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第五十八話 箱根・竹下の戦い2

箱根では新田軍が敵方を押しているという情報が耳にはいったのは足柄山についてからだった。

「大塔宮、新田軍は足利直義軍に対して優勢のようです」

「それは結構なことだ」

「さて俺たちは……」

陣形を魚鱗にして大塔宮と俺は後方で指揮を執る。

魚鱗は山間部などの特殊な地形で有利になる陣形だ。そして消耗戦にも強いという特徴もある。


「弓矢で敵を狙うとしますか」

矢楯を構える兵士たちと弓矢を構える兵士たちが並び攻撃を始める。

中世の戦いは弓矢が基本だった。


「行けっ」

合図とともに見方の兵士たちは次々に弓を引く。

今のところ順調だった。だがそれにしても足利高氏の思惑がわからない。


副将の大友貞載と塩冶高貞がやってくる。

「大塔宮いかがいたしましょう」

「敵方の将軍はあの足利高氏です」

心配なのか不安なのか俺たちに話しかける。

「弓矢で戦っているがこの地形だといささか不利ではなかろうか」

「足柄山に布陣するとなると移動も一苦労ですぞ」

二人は好きなように話し出す。それはわかりきっていることだった。

「まあ落ち着きなさい」

大塔宮の言葉にしばし静かになった二人だが影でぶつくさ喋っているのが耳にはいる。


「この様子だと大塔宮につくしても報奨をわずかに違いない」

「なにせ京では阿野廉子が帝の寵愛を受けていて大塔宮派は不遇というからな」


俺が複雑そうな顔をすると赤松円心が話しかけてきた。

「言いたいやつには好きに言わせておくがいい」

赤松円心は大塔宮が失脚した際立場を失い田舎の佐用庄に帰ったがこの度大塔宮が復帰して戻ってきてくれたのだった。無論その実力は信用できる。なにせ六波羅攻略をしてみせた男なのだから。


「おそらくあやつらは寝返るつもりだろう」

「だったらそれを防がないと」

「私に策がある」

本来なら大塔宮が死亡して足利方につくはずの赤松円心もこの世界では味方となっている。これも俺が大塔宮を東光寺から救いだした結果だ。


「そこの二人、話がある」

「帝は大塔宮のことをいたく大事にしておられる。阿野廉子など目ではない位に。だから帝はここで褒賞金を大塔宮側につく武将に出すことにした」

「それはまことか」

「ああ特に大塔宮を支える二人には百貫(600万円程度)を与えるそうだ」

再び二人はひそひそと会話し出す。

「百貫だと……」

「ならば大塔宮側についた方が有利か」

二人は打算的な考えで動いているに違いなかった。

「分かった。我々も全力で支えるとしよう」

そうして二人はうなずき持ち場に戻っていった。


「赤松円心殿、あれでよかったんですかね」

「少なくともこれで二人が寝返ることがなくなった」

確かに裏切ることはなさそうだ。二人とも金で動く人間だということだ。

「なんか嫌になっちゃいそうですけど」

「これも大塔宮のためだと思ってくれ」

近くでは大塔宮が心配そうな顔つきでこちらをうかがっていた。

「大丈夫ですよ」

「そうか」

信頼する赤松円心の言葉に安堵の表情を浮かべていた。


「お金はどこから出るんですか」

「それは私の懐からだ」


「痛い出費になりそうですね」

「ははっ高い買い物をしたものだ」

赤松円心は愉快そうに笑った。


そして会話をしているうちに状況は刻一刻と変化し、合戦は竹下に戦場を移していた。

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