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第七十五話 鎌倉防衛2

戦の始まりが迫っていた。俺たちは足利義詮の軍を迎え撃つために鎌倉で作戦を練っていた。


まずは鶴岡八幡宮で必勝祈願をする。

「今回の戦うまく勝てますように、と」

二拝二拍手一拝でお参りを済ませる。ここ鶴岡八幡宮は源頼義が由比郷鶴岡に岩清水八幡宮を勧請したのが始まりとされている。

源頼朝はここを中心として鎌倉の街を整備した。それが今の鎌倉の街の形に影響を及ぼしたのだろう。

「北畠顕家殿今回の作戦は切通を利用して敵を打ち倒すという作戦ですよね」

「ああそうだ」

隣にいた北畠顕家もお参りを済ませ俺の話を聞いている。


さて鎌倉の構造から話をしよう。

鎌倉には七つの切通がある。俗にいう鎌倉七切通のことだ。

一つは朝比奈切通。六浦に繋がる場所であり物流の主要道路でもあった。

もう一つは名越切通。十三世紀前半に作られた切通で鎌倉と三浦半島を繋げる場所でもあった。

他には大仏切通、化粧坂切通、巨福呂坂切通、亀ケ谷坂切通、極楽寺坂切通がある。


以前鎌倉を攻めたときは化粧坂、極楽寺坂を使用したので同様にこちらを利用することにする。

化粧坂は源氏山を通るルート、極楽寺坂は稲村ヶ崎付近を通るルートでもある。


ということで今回も弓矢と石火矢を使用して敵に遠距離攻撃をする作戦だ。

近接攻撃もいいが極力地形をいかして防衛を進めたい。


化粧坂では源氏山を利用して上から敵を狙い打つ作戦だ。

六浦につながる朝比奈や海の近くにある名越や極楽寺坂には水軍が来るだろうからその準備もしていた。


ということで戦の始まりである。

北畠顕家は俺と一緒に化粧坂に、北条時行は極楽寺坂に、得能通綱は名越切通に布陣する。

前回は北条氏に苦しまされた場所だったが今回は足利義詮を攻める面でも有効な場所だった。


「皆のもの敵に矢を浴びせろ」

「はっ」


足利軍は武蔵国と鎌倉の境の化粧坂を通ろうとするが俺たちの攻撃に手も足もでない。


「次は石火矢だ」


ドンッと低い音が響き渡り敵は困惑していた。当然だろう。この時代にはまだ火縄銃はないし戦での攻撃は基本弓矢か刀での一騎討ちだったのだから。


「最後は火槍だ」

火薬の臭いが充満し敵はうずくまるようにして攻撃を避けようとする。だが硝煙にやられて身動きがうまくとれない。


「この調子ですね。北畠顕家殿」

「うむそうだな」


化粧坂の急な斜面を利用した戦いは効果覿面だった。

「ここは撤退だっ」

若い男の声がする。彼は大勢の足利軍に守られていた。

「まさか北畠と新田の連合軍がこれほどまでとは」

ため息とともに男は味方を鼓舞するように語りかける。

「一旦撤退してから敵を分断すれば勝機はある」

「しかし義詮さまっ」

従者とおぼしき男が困ったような顔をする。ここで撤退をすることに懸念があるのだろう。

(……義詮?)

その名前は俺たちが狙う男の名前であった。

彼を倒せばひとまず戦を終えることができるのだろう。

「北畠顕家殿、行きますよ」

「ああ」

俺たちは源氏山から飛び出し敵を引き付ける。

「ふんっ」

俺は自分の鬼丸を振り回し義詮の周囲の護衛を打ち倒していく。

「何奴っ」

従者が俺めがけて刀を振ってくる。

危ない。あと少しで俺の胴丸に当たるところだった。

だが。

「行けっ」

すんでのところで避けて敵の懐に刀を向ける。

「くっこれまでか」

従者はその場に立ち尽くした。

「義詮様早くお逃げくださいっ」

その言葉に足利義詮は駆け出す。

「新田義興っ」

北畠顕家が合図を送る。俺は静かにうなずき。

二人で挟み撃ちにする。

「ぐっ」

足利義詮の腹部めがけて刀を降り下ろし。

「私の敗けだ」

かくして敵の大将を打ち倒し鎌倉防衛に成功したのであった。

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