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第七十八話青野原の戦い3

ついに戦いが始まった。

敵は黒地川を背にして俺たちを待ち構える。


「行くぞっ」

新しい武器のマドファの出番だ。俺たちがマドファに火をつけると。

ドンッと低い音が辺りに鳴り響く。


すると敵方も一度怯み、慌てたように司令官が指揮を出す。

「なんだあれはっ。皆のもの矢を放てっ」

続いて矢が放たれるせいか敵との距離はなかなか縮められない。


「どうやら効果覿面のようですね」

北条時行が北畠顕家に話しかける。

「ああそうだな」

少し居心地が悪そうに答える北畠顕家だった。どうやら一度俺たちを突き放したのが気がかりだったらしい。

「俺たちも初めて実戦で使うので」

そうやって彼が気を使わないように付け足すと北畠顕家は困ったような顔をした。

「悪かったな疑うような真似をして」

そういって軽く頭を下げた。プライドの高い男だからそれだけでもう十分だろう。

「新田義興さま」

喜助が間を割ってはいる。

「どうやら敵は刀で攻めてきているようです」

敵方の将軍にはバサラで有名な佐々木道誉がいる。彼が中心となって攻撃を仕掛けているようだ。

だが。

ドンッ。

マドファの攻撃により相手は足止めをされる。

「このっ」

砲撃により足利勢の動きが緩慢になって行く。その隙をつくようにこちらも弓矢で敵を仕留めていく。

「行けっ」

矢盾の間から兵士たちが弓を引く。

「しかし足止めも時間の問題となってきたな」

北畠顕家がぼそりと呟く。

「確かに距離を縮められれば刀で応戦せざるを得なくなりそうです」

北条時行が同様にうなずく。

「よし。次は近距離戦だ」

俺は自分の鬼丸を引き抜くと黒地川の方へと向かう。

それにならって腕に覚えのある兵士たちは前進していく。

「皆のもの行くぞ」

その声とともに俺たちは敵に向かっていく。

まずは細川頼春からだ。

「新田の軍勢が北畠に加勢しただと」

彼はうろたえているようだった。しかし相手が怯んでいるからとは言ってこちらも手を抜くことはできない。

「敵軍の将を撃ち取れるとはまたとない栄誉だ」

そういって俺は味方を鼓舞する。すると兵士たちは細川頼春を囲むようにして刀を構えた。

ザンッ

無惨にも細川頼春の体はめった刺しになった。

続いての目標は高師泰と佐々木氏頼だ。

「おのれ新田め。細川頼春の仇を打ってやる」

彼らは自分の刀を引き抜くと俺たちに襲いかかった。

「行くぞ」

相手の人数はそこそこあったがこちらも実力者揃いの布陣だったから被害は小さくてすんだ。

「佐々木氏頼殿新田がここまで強いとは」

「高師泰殿狼狽えてはなりませぬ」

二人は顔を見合わせていた。

「ええいまずはこやつから相手をしてやろうじゃないか」

すると高師泰が俺に向かって切りかかる。

ギンッ

金属のぶつかり合う音がする。

「こやつなかなかやるな」

激しい切りあいの末高師泰は肩で息をしていた。

「参った。この通りだ。私を見逃してくれ」

ぜえぜえと息を切らして頭を垂れる姿はいかにも哀れそうで俺は一旦攻撃の手を止める。

すると。

「私が簡単にやられるとでも思ったか」

すぐに次の手に出ていた。

だが俺は鬼丸で相手を切りつける。

「ぐはっ」

どうやら相手の急所に入ったようだった。

高師泰を仕留めることに成功した。


次は佐々木氏頼の方へと視線を向ける。

「北畠と新田め」

彼も俺たちの軍が倒したようだった。


最後は佐々木道誉だ。

彼は指揮をしていたことから後ろに構えていた。

そこを刀だけで通り抜けるにはやはり難しい。


ということで再びマドファの出番だ。

ドンッと低く響き敵は撹乱される。


やはり未知の武器にたいしては相手も対策のとりようがないらしくされるがままだった。

(この隙に……)

俺は佐々木道誉に向かって走り出す。

煙幕が立ち込め視界は悪いがなんとか彼の居場所を突き止める。

「皆のもの落ち着くのだ」

彼は兵士たちを平静に戻そうとしていたがあまり効果はないようだった。

その間にも俺は佐々木道誉との距離を縮めていた。

そして。

「なんだ新田の先鋒か」

彼も刀を引き抜いたが間に合わず。

ザンッ

こうして俺は敵の総大将の首をとったのだった。


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