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第八十話 藤井寺合戦

ということで高師直討伐に俺は乗り出した。

今回は楠木正成の息子の正行・正時兄弟に協力してもらう。

「楠木正成殿ご子息のお力添えいただけないでしょうか」

「あい分かった。新田義興の頼みとなれば喜んで参上させよう」

新田と楠木の関係は良好だったのであっさりと許可が降りた。

「この度はご協力感謝する」

「なに今上帝のためなのだろう」

楠木正成は鷹揚に笑った。彼もずいぶん年を取ったものだ。

「大事な息子たちだ。無下に扱うなよ」

「承知の上です」

俺にとっても楠木親子は大切な存在だ。そう簡単に死なせるつもりはない。

「今回の敵は手強そうか」

「はい。なにせ相手は高師直ですから」

足利高氏の元側近。今は足利直義と手を組んでいるが相性は悪く対立は深まっているらしい。

「二人を任せるが万が一ということもある。無理はするなよ」

そう注意してくれた。

歴史上では楠木正行は四条畷の戦いで高師直に破れて兄弟揃って自害してしまう。

そしてその前に辞世の句を残している。

帰らじとかねて思へば梓弓なき数に入る名をぞとどむる。

生きて帰るまいと覚悟しているので亡き人の数に入るとしてここに書きとどめる、という意味だ。

そんな覚悟をしてまで挑んだ戦に彼は破れてしまった。

俺は楠木正行・正時兄弟の死を防ぐためにもにも未来を変えないといけない。


まずは藤井寺合戦だ。

「楠木正行殿、正時殿」

「いかがいたしましたか新田義興殿」

二人は声を揃えて返事をした。まだ若いからか、といっても楠木正行は二十五歳であるが、どこか初々しい様子で辺りを見渡している。

「これから戦だがいかがだろうか」

「私たちの軍は順調そのものです」

敵はまだやって来ておらず河内の国に陣を敷いていた。

「敵がやって来たら騎馬で蹴散らしてやりますよ」

楠木軍の騎馬装甲部隊は強力だった。これはこの合戦では有利に働くだろう。

「こちらには新田の軍もいますから」

今回は騎馬装甲部隊の強みをいかすために火薬は一切使用しない。馬は繊細な生き物だから爆裂音で混乱を招くことは目に見えている。だから俺たちも騎馬で戦うことにする。

一方の高師直率いる足利方からは司令官の細川顕氏が派遣され、大坂の藤井寺に陣を敷いた。

「藤井寺に細川軍が陣を敷いているとの話ですが」

俺たちは騎馬で件の場所に移動した。

「あそこにいるのは……」

問題の藤井寺に行くと彼らは人馬の休息をしていて警護のものがわずかにいるだけだった。

「行くか」

俺が合図を送ると楠木軍が大量の騎馬で押し寄せてくる。これでは細川はひとたまりもないだろう。

「なんだこれは」

「楠木軍が襲ってきたぞ」

奇襲にでもあったかのような騒ぎだった。

「ここで臆するな。皆のもの進め」

細川顕氏が声を張り上げるが相手は烏合の衆。言うことを聞かないどころか勝手に逃げ惑うばかりだ。

「ええい進むのだ」

細川顕氏の声がむなしく響き渡るだけだ。

かくして弓矢が細川軍を襲い敵は散り散りになって逃げていった。

「まずは勝利だな」

藤井寺合戦を勝利で飾ることができた。

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