もちろんいつもの姿では逃げ出すこともできないので、人々が恐る普段の姿でくるように。アリスの予想通り、彼は自分の匂いをたどってここへとやってきた。血の匂いや涙の匂いで普段よりも匂いは強くなっていたので、簡単に自分のことを見つけてくれるとアリスはふんでいた。


「すぐわかったよ。すごい血の匂い、どうしたの?」

「大丈夫よ」


 鼻をすんすんと鳴らして匂いを嗅ぎ、そして彼女の体の傷を目にする。


「どうしたのその怪我! 火傷もいっぱいしてる! 誰にされたの!?」


 ジャックはあたふたと、心配そうにアリスの周りをウロウロしていた。しかし、すぐさま彼の視線は後ろにいる女王に向けられる。

 獣じみた声を立てながら、ゆっくりとジャックの眉間にシワがより、口の鋭い牙がむき出しになる。


「お前か……」

「ひっ!」

「お前がアリスを!!」


 低い声をあげ、女王を睨みつけるジャック。その恐ろしい姿に女王は悲鳴をあげ、身を小さくして震える。


「ジャック、やめなさい」

「でもあいつは!」

「ジャック」


 シュンとしたジャックはそのまま威嚇をやめ、甘えるように頭を体に擦り付ける。傷のこともあり、体をいたわりながら優しく。

 アリスはそのまま彼の背へ飛び乗り、未だその場で唖然としているハンプティに笑みを浮かべ、手を伸ばす。


「行きましょう、ハンプティさん」


 彼はじっとその手を見つめる。そしてゆっくりとその手をとって、ジャックの背に乗ろうとした。


「行かないで!」


 劈くような悲鳴混じりの声が聞こえ、ハンプティはゆっくりと振り返る。

 女王は涙で顔をぐちゃぐちゃにし手織り、その姿はまるで、親にすがりつく子供のようだった。


「行かないで、ハンプティ……お願い、ずっとそばにいて……」


 じっと、床に座り込む彼女を見つめ、ハンプティはゆっくりと頭を下げる。


「ありがとうございました」

「ハン、プティ……」

「俺がいなくても、あなたにはもう一人、ずっと側にいた者がいたはずです、俺よりもずっと、長い間側にいた者が」


 ハンプティはすぐに女王に手を向けると、そのままアリスの手を取り、そのまま部屋から飛び立っていった。

 ジャックの羽ばたきで風が起き、カーテンと女王の髪をなびかせる。

 目の端から涙を流しながら、女王は窓の外をじっと見つめ。徐々に感情が込み上がってきて。


「うわぁあああああああ!」


 その場に顔を埋めながら大声で泣いた。

 彼らと入れ違いに、素顔を晒したホワイトナイトが部屋へとやってきて、部屋でなく女王の姿を、ただじっと、見つめていた。

 声をかけることはなくただ黙って、彼女がうちに溜め込んだいたものを吐き出すまでただその場で立って見守っていた。

 彼女がそのまま心の殻を破ると信じて……。

 



 窓の外から激しい爆音が鳴り響く。

 城下を抜け、赤の国の兵士たちが城の敷地へと足を踏み入れた。

 兵士たちの雄叫び、剣と剣が交わる音。

 真っ白な敷地に、赤の兵士が進むたびに赤い血が撒き散らされて行く。その光景はまさに、赤の国の侵食そのものだった。

 兵士たちに道をキ引き開かれ、ヒールを鳴らして白の門の前に立つ赤の女王。


「陛下、城周辺の制圧完了しました」

「ご苦労じゃ」

「今のところ、アリス様は発見しておりません」

「よい。あの女のことじゃ。地下牢に監禁して、たっぷり妾の可愛いアリスを可愛がっいるのだろう」

「発見しましたいかがなさいますか」

「どんな状態だろうと妾の元に連れてくるのじゃ。殺そう者なら、一人残らずお前らを殺す」


 にたりと笑みを浮かべた女王は、口元を隠していた奥義を閉じ、兵士に突撃するように指示を出した。


「さぁフィナーレじゃ」


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